復讐のごるびー

■シリーズシナリオ


担当:ゆうきつかさ

対応レベル:フリーlv

難易度:普通

成功報酬:0 G 78 C

参加人数:12人

サポート参加人数:-人

冒険期間:07月20日〜07月25日

リプレイ公開日:2005年07月24日

●オープニング

●帰ってきたナイスガイ?
「きゅきゅ‥‥きゅきゅきゅ‥‥(俺は‥‥帰ってきたぜ【カワウソ語】)」
 沈み行く夕日を眺めながら、ごるびーがニヤリと笑う。
 場所は江戸湾。
 しかも曰く付きの場所である。
「きゅきゅ‥‥きゅきゅきゅきゅー!(今度こそ‥‥ヤツを倒すため‥‥!【カワウソ語?】)」
 ごるびーは去年‥‥、この場所で波乗りの練習をしていたのだが、その途中で巨大な謎の生物と遭遇し、しばらく眠れない日々を過ごしていた。
 その時の恨みを晴らすため、ごるびーはここに帰ってきた‥‥らしい。
「きゅきゅきゅ‥‥きゅーきゅきゅきゅ!(待ってろよ、何だかよく分からないヤツ!【ところでカワウソ語ってなんじゃい】)」
 拳をギュッと握り締め、ごるびーが夕日を見つめてきゅきゅっと鳴く。
 謎の怪生物が確実に現れるかどうかも分からぬ状態で‥‥。

「今回の目的はごるびーを海で鍛える事だ。ごるびーは何を考えているか分からないが、とりあえず生きて帰ってくるようにしてくれよ。うちの売れっ子動物だしな。怪我でもしたらファンが泣く。くれぐれも無茶はしないように頼むぞ」
 そう言って見世物小屋の主人が頭を下げた。
 頭では別の事を考えながら‥‥。

●今回の参加者

 ea0567 本所 銕三郎(35歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea0853 陣内 風音(27歳・♀・武道家・人間・華仙教大国)
 ea0946 ベル・ベル(25歳・♀・レンジャー・シフール・モンゴル王国)
 ea1569 大宗院 鳴(24歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 ea2722 琴宮 茜(25歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 ea3741 レオーネ・アズリアエル(37歳・♀・侍・人間・エジプト)
 ea5062 神楽 聖歌(30歳・♀・侍・人間・ジャパン)
 ea5557 志乃守 乱雪(39歳・♀・僧侶・人間・ジャパン)
 ea5927 沖鷹 又三郎(36歳・♂・僧兵・人間・ジャパン)
 ea9272 風御 飛沫(29歳・♀・忍者・人間・ジャパン)
 eb0139 慧斗 萌(15歳・♀・武道家・シフール・華仙教大国)
 eb0939 レヴィン・グリーン(32歳・♂・ウィザード・人間・ロシア王国)

●リプレイ本文

●海で遊ぼう
「海水浴‥‥、楽しみですね。浜の幸はさぞおいしいと思われます」
 白と赤の布を織り交ぜて作ったビキニ系の水着を身に纏い、大宗院鳴(ea1569)がごるびーと仲良く手を繋いで海にむかう。
 海には既に仲間達が来ており、遅れてやって来たごるびー達を歓迎した。
「ごるび〜ちゃ〜ん☆ しふしふですよ〜☆」
 ごるびーのまわりを飛び回り、ベル・ベル(ea0946)が浴衣姿で微笑んだ。
「きゅ?」
 不思議そうに首を傾げ、ごるびーが悩んだ様子できゅっと鳴く。
「はにゃ? しふしふ〜はシフールの挨拶ですよ〜☆ しふしふですよ〜☆」
 ぴょこぽんと両手をあげ、ベルがごるびーに挨拶した。
「きゅきゅきゅきゅー」
 ベルを真似して鳴きながら、ごるびーがぴょんぴょんと飛び跳ねる。
「初めまして、ごるびーさん♪」
 優しくごるびーの頭を撫で、琴宮茜(ea2722)がぺこりと頭を下げた。
 ごるびーは幸せそうな表情を浮かべ、猫のように喉をゴロゴロと鳴らす。
「まるで本物のネコさんみたいですね。まさか‥‥、これって着ぐるみですかじゃ?」
 おっとりとした笑みを浮かべ、神楽聖歌(ea5062)がごるびーの事を抱き上げる。
 ごるびーは激しく首を横に振り、両方のほっぺたを引っ張りカワウソである事を強調した。
「うわ〜〜〜みんなスタイルいいなぁ〜〜〜。男性陣! 覗いちゃ駄目だからね」
 白のイタチ耳ヘアバンドを外し、風御飛沫(ea9272)が巫女装束を脱ぐため更衣室の中に入っていく。
 浜辺に設置された更衣室は簡易的なものだが、見た目よりも丈夫に出来ているらしく、少しくらいの衝撃では壊れる事はなさそうだ。
「さっそく覗いてますね、ごるびーさん」
 ごるびーの首根っこを掴んで持ち上げ、茜がジト目でボソリと呟いた。
「そんな事をしたら簀巻きにされて海に投棄されますよ〜」
 浜辺に打ち上げられた簀巻きを指差し、聖歌がニコリと微笑んだ。
「きゅきゅきゅ!」
 青ざめた表情を浮かべ、ごるびーが更衣室から離れていく。
「ごるびーちゃん〜スイカ割りやろ〜〜〜見事一発で当たったら烏賊をあげるよ〜」
 藍色に染めたサラシを巻き、飛沫が更衣室から飛び出した。
「きゅいいいいいぃん!!!!」
 突然、更衣室から人が飛び出してきたため、ごるびーが涙を流して失禁する。
「こっちですよ、ごるびーさん」
 ごるびーの背後にスイカを置き、鳴が嬉しそうにごるびーの名前を呼ぶ。
「きゅいいいいいぃん!!!!」
 物音に驚き腰を抜かし。ごるびーがコテンと倒れる。
「ひょっとしてお腹が空いていたんですか? それじゃ、ひとつ切りますね」
 フェイントアタックとダブルアタックを駆使し、鳴がスイカを綺麗に切ってごるびーに渡す。
 ごるびーは勝手に『今度、更衣室を覗いたら、こうなるわよ』という意味で受け取り、倒れたまま脂汗を流して震えている。
「よほどお腹が空いていたんだね」
 倒れたごるびーを抱き上げ、飛沫が優しく頭を撫でた。
 ごるびーはカタカタと身体を震わせ、円らな瞳をウルウルさせる。
「いかさんも焼いて食べるですよ〜☆」
 漁師から獲れたてのイカを分けてもらい、ベルが七厘を使ってイカを焼く。
 それと同時にごるびーの瞳がギラリと光り、七輪に飛びつきガツガツとイカを食べ始める。
「ごるびーさんはイカ好きなんですね」
 イカを見た瞬間ごるびーの様子が変わったため、茜が警戒した様子で汗を流す。
「イカを食べている時のごるびーはケダモノですからね。下手に手を出すと大変らしいですよ‥‥」
 砂の城を作りながら、聖歌が苦笑いを浮かべて呟いた。
「そう言えばあっちでみんなが呼んでいたですよ〜」
 海のある方角を指差しながら、ベルがごるびーの背中をツンツンとつつく。
「‥‥」
 一瞬の沈黙。
「逃げちゃあ駄目ですよ、頑張ってくださ〜い♪」
 すぐさまごるびーの頭を掴み、茜が勢いをつけて海に投げる。
「きゅううううううううううううううう」
 自分の身に降りかかった不幸を呪いながら、ごるびーが海にぽちゃんと落ちた。
「やっぱり、海水浴は楽しいですね」
 まったりとした表情を浮かべ、鳴がゴクリとお茶を飲む。
 ごるびーの悲鳴を耳にしながら‥‥。

●謎の生物
「夏だ、海だ、ごるびー君だーーー。ずっと待ってたのよ、コレを。京都の大混乱もほっといて‥‥」
 瞳をランランと輝かせ、レオーネ・アズリアエル(ea3741)がごるびーを掴む。
 ごるびーは必死で逃げようとしているが、レオーネが掴んでいるため動けない。
「変な若ハゲのカワウソは置いといて、みんなで一緒に海で遊ぼうよ〜」
 上空からごるびーを見下ろし、慧斗萌(eb0139)が海を指差した。
 それと同時にごるびーがカツラを外し、太陽光の反射を使って萌を狙う。
「ま、眩しいっ!」
 あまりの眩しさに目をやられ、萌がフラフラとしながら海に落ちる。
「治りかけとは言え、ごるびーの頭はピカイチだ。色々な意味で‥‥な」
 胸に『ごるびー』と書かれたまるごと猫かぶりほ身に纏い、本所銕三郎(ea0567)が険しい表情を浮かべて腕を組む。
「この場所は‥‥」
 感慨深げに海を見つめ、ゆっくりと口を開く。
「ひょっとして何か知っているの?」
 驚いた様子で銕三郎に迫り、萌がダラリと汗を流す。
「……いつもの海だ」
 萌の顔をマジマジと見つめ、銕三郎がさらりと返して微笑んだ。
大幅にズッコケ、砂浜に突っ込む仲間達。
 その姿を見て銕三郎がクスリと笑う。
「‥‥アレから一年か。早いものだな。アレは一体何だったんだろう。なぁ、ごるびー‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥って、暑いんじゃ〜!!」
 まるごと猫かぶりを脱ぎ捨て、銕三郎が汗だくになって大声で叫ぶ。
「そう言えばごるびーくんは噂の『ヤツ』をやっつけてリベンジを果たし、自信を取り戻す事だったね。それじゃ、張り切って遊びましょうか」
 満面の笑みを浮かべながら、レオーネがごるびーの背中をポンと叩く。
「う〜ん、どうせ大きい魚ななんかを勘違いしたんだろうし〜、ジャパンの海に紛れ込んだアザラシって線もあるね〜。な〜んかカワウソ君って、あんまり賢そうじゃないし〜。でもいいや、いい暇つぶしになるしね〜」
 ごるびーのまわりを飛び回り、萌がクスクスと笑う。
「よもやデンダンではありますまいか」
 険しい表情を浮かべて腕を組み、志乃守乱雪(ea5557)がボソリと呟いた。
「‥‥デンダン? それっておいしいの?」
 不思議そうに首を傾げ、萌が乱雪に質問する。
「あら、皆様はデンダンといってもご存じないかも知れませんね。デンダンというのは巨大な魚で、和名を神兵鮫(ジンベイザメ)と言います。神の兵と書いてジンベイと読みます。文字通り、眠れる神の兵士が姿を変えたもので、来るべき悪魔との決戦にそなえ、海を彷徨いながら力を蓄えているのだと、この古い書物に書かれていました」
 妙に古ぼけた本を閉じ、乱雪がクスリと笑う。
「えっと‥‥『桜蘭〜失われた神の砦〜』 憐華咲著 ミンメイ書房 神聖暦1010年‥‥。気のせいか九ヶ所ぐらい突っ込む所があるんだけど‥‥」
 本の表紙に視線を移し、萌が胡散臭そうに乱雪を睨む。
 ミンメイ書房‥‥胡散臭い。
「まぁ、小さい事はお気になさらず‥‥」
 気まずい様子で視線を逸らし、乱雪がコホンと咳をした。
「やはり料理人としては謎の巨大生物に遭遇してぜひ捕まえて料理してみたいでござる。‥‥拙者達が料理される方になるやも知れぬが、そうなったら全力で逃げる方向でひとつ‥‥」
 苦笑いを浮かべながら、沖鷹又三郎(ea5927)が地引網で魚を獲る。
「これだけあれば十分でござるな。残りはバーベキューにするでござる」
 特製のバーベキューソースを用意し、又三郎が獲れた魚を串に刺していく。
「ただ待ってるのも性に合わないわね。ここは、古来から伝わる召喚儀式をやってみましょう♪ えろいむえっさいむえろいろえっさいむ‥‥我は求めうったーえたりー」
 丸太を井形に組んでキャンプファイアーを始め、レオーネが又三郎の作った『女の子が薄着にならないと召喚出来ない!』褌と手拭いを使って露出度の高いビキニ風の格好になり、腰ミノ姿のごるびーと一緒に手を繋いでマイムマイムを踊りだす。
「拙者に秘策があるでござる。すなわち‥‥皆、脱ぐでござる!」
 ハッとした表情を浮かべながら、又三郎がバサリッと服を脱ぐ。
「‥‥そうか。ひょっとして‥‥」
 そう言って銕三郎がタライに乗って波乗りする。
 前回と同じシチュエーションを作るため‥‥。

●巨大生物『しぇふちぇんこ』
「‥‥呑気にダンスを踊っているわね。ここは伝説のトレーナー『丹・下段』の魂を受け継ぐあたしが心を鬼にしてライバルである巨大生物『しぇふちぇんこ』として立ち塞がる事にするわ」
 まるごとわんこを身に纏い、陣内風音(ea0853)が海の中から顔を出す。
「‥‥ごるびーさんの自信を取り戻すため‥‥頑張らねば‥‥」
 次第に浜辺へと近づいていき、レヴィン・グリーン(eb0939)が巨大生物に扮してごるびーを襲う。
「きゅ‥‥? きゅううううううううううう!!」
 最初は楽しそうに踊っていたごるびーもレヴィン達の姿に気づき、魂が抜けるほどの勢いできゅうううっと鳴いて腰を抜かす。
「ごるびーくん、相変わらずボディーが甘いわね」
 すぐさまごるびーにボディブローを叩き込み、陣内風音(ea0853)が怪しくニヤリと笑う。
「ああっ、ごるびーさんが‥‥気絶した‥‥」
 それと同時にごるびーが泡を吹き、そのままコロリと気絶した。
「なんだってー!」
 どよめく一行。
「マズイ事になったわね。少し手加減したはずなのに‥‥」
 慌ててごるびーを抱き起こし、風音が驚いた様子で汗を流す。
「口から泡を吹いてます‥‥。ああっ、魂まで‥‥」
 ごるびーの口から何か出たため、レヴィンが慌てて元に戻して汗を拭う。
「こうなったら‥‥ショック療法よっ!」
 再びボディブローを放ち、風音がしばらく様子を見る。
「あっ‥‥、死んだ‥‥」
 再びグッタリとする、ごるびー。
 ‥‥仲間達がどよめいた。
「立て、立つんだごるびー。叩け、叩け、さんどばっくを!」
 ごるびーの身体をゆっさゆっさと揺らしながら、風音が大声を出して仲間を呼ぶ。
「あっ‥‥、大きなイカさん!」
 それと同時にごるびーが目を覚ます。
 大きなイカを探すため‥‥。
 仲間達の気持ちも知らず‥‥。