世界の守護たる道

■クエストシナリオ


担当:久条巧

対応レベル:

難易度:

成功報酬:-

参加人数:22人

サポート参加人数:-人

冒険期間:2007年06月01日
 〜2007年06月31日


エリア:インドゥーラ国

リプレイ公開日:06月21日22:17

●リプレイ本文

●古よりのものたち
──ベナレス・アジーナ大寺院
 コツコツコツコツ
 静かに響く足音。
 大勢の僧侶達が、訪れたその人物に頭を下げる。
「ノルマンよりのご帰還、ご苦労様です」
 一人の女性パラディンがそう告げて、仮面を付けているその女性の横を歩く。
「一次帰還だ。また準備と報告が終れば、私はノルマンに立つ。あの地には『阿修羅の定めた敵』が存在している可能性がある‥‥」
 悪魔が宵闇を駆け抜ける国・ノルマン。
 そこに派遣されているパラディンは、このフィーム・ラール・ロイシィ一人のみ。
「では、パラディンと阿修羅総の増援を」
「それも無用。あの地の冒険者との約束がある。かの地ノルマンは、その土地の冒険者によって平定して貰う。私はその助力をするだけだ‥‥」
 そう告げると、フィームは大僧正の待つ瞑想の間へと向かう。
「ノルマンはどうでしたか?」
 そう問い掛ける女性パラディンに、フィームは静かに話を始める。
「いい国だ。国王を中心に、周囲の者や騎士団が一つに纏まっている。文化もいい‥‥」
 そう告げると、フィームはふと横を歩いているパラディンを見る。
「あの‥‥私に何か?」
「いやいや、ノルマン王宮で話を聞いて、ちょっととある人物を見てきたのだが‥‥その女性ににているなぁと‥‥」
 そう告げるフィーム。
「私がですか? どのような女性でした?」
 そう問い返す女性パラディンに、フィームは一言ボソリとこう呟いた。
「魔法のウィザード・プリティらしゅ☆‥‥だったかな‥‥うんうん」
「はぁ‥‥」
 しばしその話で持ち上がるフィームと女性パラディン。
 そして瞑想の間に到着すると、フィームはそのまま挨拶をしてなかに入っていった。



●第3の試練発令
──アジーナ大寺院
「‥‥さて‥‥私はどうしてここにいるのでしょう」
「遠征地についての希望が間に合わなかったから、ここでの一ヶ月間の雑務言いつけ‥‥まあ止むを得ずという所か」
 パラディン候補生のコルネリア・ブルームハルト(ec0260)とマリウス・ゲイル(ea1553)が、寺院内の掃除をしつつそう呟く。
 空は青く澄み渡っている。
「‥‥二人は第3の試練に向かわなかったのか‥‥」
 回廊を透りつつ、中庭を掃除している二人を見ながら、ウィルマ・ハートマン(ea8545)はいつものように資料室に向かった。

──ということで資料室
「あのー。今日はどのような‥‥」
 とりあえずウィルマ付きとなった阿修羅僧の『高屋敷』が、そう資料室にやってきたウィルマに問い掛ける。
「色々とな。まの、いいじゃん‥‥こっちは許可貰っているんだからさ‥‥」
 そう告げて、ウィルマはいつものように資料室での調べものモード。
 時間はそれなりにある。
 大量の石碑と木簡、それらの写しなど、時間の許す限り調べていた‥‥。

・阿修羅教
 戦いの神である阿修羅神の力を源とする。
 その狭義は広く、世界的な平和の追求を第一に掲げる。
 そのためか、厳格な戒律に従って行動する事が義務づけられていた。
 特にウィルマが目を引いたのは『阿修羅教では世界的な平和の追求が目的であり、領地争いや世俗の逃走などには強力することはない』という部分である。
 阿修羅教が戦う相手はすなわち、人心を惑わす悪魔、人の安息を脅かすアンデットなど、人だけでなくジ・アースに生きている全てのものの敵、世界の平和を脅かす悪。
 人道士の争いについては、戦争拡大の阻止という形での関与は認められているという‥‥。
「‥‥そして、阿修羅僧は自衛以外の戦いを止められていると‥‥全ての戦闘行為はすなわち、阿修羅の代行者であるパラディンに、僧たちは人身救済が任務であり、その範囲は味方のみでなく敵であったものにも手を差し伸べるか‥‥」
 それらもまた阿修羅信仰の教義の一つでしかない。
 悠久の歴史を持つこの宗教の奥は深い。

「インドゥーラという国については、まだそれほど古くはない。が、この土地に広まっているこの宗教があるからこそ、部族は集まり、一つとなったのか‥‥部族平等を詠う議会に、厳格な階級社会。なるほど、確かに効率的だ‥‥」
 それでも、他国からの文化の流入、慣習などによる問題はあちこちで起こっている。
 それに、全ての人間が阿修羅の教えに『忠実』に従っているのではない。
 多くの人間・部族によって作られた国ならばなおさら。
 良き立場についた事を理由に、傍若無人な振る舞いをしている者も存在することを、ウィルマは考える。
「阿修羅僧やパラディンの目が全て正しい者のみを見ているとは限らず‥‥広い土地ゆえ、目のと退かない場所もある‥‥か‥‥」
 そう呟くと、再びまだ目を通していない資料を調べるウィルマ。
 その好奇心は、今、修行に頑張っているパラディン候補生達の役に立つ事だろう‥‥。



●パトナ〜川に住む魔物
──インドゥーラ・パトナ
 聖都ベナレスより下流に位置する街・パトナ。
 ここ最近。
 パトナ沿岸のガンジス川に魔物が住み着いていた。
 その魔物は夜中に陸地に上がり、畑や果樹、はては家畜を貪り食らうという悪行を行なっていた。
 そしてつい最近。
 畑の警護をしていた村人が襲われ、喰われるという事態がおこった‥‥。
 パトナでは、夜中には家から出るなというお振れが出たが、昼間、母成るガンガーで沐浴をしている時に魔物に襲われたら危険ゆえ、昼間でさえガンガーに近付く人たちはいない。

「失礼します。アジーナ大寺院より今回の魔物の件についてやってきました」
 村の入り口で、向かえてくれた武族長に対して丁寧に挨拶をするのは レナード・ガーランド(ec0215)。
「これはこれは丁寧に。このパトナの街長(まちおさ)とマヒシャ族の部族長を務めていますナディア・ヴァルナーと申します」
 綺麗なサーリィを身に纏い、丁寧に挨拶を告げているのは部族長にしてパトナの責任者・ナディアである。
「さっそくですが、今の状況を」
 そう問い掛けるレナードに、ナディアは頭を右に傾けてからゆっくりと歩きはじめた。
「この街のすぐ外に流れるガンジス川に魔物が現われたのは2週間前です。それまでは何事も無かったのですが、其の日の夜、村の畑が何者かによって荒されるという事件がおこりました。森から何かがヤってきたのでは問い心配から、警護の人間を増やしていたのですが、その人も襲われ、命を落としてしまいました‥‥。そしてその翌日から、川の中になにか異様なものが住み着いているという噂が流れ、ついには沐浴をしていた女性が川に引きずり込まれ、命を落としました‥‥」
 そう告げつつ、町の中を歩く一同。
「何処からその魔物がやってきたのか、どうして人や家畜を襲うのかは判りません‥‥」
 そのナディアの言葉に、レナードはさらに問い掛ける。
「今までは何事も無かったのに、最近になって魔物が現われ、人を襲っているということは何か理由がある筈だ。済まないが第一被害者と発見者は?」
「畑を警護していた人です。死んでしまった為、亡骸は火葬してガンジスに‥‥。その他の被害者もみな、命を奪われ、身体が食い蝕まれてしまい‥‥今でも川を見ると、時折 その姿を確認する事が出来ます。そのため、川の周囲には柵を作って近寄れないようにしています‥‥」
 家畜や果物程度の被害なら目をツブるというのもあるが、人が殺されているというのであれば話は別。
「被害に在った人の共通点とかはあるのか?」
「いえ‥‥老若男女、差別なく。川に入ると襲われる可能性が高い為、どうしてもやむをえず沐浴が必要なときは、川から水を汲んで急いで陸に戻っています‥‥」
その言葉のさ中、レナードはしばし思考。
「もし‥‥必要でしたら、私が囮になって沐浴をしてみます。それで魔物が私に向かってきたら、その時は色々と対処が聞きますし、少しでも情報を見つける事が出来ますね」
 そうレナードに告げるのは鳳美夕(ec0583)。
「いや、そうだが危険過ぎる‥‥」
「危険を承知で動くのが冒険者だろう? だか‥‥」
(わざわざ女性が囮になる必要もないだろう‥‥)
 そう言いかけた言葉を呑み込むシャロン・オブライエン(ec0713)。
 もしそうならば、自信が囮になればいい‥‥だが、そうなったら、シャロン自身女性であることがばれてしまう‥‥。

 今までずっと男として貫いてきたもの。
 そだが、それは阿修羅の教えに反する。
 女性である事を偽ってのパラディン修行。
 他の女性候補生たちは皆、仮面を付けた。
 だが、シャロンは今だ付けていない。
 それは、この阿修羅の教える地では『大罪』。
 いまだ候補生なればの恩赦とも言えるが、そういつまでも偽りつづけることは出来ない。

・我、虚言をはかざる戒をたもつ

 阿修羅の五戒の一つ。
 それが今、シャロンに大きくのしかかっていた。

「話を少し戻したい。そもそも、この川に現われたのは本当に魔物なのか? そんなものが聖なる川に簡単に住み着けるのか?」
 そう問い掛けるレナード。
「聖なる川は我等に恵みをもたらしてくれます。最初は私達の何かが過ちを犯した為に、神が御使いをよこして私達を諌めていると考えました。ですが、旅の僧侶がここを通りかかったときに教えてくれました。あれは『混沌の申し子』ですと。この近くに『黒曜石の石碑』があり、そこから現われたのだと告げていました‥‥」
 その言葉に、一同は反応する。
 あれならば、このような聖なる川にも住み着けよう。
 あれもまた、神々の眷族なのだから‥‥。
「成る程な‥‥それならば納得が行くが、その僧侶というのが誰なのか知りたいところだ」
「ええ。ですが、その方は名を告げずに立ちさって行きまして‥‥そののちにアジーナ大寺院に今回の件でお伺いをたてましたら、パラディン候補生を派遣するのでというお達しをうけましたから‥‥」
 これ以上の話しは出てこない。
 まだまだ事件は始まったばかりなのだから。

──そのころの村
「パラディン候補生? ヒジラさんじゃないの?」
 少女は頭を捻りつつ、目の前の仮面を被った人物にそう問い掛けた。
「ええ。そうよ。あたしはパラディン候補生。このパトナで起こっている魔物による被害を止める為に、ベナレスからやってきたのよ」
 そう告げているのは昏倒勇花(ea9275)。
「ふぅーん。そうなんだ‥‥」
 にっこりと微笑む少女。
 だが、やはり雰囲気がおかしい。
「あんた、随分と元気がないわね。どうしたのよ? それに、あたしの事ヒジラって呼んでいたけれど、それって誰なの?」
「んーと、ヒジラ‥‥ヒジュラか。ヒジュラさんは祈祷師さんたちのことだよ。たまにこの街にもやってきて、踊りや歌を見せてくれたり、生まれた子供達に祝福を与えてくれるんだ」
 そう告げると、子供はその場に座り込んだ。
「だ、大丈夫なの?」
「沐浴してないから‥‥」
 そう告げると、子供はゆっくりと立上がって、家路についた。

──一方ガンジスの畔では
「なにか少しでも情報をと思ったのじゃが‥‥どうも‥‥」
 そう呟きつつ、ガンジス側にそっと手を差し入れる上泉蓮華(ec0178)。
 その掌からは、先日死亡したパラディン『マイティ』の遺灰が零れ、水に流れていく。

──バシャッ!!

 川のまんなかあたりで、何かが跳ねる。
「魚か‥‥」
 そう告げて蓮華がそっちの方角を見る。

──バシャャャャャャャャッ
 全長10mほどの巨大な龍の尻尾の部分が、河のなかに潜り込んでいくのを確認した。
「あれが、この川に住み着いている魔物か‥‥」
 そのまま叩き臥せようとも考えたが、この場所は戦うには悪い。
 相手は河の中に生きる者なら、戦場はここではなく陸地でないと不利になる。
「今はいいじゃろう。さて‥‥」
 そのまま蓮華は川から出ると、今後の対応を考える為に町の中に居る仲間たちのもとへと向かっていった。

──一方、聞き込みをしていた阿修羅僧によると
「うーーーん。魔物の出現した時期は同じ、川から現われて川に帰る‥‥被害者には共通点はなし‥‥で、姿は龍のような下半身と人の上半身で、男性‥‥うーーーん」
 頭を捻るフォン・ラーマ・ルディア(ec0226)。
 村のあちこちで聞き込みをしているものの、どうも雲を手に掴むような話しばかりである。
「まあ、竜の下半身に女性の上半身というのなら、ナーガという可能性もあるのじゃが‥‥」
「ナーガ?」
 そう村の年寄りからきいたフォン。
「ああ、このインドゥーラに古くから住んでいる種族じゃよ。龍の末裔とも言われている古き民の一種。もし興味があるのなら、この先の街道を進んだ先の森に住んでいるから、訪ねてみるといい‥‥」
 そう告げられて、フォンはひとまずナーガに会いに行くことに。



●ラホール〜占拠された街
──インドゥーラ北方の地・ラホール
 ガンジスよりさらに上流。
 聖なる山・ヒマラヤの麓に位置する国境の街。
 この付近は宝石の産地であり、この地で採掘される宝石は、インドゥーラ全域はおろか、諸外国にまで輸出されているという。
 また、最近は鉱山資源についても確認され、噂では『ブラン鉱脈』が発見されたとかで、ラホールでは採掘ラッシュが始まっていた。
 危険を省みず鉱山を掘り進む人々。
 それゆえ、事故も頻繁に起こっていた。
 そして、あの日の事件。
 掘削している最中に『古きものの遺跡』にぶちあたり、封印されていた魔物がラホールに押し寄せてきてからは、街全てがゴーストタウンのように活気を失っていたという‥‥。

──ラホール手前の村
「‥‥この先の街道は全て封鎖・警護の許可無くては入る事が許されていないか‥‥」
「では、街の人たちの殆どが避難し、この手前のあちこちの村にいるのですね?」
 バーク・ダンロック(ea7871)とシアン・アズベルト(ea3438)の二人は、この村に避難していた町長から色々と事情を聞いていた。
「ええ。突然の襲撃で、坑内にいたであろう人々は全滅し、そこから湧き出した間者たちによって街は壊滅状態。生き残った人たちは、みな、どうにか街から避難してここにやってきたのですが‥‥ここも決して安全とは‥‥ハァ‥‥」
 落胆する町長。
 確かに、ここにいる村人達の表情も暗い。

 そんな中でも、鷹見仁(ea0204)の回りには人が大勢集っていた。
「次はあたしだよーーー」
「なんだよ、横はいりは禁止だゾー」
 そんな感じで子供達には笑顔があった。
「おいおい。ちゃんと並ばないと駄目だぞ‥‥ほら、完成」
 村から買い取った羊皮紙に次々と子供達の似顔絵を書いている鷹見。
「わーーーい、おじちゃんありがとーーーー」
「こらこら、おじちゃんじゃなくて、せめてお兄さんと‥‥ま、いいか‥‥次はだれだ? ほら、どんな顔がいいんだい?」
 とまあ、落胆している村の中に笑みを提供している鷹見であった。

「人よ!勇気をもて、諦めなければきっと道はひらかれる!」
 そう村人達に撃を送っているのはアンドリー・フィルス(ec0129)。
 兎に角今出来る事、皆を激励し、皆がいま少し耐え、頑張れるよう『勇気』を与える為に、アンドリーは声を大にして叫んでいた。
「候補生さま。私達に救いはあるのでしょうか? パラディン様たちは、いつ、この地にやってくるのでしょうか‥‥」
 そう救いを求める老婆がいた。
「大丈夫。まもなくこの地にも援軍がやってくる!! それまでは希望を捨てずに!!」
 アイザック・トライスター(ec0141)はそう告げると、避難の際に怪我をした人たちに自分の持ってきた薬を差し出す。
 村のなかにある寺院にもかなりの数の薬品の寄付があったのだが、それでもまだ数は足りない。
「寺院長。今、ここにいる阿修羅僧で回復魔法を使える人は?」
 そう問い掛けるアイザック。
 だが、寺院長は頭を縦に振る。
「私以外は一人もいませんですじゃ。回復が唱えられるのは私一人。その外の阿修羅僧は、回復以外ならなんとか‥‥」
「ならば、守りに徹することのできる僧侶達に、村人の安全確保を御願いする!!」
 アイザックはそう告げると、逃げてきた人たちの人数を確認。
 身内で離れ離れになってしまった人たち等の聞き込みなども行なっていた。

──一方‥‥
「貴方がル・フーですか」
 レヴェリー・レイ・ルナクロス(ec0126)は一通りの聞き込みの後、復興の手伝いをしてくれる人を集めていた。
 街を取り返した後に、彼等の力は必要である。
 そのため、彼女はラホールに住まう職人達のリストを作っていたのである。
 そんな中、レヴェリーは鍛冶屋の中から『ル・フー』という老人に出会った。
「ああ、私がル・フーじゃが‥‥何か?」
 そう告げる老人に、レヴェリーは頭を下げる。
「剛剣士ル・フー・お噂はかねがね。この地で刀鍛冶をしているという話もききました」
「剛剣士とは懐かしい呼び名じゃな。だが、今は鍛冶屋のフーでいい。と、あと用事はないか? 無かったら仕事に戻らせてくれ」
 そう告げるル・フーに、レヴェリーは丁寧に話し掛けた。
「貴方の事を聞いた時から、一度逢いたいと思っていたわ。私は命を懸けて人々を護る‥‥そんなパラディンになりたいから」
 そう告げて、レヴェリーは頼み込んだ。
「剛剣士ル・フー。貴方に師事したく御願いします」
 真剣な表情。
 だが、ル・フーの言葉は変わらない。
「わしは鍛冶屋のフー。それ以外の何者でもない。判ったら、ほれ、他にも困っている者たちがおろう。候補生なら、己のことよりもまずは回りを‥‥」
 そう告げられて、レヴェリーは頭を下げてその場をあとにした!!



●デリー〜支配されている街〜
──インドゥーラ・デリー
 カースト制度の中でも、クシャトリアと呼ばれている戦士階級の者たちが管理している街。
 表向きは普通の街と変わらない平和な場所。
 だが、そのカげて゛は何やら色々と暗躍しているようであるが‥‥。

──デリー・警護兵詰め所
 まずは挨拶。
 礼に始まり礼に終る。
 ルミリア・ザナックス(ea5298)とアレーナ・オレアリス(eb3532)、マグナス・ダイモス(ec0128)、そしてフェイ・グリーンウェル(ec0238)の4名は、街についてまず最初に警護兵の詰め所を訪ねた。
「これはこれは、パラディン候補生の皆さんご苦労様です。私がこのデリーでの治安維持をつかさどっている『警護兵長』を務めている『ツォンカパ』と申します」
 手を合わせて礼をするツォンカパに、一同も頭を下げる。
「さっそくだが、いまこの地で何か困っていることはないか?」
 そのルミリアの問いに、ツォンカパもしばし思考。
「いえ‥‥特にありませんねぇ‥‥」
 そう告げるが、マグナスやアレーナ、フェイがここに来る途中であちこちで見聞きした事を考えると、その言葉は間違いである。
「では一つ訪ねたい。この街、どうやら貧富の差が激しく、奴隷と貸している者たちもあちこちで見掛ける。街の噂では、奴隷達は『決闘』によって相手を殺害し、勝者には自由を与えるということが許されているようだが。それはこのインドゥーラでは法として許されている事なのか?」
 そう問い掛けるマグナスに、ツォンカパも静かに頭を左右に振る。
「彼等はこのインドゥーラのカーストより外れた者。シュードラ(隷民)よりも下賤で、人権のないものたちです。彼等は娯楽を我等に提供し、ようやく『カーストの中』に入る事が許されるのです」
 その言葉に、他の警護兵士達も賛同する。
 そしてその事は、ここに来る前にベナレスのアジーナ大寺院で皆が学んできた事である。
 
 インドゥーラにはカースト制度という厳しい身分制度が存在する。
 これは阿修羅の教えのもと絶対であり、何人たりともこれらの戒律を破ることは許されていない。
 アーシュラ、クシャトリア、ヴァイシャ、そしてシュードラ。
 これら4っつの階層は阿修羅の加護のもと、方によって護られているが、その下に位置する『アンタッチャブル』と呼ばれている者は法によって護られることはないし、人権も存在しない。

「では、何かありましたらいつでもここに来てください。お力になれることはなんでも行ないますし、協力できることは惜しみません」
 そう告げるツォンカパ。
「なら一つ。この地の『藩王・アーガーハーン殿』とはどんな方だ」
 そのルミリアの言葉に、ツォンカパは瞳を臥せる。
「武人そして貴族としては優れた人です。このデリーを治め、様々な事件なども平穏に解決しています。ですが‥‥」
 そう告げて一拍置くと、ツォンカパは拳を握る。
「慈悲の心もつ阿修羅の民として‥‥人としては‥‥あの方の行き方は間違っています‥‥では」
 そう告げて、ツォンカパはその場背を後にした。


──場所は変わって、候補生宿舎
 綺麗な建物。
 パラディン候補生達は、この建物の中で普通に生活する。
 与えられたのは建物のみ、食事などは材料があるので基本的に自炊。
 備品などの配給もうけられる為、そこそこに生活はできるようである。
「しかし、納得がいかん!!」
 チャパーティーと呼ばれる薄焼きパンをかじりつつ、マグナスがそう叫ぶ。
「まあ、確かに。奴隷階層‥‥いや、それよりも悪い階層外とはいえ、同じ生きているものならば、命は平等な筈」
 そう告げるフェイに、アレーナも肯く。
「私達はパラディン候補生です。我々が何とかして弱い立場の人々を守らなければいけません。それが力を持つ人間の義務ですから」
 そう力説するフェイではあるものの、相手は立場ある人物。
 この地の領主になにか助力をと考えてはみたものの、どう考えても黒である藩王がこの地を治めている以上、迂闊な行動は自らの身を滅ぼす。
「奴隷がいるということは事実ですし、藩王の元で拳奴として戦わせられているというのも事実。でしたら、私が藩王の元に奉公という名目で参り、内部から実状を探るというのは‥‥」
 そう告げるアレーナであるが、同行阿修羅僧の『サッシー』がそれを止める。
「それは危ないのよ。あのね、藩王の元には大勢の外国よりやってきた騎士や金で雇われた護衛がいっぱいいるのね。そんな所にパラディン候補生が奉公になって向かったら、怪しまれるわよ‥‥」
 なんでオネェ言葉かは知らないが、サッシーさんがそう告げる。
「確かにな。まあ、いずれにしても、情報が足りぬ。今一度、怪しまれないように情報を集めてみよう。そして今後のことについて色々と考えて見るというのは?」
 そのルミリアの言葉に、一同は肯く。
 そしてさっそく、外に聞き込みに向かっていった。



●アドラス〜人と人とのぶつかりあう街〜
──インドゥーラ・アドラス
 アドラスには多くの商人が集っている。
 それゆえ、経済が活性化し、諸外国から訪れる人々も多い。
 人が多く集っていると、当然様々な事件も起こっている。
 宗教の違い、文化の違い。
 挨拶や日常的なことでさえ、すぐに揉め事になってしまう。
 ここ最近は、この地を訪れる観光客と古くからこの地に住んでいる使用人との間でいざかいが耐えないらしい‥‥。
 そんな中にたどり着いた一行ではあるが‥‥。

──ドンガラガッシャーーーーン
 突然酒場から叩き出される外国の船のり達。
 そしてその直後に店から飛び出してきたサーリィ話身に纏ったウェイトレスが、手に銀のトレイを持って震えている。
「こっ、この街から出て行けっ!!」
 そう叫ぶウェイトレスに向かって、船のり達も立ち上がりつつ叫ぶ。
「なんだこの野郎っ。この街に富をもたらしているのは誰だと思っていやがる!! 店主、この女を下げろ、まさか俺達の言うことを無視するとはいわないだろうなぁ‥‥」
 そう凄む船乗り達に向かって、奥から店主が慌ててて走ってくる。
「そうだ。素直に謝ればぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」
「必殺・店長キック!!」
──ドンガラガシャーーーーーーーーン
 勢いよく、ついでにチャージも混ぜつつ店主が船乗りの一人にドロップキックを叩き込む。
「おいおい何だね? 何かは分からんが、暴力沙汰は止め給え! どんな理由があれ、暴力で解決するのは止そう。まずは話し合おうじゃないか」
 慌てて通りかかって船乗りと店主達の間に割って入ったのはヒースクリフ・ムーア(ea0286)。
「一体なにがあったのですか?」
 エビータ・ララサバル(ec0202)はウェイトレスの方に向かっていくと、慰めるように話を聞いた。

──ウェイトレスの証言
「その人たちが、突然『左手』でお尻を触ったんですぅ‥‥」
「あら‥‥それはあの人たちが悪いわね」
 そう告げると、エビータはとりあえずウェイトレスを慰めに入る。

──船のり達の証言
「俺達は今日の昼にここについたんだ。積み荷を降ろしてから一杯やろうと、酒場に入ってな‥‥で、女ッ家が無かったんで、ついその女の尻をサワッたら、突然悲鳴を上げて何か『呪いの言葉』を吐きつつトレイで殴りかかってきやがって‥‥」
「ああ、それはお前たちが悪い」
 キッパリと告げるヒースクリフだが、そんな事を言われても納得のできない船乗り達。

──ということで
「まず、貴方たちの過ちは二つあります」
 そう告げながら、三笠明信(ea1628)が仲裁に入る。
「一つは、ウェイトレスさんのお‥‥お尻を左出て触った事です。この地の人たちにとって、左手は不浄の手。そんなもので大切な部分を触られたら、それは侮辱以外の何者でもありません」
 そう告げると、男達は突然凄んでくる。
「冗談じゃねぇ。この俺達の手が不浄だとぉ!!」
 そう叫ぶのだが、背後に回りこんだフィリックス・トゥルム(ec0139)が男達の腕を逆手に絞り上げる。
「この地の戒律ゆえ。それに従うのが世界を回る船乗りではないのか?」
「いてていてて‥‥わ、判ったから、力を抜いてくれっ!!」
 そのまま力をゆるめるフィリックス。
「さて、では網一つ。貴方たちの来ているものにも問題があります」
 三笠がそう告げつつ、男達の衣服を指差す。
「これが? 俺達船乗りは金属鎧なんて危険だから、レザーアーマーぐらいしか着けれないぜ」
「それです。皮は不浄ですから‥‥」
 サラッと告げる三笠だが、再び納得の行っていない様子。
「なんだってこう、ここの奴等は戒律戒律うるせえんだよっ‥‥。俺達の命を守ものなんだから、かまわねえだろう?」
 そんなふうに叫んでいると、別の方角から船の李達の仲間がやって来て‥‥。
「お、おお、兄貴、兄貴ぃぃぃぃぃ。こいつらをなんとかしてくれよ!!」
 仲間の姿を見て、男達は気が大きくなったようだが。
「この馬鹿野郎っ。積み荷を降ろしたら直に甲板に集るように話していたろうがっ!! ああ、皆さん済まない。この街での決まりを説明する前に勝手にこいつらが出ていってしまって、皆さんには迷惑をかけた‥‥」
 そう告げて、男は二人を連れて立ちさって行った。
「ふぅ‥‥二度とくるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ」
 そう叫ぶウェイトレス。
 そして酒場は再び日常に戻る。

「はぁ‥‥こんな争いが耐えないのか‥‥これから先が思いやられる‥‥」
 がっくりと肩をおとしつつ、ヒースクリフがそう呟く。
「ああ、でも、これも試練だろう‥‥行くぞ」
 フィリックに促され、一同はこの地を治める藩王の元に向かっていった。

──という事で、アドラスの藩王・シャルマの宮殿
 豪華絢爛‥‥とまではいかないものの、権力の象徴として輝いている宮殿である。
 そこの今に案内され、一同はこのアドラスの藩王・シャルマとの謁見を許された。
「藩王様にはご機嫌麗しく‥‥」
 丁寧にそう告げる三笠を、シャルマは静かに見下ろしている。
「良く来た候補生達よ。我は貴殿らを歓迎する」
 ニィッと笑いつつ、シャルマは近くに立っていた執事に合図を贈る。
 と、華やかな音楽が流れ、奥の間から様々な料理が運びこまれる。
 雅な衣裳を身に纏った踊り子達が現われ、音楽に合わせて華麗な舞を見せる。
「これは‥‥藩王シャルマ。盛大な歓迎をありがとうございます‥‥ですが、我々はアジーナ大寺院よりこの地に任務として藩消されています‥‥」
 そう告げるヒースクリフに、シャルマは肯く。
「ほう‥‥」
 そう呟くと同時に、全てが片付けられ、楽士たちも後ろに戻る。
「では、先に仕事を片付けよう‥‥」
「では。現在、このアドラスでは外国人とこの地に住まう人たちとの間でいさかいが耐えません。他の地域でも同じ様に外国人が住んでいますが、ここのように事件が多くはありません‥‥」
 フィリックスがそう告げてから、エビータが更に補則に入る。
「ここに来るまでに色々と身手間をって来ましたけれど、やはり外国人船乗りとこの地の人たちの風習や文化の違いから、争いが起こっているように思えますが‥‥」
 そう告げてから、ここに来るまでに色々と聞き込んだ話を元に、説明を続ける。
「彼等はこの地区、インドゥーラ野戒律を最も嫌っています。元来船乗りは荒くれで自由を望む人たちが多く、港にたどり着く事で長い旅から開放され、填めを外しすぎるという所があります。その結果、外の人たちには馴染めない風習とのぶつかりが、彼等を粗野に感じているのかもしれません」
「船乗り達は仕事が終わったら国に帰ればいい。現地での休暇とか色々と理由を付けてこの地に逗留するのがよくない。外国の悪しき風習がこの地に解けこむのも問題だ‥‥私とて、外国から来る文化を受け入れようとはしている。が、それがインドゥーラの戒律を、法を脅かすものであれば拒絶する‥‥陽は、彼らにこの地での風習と戒律を受け入れるよう徹底して欲しい‥‥それを伝えてくれぬか?」
 このアドラスには多くの船舶が泊まっている。
 それらは『船舶登録所』で許可を受けて入出港している‥‥。
「では、私達はこれで失礼します‥‥」
 丁寧に礼をすると、ヒースクリフ達はその場を後にした‥‥。



●7月〜まだまだ慈悲は?
 まもなく7月。
 慈悲と献身の試練も折り返し。
 さて、パラディン候補生一同は、どのようにして試練を突破するのだろう‥‥。

 遠征地一覧
・デリー
 古き町。貴族達による支配された土地。

・パトナ
 ベナレスの流れに身を寄せる緑の町

・アドラス
 インドゥーラ南部の町、経済・文化の中心地

・ラホール
 ヒマラヤ山脈西方の町


〜To be continue......