獣人とは
『
獣人』とは、その名の通り『獣』と『人(ヒト)』との、二つの異なる属性をその身に秘めた、人間とは異なる生物です。
獣人たちの本来の姿は人間と変わらない姿であり、生まれたときやその命が尽きたときの姿は人間そのものの姿をしています。しかし、生物的には完全に異なる種であり、獣人と人間の間で子供が生まれることはありません。
また、彼らは特別な力として獣の姿をとることができます。この変身を『
獣化』と呼びます。
獣とは言いますが、獣化した姿はただの獣ではなく、西洋の伝承で語られる『狼男(ウェアウルフ)』のような、動物と人との中間的な形態をとります。主だった特徴は、動物そのものの顔をした、全身を獣毛(あるいはうろこなど)に覆われた人間型の生き物です。それは擬人化した動物のようなもので、一見して明らかに異質ではあります。
しかし生物として見た場合、総体としてその構成は理にかなっており、(もし生物学者がその身体を解剖できるなら)生物としての構造が論理的に構築されていることが確認できます。ただし常識的な目線で見た場合、どう見ても着ぐるみか、特殊メイクで作られた造形物にしか見えません。
獣人種族の区別
獣人種族は元の動物に応じてまとまった『種族』として認識されており、使用できる能力などはその種族に応じて決まっています。
これは明確に分かれているものではなく、例えば犬獣人と狼獣人は別の獣人種族となっていますが、トカゲ獣人はかなり幅広く、イグアナからカメレオンまでと様々な姿を見せています。
これら獣人の区別や獣人系統によりどこまでの亜種が確認されているのかは、「
獣人の種類」の、各獣人の説明を確認してください。
なお、それぞれの種族は別の種ではありません。獣化した姿の違いは、人間で言えば髪や目の色が違う、といったレベルの違いでしかありません。違う種族の間に生まれた子供は、両親のどちらかの種族として生まれることになります。両方の姿をそれぞれ受け継いでいる、合成生物のような獣人にはなりません。
完全獣化
獣人が獣の姿をとる事を『完全獣化』と呼びます。
完全獣化を行なうと、獣と人間の中間的な姿に変身し、その獣の姿に応じた、さまざまな能力を得ることができます。
『完全獣化』を行なうためには、どのような場合であっても、1分ほどの時間をかけて体を変身させなければなりません。
また、完全獣化した姿から他の姿に変身する場合も、必ず1分間の時間をかけた変身が必要となります。
なお、この変身の間はまったく他の行動は取れません。
完全獣化をした後、どの部分が獣になるかは個人差がありますが、共通する内容は、『その顔が獣のものになる』『(あれば)背中に羽根が生える』『尻尾が生える』『全身が体毛や鱗に覆われている』という部分です。
このうち手腕と脚以外の身体を覆う体毛は非常に薄い場合もあり、その胸や体の見た目は人間の肌と見分けがつかない場合もあります。
また必ず人のような手を有しているため、例えば鳥獣人が完全獣化しても、その両手は残っており羽根が背中に別に生えます。
獣化した部分は種族ごとに特徴的な姿・形をしています。変化した際の一般的な外見の詳細は後ほど一覧で説明しています。
なお、獣化は意識が通っている間しか行なわれません。
例えば獣化している腕を切り落とされた場合、その腕は1分ほどかけて人間の腕に戻りますし、獣化中に気絶してしまった場合は、やはり1分ほどかけて、もとの人間の姿に戻ってしまいます。 |
完全獣化形態の一例 |
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半獣化
獣人は、『完全獣化』を行なう他に『半獣化』という変身もできます。
この変身を行なうと、耳や尻尾が生え、手足などの身体の一部分だけが変形します。
猫の獣人であれば猫の耳が頭部に生え、手足に猫のような毛が生えることになりますし、鳥の獣人であれば、その背に特徴的な羽根が生えることになりますので、このような半獣化の状態は、少々派手なコスプレをしているように見えます。
なお、変身の際に共通する内容は、『(あれば)獣の耳が生える』『(あれば)角が生える』『(あれば)羽根が生える』『尻尾が生える』という部分です。
獣の耳は、基本は人間の耳と置き換わりますが、飾りを頭の上に被ったように別の耳が生えてくるという形にも、半獣化するときにコントロールできます。
また羽根は完全獣化と同じように、背中に生えます。
獣化した部分は種族ごとに特徴的な姿・形をしています。
変化した際の一般的な外見の詳細は後ほど一覧で説明します。
人間の姿から半獣化したり、半獣化した姿から人間の姿に戻ることは、一瞬で行なうことができます。
もちろん、完全獣化したりその姿から半獣化した状態に戻るには、1分間の変身が必要となります。
なお、完全獣化・半獣化の両方とも、原則、獣人本人の意思でコントロールされています。
伝説のように月を見たりといった何かのきっかけで、自分の意思とは関係なしに獣化を行なうことはありません。 |
半獣化形態の一例 |
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獣化を止める能力
獣化を自分の意思でコントロールできない唯一の例外が、全ての獣人に備わっている『
他の獣人の完全獣化を止める能力』です。
完全獣化を行なおうという獣人から15m以内に、一人でもそれを望まない他の獣人がいた場合、相手の獣人の完全獣化を止めることができます。これは同系・同種族の獣人でなければならないという制限はなく、どんな獣人であっても止めることが可能です。
変化している途中で、完全獣化を完了していない場合に、この『完全獣化を止める能力』を使った場合は、その時点から逆回しのように人間や半獣化した姿に戻っていきます(30秒の時点で止めたのであれば、元の姿に戻るのに30秒かかります)
この能力は、変身によりその正体がばれないようにするために、獣人たちが手にしていった能力ではないかと伝えられています。
獣人の力
獣人には、獣化に関係する能力以外にも、特殊な力が備わっています。
獣人たちの身体能力は、人間の姿をとっている時は一般の人間とほとんど変わりませんが、一度獣化すると、常人の何倍もの身体能力を持つようになります。また獣化しているときには、自らの獣の能力を最大限に生かしたり、自然の力を借りた超常的な力を使うことも可能になります。
しかし、獣人たちは一般的な生物よりタフだとはいえ、銃で撃たれれば(程度はありますが)怪我をする生物です。伝説上のモンスターのように、銀の弾丸でなければ傷つかない、死なないという不死身の存在ではありません。
また『獣化』や『他人の獣化をとめる能力』のほかにも、獣人たちは自分と同種の獣(狼獣人であれば狼、パンダ獣人であればパンダ)と会話することができます。もちろん会話が行なえるだけであり、何かをさせる場合は相手の知能やそのときの状況に応じて、その獣ができることしか行なえませんし、また必ず頼みを聞いてくれるわけではありません。 |
獣人の歴史
獣人たちがいつから世界に現れたかについては、今のところよくわかっていません。
ただ、エジプト神話に出てくる狗頭のアヌビス神や猫頭のバステト神、あるいは仏教の中に出てくる牛頭鬼・馬頭鬼のように、神話や伝説の中にはすでに、獣と人との中間の姿をした獣人らしき存在が見え隠れしていました。
古い時代の獣人と人間は、その関係性を積極的に深めることなく日々の生活を送っていました。もちろん一部の獣人と人間は、協力したり対立したりといった形で関係を持っていました。そのような関係が各地の神話や伝説に伝えられる獣頭の神々やモンスターだとされています。
しかし、時代が下り、人間の生活圏と獣人の生活圏が近づくにつれ、獣人は多数を占める人間たちより異分子として追い出され、隠遁や放浪を余儀なくされました。正体がばれると私刑に遭ったり集落から追い出されたり、あるいは殺されました。この辺りは、中世の魔女狩りなどがその迫害の例となります。
そんな獣人たちの世界に変化が訪れたのは14世紀ごろです。
迫害され、多くは流浪の民となった獣人たちは、ついに人間社会に紛れ込み、そして人間たちからその姿を隠して生きてゆく方法を探し出しました。
それこそが『芸能』です。初期は簡単な見世物小屋から始まったこの方法は、獣人の格好の隠れ蓑になりました。つまり獣化した姿を人に『見世物』として提供し、代価と立場を得る。もちろん、ただ見世物として獣化するだけでは文字通り芸が無いので、ジャグラーや炎吹きといった『芸』も同時に見せるのです。
当時、人々は娯楽に飢えていました。場末の見世物小屋は、さすがに王侯貴族といった人種の目に止まることはありませんでしたが、歌唱や楽団、そしてサーカスのような娯楽集団は、王国貴族たちも積極的に邸内に呼び寄せるようになり、またそこでどのような姿を見せても咎められることはありませんでした。当時、吟遊詩人や道化師は、何を言い何を行っても、罰せられることは無かったからです。
この、異貌であることを逆手に取った手法は、洋の東西を問わず獣人たちの間で積極的に取り入れられていき、やがてはこれら『芸能』を売り物にすることで、獣人たちは人間社会での市民権を得るようになっていきました。
こうして、獣人たちは人間社会に溶け込んで、生活を送ることができるようになったのです。
現代における獣人たち
現代では、獣人たちは本来の姿である人の姿をして、『芸能界』で活動することで、この世界に溶け込んでいます。
獣人たちがその正体を隠すのは、人間たちとの無用な対立を避けるためだけではありません。近年の情報化社会の発達により、天敵である『ナイトウォーカー』が獣人たちの存在をかぎつけ、襲ってくることを防ぐ意味もあります。
芸能界という世界は、かつて獣人たちが身を投じた古くから、道化師や吟遊詩人、能や歌舞伎といった芸能の伝統と獣人同士の協力体制を受け継いでいます。また、その歴史の流れにより芸能界の重鎮の多くを獣人が占めていることから、彼らが自らを隠し守るために最適な世界であったと言えるでしょう。芸能活動の拡大とともに、芸能界を隠れ蓑として生活する獣人の立場も、以前ほど不安定ではなくなりました。
もちろん、現代の芸能界は、メイクや特殊効果の技術進歩によって、より獣人としての姿を隠すのに適するようになってきています。何かの拍子に『半獣化』して耳や尻尾が生えてしまったとしても、つけ耳つけ尻尾と見られますし、『完全獣化』しても、着ぐるみを着たり特殊メイクを行なっているのだと見られるからです。もちろん、そこに獣人達の恣意的な行動があったことは言うまでもありません。
こうして現代の芸能界は、獣人にとって、それなりに住みよい世界となっています。
一般的な獣化外見
獣人が獣化した部分の一般的な形状や色についての詳しい情報は、
こちらのページをご覧下さい。