世界の守護たる道

■クエストシナリオ


担当:久条巧

対応レベル:

難易度:

成功報酬:-

参加人数:22人

サポート参加人数:-人

冒険期間:2007年09月01日
 〜2007年09月31日


エリア:インドゥーラ国

リプレイ公開日:09月27日18:05

●リプレイ本文

●試練
──ベナレス・アジーナ大寺院
 其の日はいつもより静かであった。
「‥‥静かですね‥‥」
「ええ。ついさっき、伝令が一人かけこんできたぐらいですね‥‥」
「それ以外は何もなしですか‥‥」
 いつものように寺院中庭を掃除しているコルネリア・ブルームハルト(ec0260)。
 実にのどかな光景の中に解けこんでいる二人を尻目に、大量の石版を抱えた阿修羅僧の高屋敷とねその後で何か思考しつつ歩いているウィルマ・ハートマン(ea8545)が、コルネリアに気が付いた。
「おーい、そこの人。暇だったら書庫でちょっと手伝いをしてくれないか? なに? 暇? 了解、ならすぐに来てくれ」
 とまあ、一方的にまくしたてて、ウィルマ達は書庫へと移動。

──そして書庫
 大量の石版。
 それらは幾つかの分類に区分けされている。
「さて、高屋敷。お前の今までの成果を見せて貰おうか?」
 そう呟くウィルマに、高屋敷は胸を張って説明を開始する。
「まず、このモヘンジョ・ダロ地下遺跡は『死者の丘』と呼ばれていることはウィルマさんもご存じかと思います。では、その名前が示すとおり、このモヘンジョ・ダロには『冥府への回廊』と呼ばれている者があります。それは一つでは泣く、幾つかに分かれて存在しています。ですが、それは地下からこっちに昇ってくるのを防ぐ為の回廊であり、こっちから向うに向かう為に作られているのではないということです‥‥」
 そう告げて、高屋敷は満足そうな笑みを浮かべる。
「それで?」
 ウィルマのその一言は、満足そうな高屋敷の表情を一転させる。
「それでって‥‥」
「高屋敷、君は実に優秀な阿修羅僧だ。だが、例の『深紅の魔物』についてはどうなった?」
 その言葉に、高屋敷は視線を外す。
「巨大な姿をした、八面十二臂の深紅の魔物。その正体が何かを急ぎ知る必要がある‥‥なのに、どうしてそれを調べていないんだ!!」
──ゴギッ
 ウィルマが手にした石版を握り締める。
「調べていなかった訳ではないのです。八面十二臂の深紅の魔物というと、このインドゥーラの神話にも存在していないのですから」

──存在していない?

「なら、俺が見たあれは何者なんだ? あれの存在をどう証明する?」
「でーすーかーらー。判らないから困っているのですよ。まだ伝承に現われていない古代の神々とか、まだ見ない『混沌神の申し子』とか‥‥」
 そう告げられて、ウィルマはとりあえずは納得。
「そういうことか‥‥仕方ない、引き続き調査頼む」
 そう告げて、ウィルマは大僧正の元に向かった。

──瞑想の間
 いつもの沈黙。
 結跏趺坐で座っているマカヴァーン大僧正の前に、ウィルマはゆっくりと歩み寄り、そして座る。
「今日は何のようだ?」
 目を開かず、そう問い掛けるマカヴァーン大僧正。
「モヘンジョダロの結界崩壊まで、あと60日だ。情報提供はサーガラと名乗る青年。虚言と切って捨てるには具体的数字が示された。大僧正、サーガラという何心当りは?」
 ウィルマが静かに、落ち着いた声でそう問い掛ける。
「サーガ。カター・サリット・サーガラか。このインドゥーラで、その名前を知らない者はいない、伝説の吟遊詩人だ。晩年は不老不死の秘宝で死なぬ身体となり、今だ世界を旅していると聞いているが‥‥」
「その、サーガラがそう告げたということは、喪その予言は本物なんだな?」
 ウィルマにそう告げられ、大僧正は頭を左右に振る。
「そうだな。早急に対処が必要となったか‥‥影衣にこの事を」
 その大僧正の言葉で、一人の副官が席を立つ。
「まだ話は終っていない‥‥『封印の剣』について、『人を滅する剣』について教えて欲しい」
 そのウィルマの言葉に、大僧正は静かに答える。
「古き剣は、今はその製法すら殆ど伝えられていない伝承の剣。古き民と、その眷族にのみ伝えられ、インドゥーラ以外にもそれを知り、それを作り出せる打ち手は存在するが‥‥。『人を滅する剣』については、各々調べてみるがよい」
 そう告げて、マカヴァーン大僧正は退室する。



●命の試練
──ラホール
 街は復興を始めていた。
 破壊された建物はほぼ元に戻り、怪我をしていた人たちも阿修羅僧達によって癒される。
 ラホールが元の姿を取り戻すまで、あと数カ月はかかるだろう。
 けれど、街の人たちはそんなことを気にスル様子も泣く、笑顔で毎日を過ごしていた‥‥。

──坑道
 そこは今はただの坑道。
 先月、鷹見仁(ea0204)が飛込んだ暗黒空間はもう存在せず、今は大勢の鉱夫達が入り、作業を行なっていた。
「距離と方角は一緒‥‥ということは、この位置が、あの少女のいた位置だな‥‥」
「ここが、そうなのか‥‥」
 シャロン・オブライエン(ec0713)と鷹見の二人は入り口から入り、先月通った道をそのまま再現して歩く。
 運がいいことに、鷹見達が通っていた道は坑道のそのままの道であったらしい。
 気になっているのはあの少女の存在。
 ラホールで阿修羅僧達や、復興が終るまで駐留してくれるパラディンに聞いてみても、答えは皆無であった‥‥。
「黒曜石の石碑もない。あの少女の正体も不明‥‥一体、なにがどうなっているんだ‥‥」
 それ以上そこにいても埒が明かない。
 一旦鷹見はその場をあとにし、他の仲間たちの元に向かった。

──その頃のル・フー
 純粋なる力。
 それを引出す為に必要なもの
 力ではない、全ては動作。
 一定の力の加減と、そこに至り、そこから導かれる動き。
 それが『剛剣術』の基礎の一つ。
「‥‥しっかし、この短期間で覚えられるかどうかは判らぬぞ‥‥」
 そう告げるル・フーに、バーク・ダンロック(ea7871)とレヴェリー・レイ・ルナクロス(ec0126)の二人は頭を縦に振る。
「何模しないでいるよりは、何かの為に」
「守りの剛剣術、正に、このオレサマにピッタリの技‥‥」
 レヴェリーとバークの二人は。そう呟いて再び型の鍛練に入る。
 午前中はラホールの復興手伝い、そして午後からはル・フーの元での剛剣術の訓練。
 二人にとっては、これが自分達にとっての試練。
「では基礎の型から‥‥レヴェリーが打ち手、バークが守り手‥‥」
 そのル・フーの言葉に、二人はお互いに向き合い、挨拶。
「では、参る!!」
「おお!!」
 そう告げて、基礎の肩の訓練から演舞に入る二人。
──ガギッ、ゴギッ
 スローモーションな動きでの打ち込みと、其れに対してのスローモーションでの受け。
 ゆっくりとした流れは、身体に予想以上の負担を強いられる。
「武器がこんなに重く感じるとは‥‥」
「ゆっくりとした動きが生み出す負荷‥‥。これはきついのう‥‥」
 そんなことを告げつつ、次は二人の攻守が入れ代わっての打ち込みが始まる。
「調子はどうだ?」
「‥‥ふむふむ。頑張っていますね‥‥」
 鷹見とシャロンがそう告げつつ、ル・フーに挨拶。
「うむ。筋はよいが、これを身につけることができるまで、一体どれぐらいかかることやら‥‥」
 そのまましばらく、鷹見達は二人の動きを見ていた。
 が、やがてその動きを真似し、見取り稽古を始める。
「やりたいのなら教える。が、どうする?」
 そう問い掛けるル・フーに、鷹見は頭を下げる。
「よろしく頼む!!」
「ああ。今は少しでも体を動かしていたいからな‥‥」



●命の試練・求めるものは
──ベナレス東方遺跡の外
 ハアハアハアハア‥‥。
 紅潮する顔。
 激しい息遣い。
「まだ‥‥まだだ‥‥もう少し‥‥」
 ヒースクリフ・ムーア(ea0286)がそう告げつつ、エビータ・ララサバル(ec0202)の手を握る。
「駄目‥‥もう‥‥限界‥‥」
 汗をかき、ぐったりとしているエビータ。
 もう身体中の力が抜けている。
「‥‥ぐっ‥‥行くぞ!!」
 そう呟くと、ヒースクリフは最後の力を振り絞り、エビータを穴の中から引きずり出す。
 深い深い洞窟の奥。
 ヒースクリフとエビータの二人は、大寺院で『アンブロディア』についての写しを探し、その花に付いての特徴が記された石版を探し出した。
 それを写し取り、ベナレス東方遺跡外にある村まで向かった。
 村までは何事も泣くたどり着く事ができ、そして黒曜石の石碑や琥珀獅子などをうまく対処したことも聞き出した二人は、いよいよ『アンブロディア』の探索を始めたのである。
 そして子供達から聞いた洞窟にやってくると、一旦装備を確認し、内部に突入した‥‥。

 内部は完全に迷宮であった。
 それも自然洞ではなく、何等かの者たちによって手が加えられた『ラビリンス』のようになっている。
「ふう‥‥助かったわ‥‥それにしても、いきなり『ピット(落とし穴)』とは、この迷宮も気合が入っているわね」
「ああ。墜ちたら最後だな‥‥」
 穴の底を手にした松明で照らす。
 鋭利なスパイクと、それに突き刺さっている白骨が大量にヒースクリフの目に写った。
「さて、とりあえず進むか‥‥」
「そうね。あの子達の話だと、けっこう先にアルみたいだからね」
 そう告げて、二人は先に進んだ。
 子供達が使っていたらしい小さな抜け道は、二人にはあまりにも狭すぎる。
 だから、正攻法でいくしかない‥‥。
 


●命の試練・アカシャの記したもの
──アジャンター石窟近く
「あと少しだよ♪〜」
 フォン・ラーマ・ルディア(ec0226)が地上を歩いている二人にそう告げる。
「はあはあはあはあ。判って居るわよっ。もう少しゆっくりと飛びなさいよっ!!」
「まあまあ、旅は焦らず急がず‥‥」
 息を切らせている昏倒勇花(ea9275)に、フィリックス・トゥルム(ec0139)がそう声を掛ける。
「でも、本当にあと少しなんだよ♪〜 ほらほら、もうすぐもうすぐ」
 そう告げつつ、眼の前に広がる巨大な窪地を目指して、フォンは飛んでいく。
「‥‥まーーーったく。なんであんなに元気なんでしょうね‥‥」
「若いからでは? まあ私もそこそこに鍛えていますから、この程度では‥‥ほら、見えてきましたよ‥‥」
 そう告げているフィリックスと勇花の目の前にも、巨大な窪地が見えはじめた。
 その中央にそびえたつ、高さ50mはある巨大な樹。
 そしてそこを中心に広がっている小さな村。
 そこが、フォン達の目的地である『アカシャの樹』であった。

──樹の麓の村
「そうですか。遠路はるばる御苦労様でした。私がこの来を見守る『アカシャ』と申します。この地では、代々、樹護の役目を伝えてきました」
 そう告げるのは、一人の男性。
「いえいえ、こちらこそご丁寧にありがとうございます。私は旅の阿修羅僧・フフォン・ラーマ・ルディアと申します」
「同じく、彼の護衛としてやってきました、フィリックス・トゥルムと申します」
「あらあら、みんなして早い挨拶ね。私は昏倒勇花40歳花の乙女よ!!」
 とまあ、一通りの挨拶をして、フォン達はアカシャに進められるままに小屋のなかに入っていった。

──そして
「このアカシャの樹は、インドゥーラ、そしてこの世界に生きる全ての者たちの記録なのです‥‥」
 静かに話を始めたアカシャは、フォン達に理解できるようにそう告げた。
「えーーっと‥‥つまり、この樹は私達の事も知っているって言うのかしら?」
 そう勇花が問い掛けると、アカシャは近くに置いてあった大量の木の葉から一枚を取り出し、それを勇花に向け、何かを念じる。
 そして勇花の耳元に近付くと、何かを告げた。
──ボッ!!
 突然耳まで真っ赤になる勇花。
「どどどどどどどどどどうしてその事を、貴方か゛知っているのよっ!!!」
「私ではありませんよ。このアカシャの木の葉に、貴方の記録を移し変えただけですから‥‥」
 そう告げて、アカシャはフォンに向き直る。
「さて、フォンさん、貴方の問いに『答えられる範囲』でお答えしましょう‥‥」
 そのままアカシャは話を始めた。
「混沌神、そしてその眷族達。それらを奉っている古き民は確かに存在し、今でもこのインドゥーラで、生きています。彼等の殆どは他の民族との交流を断っており、現在に至っています」
 そのまま一拍置いて、再び口を開くアカシャ。
「それゆえ、交流の少ない古き民が、何を、どのようにして生きてるのか、私達にも判りません‥‥」
 そしてしばし沈黙。
「では、このモヘンジョ・ダロ遺跡には数多くの遺跡群が存在しています。それらには、魔王群などが封印してあるのでしょうか? この遺跡ではこの魔王が奉られて‥‥みたいなものは?」
「フォンさんのおっしゃる通り。幾つかの遺跡群には、追従する神々が封印されています。といっても、それは神本体ではなく、神の器というのが正しいでしょう‥‥これはアジーナ大寺院でも知らない真実です‥‥」
 その言葉に、その場に居合わせた勇花とフィリックスも唖然とする。
「‥‥なら、どの遺跡群にどの神の器が?」
 その言葉に、しばらく沈黙していたアカシャ。
 そしてゆっくりと話したのが、この結び付きであった。

・バガン地下遺跡・最下層多重結界=司法神・魂の分身体
・ベナレス東方地下・次元回廊=混沌神・魂の分身体
・ベナレス南方地下・立体構造区画=破壊神・魂の分身体
・ベナレス中央地下・石碑による転移階層=混沌神・意識の女性体
・ベナレス北方地下・果てしなき暗黒空間=司法神・意識の男性体
・アジャンター石窟地下・48の闘士の待つ回廊=破壊神・魂の器

「それらは封印内部を彷徨い、失われた残りの身体(魂)を求めています」
 そのアカシャの言葉に、フィリックスは立上がった!!
「なら、パラディンとなる為の『試しの試練』でそこにむかうというのはどういう事だ? 死ぬのを覚悟で戦えと言うことなのか?」
 その叫びに、アカシャは肯く。
「そうではありません。試しの試練、そして地下遺跡群の真実を知るパラディンが同行しています。あそこには死ぬ為に向かったのではありません‥‥事実、古き神々は今だ結界の地下、はるか彼方に封印されたままですから‥‥彼等自身は候補生達に攻撃を行う事は出来ないのですよ‥‥まあ、いずれすべては判るでしょう‥‥」
 そう告げると、アカシャは立上がった。
「では、一つだけ教えてちょうだい。このパラディン候補生の試練、最後に生き残ってパラディンになるのはどれぐらい居るのかしら?」
 その勇花の言葉に、アカシャはしばし思考。
 そして木の葉を一枚取り出し、それをフォンに向けて念じた。
 しばらくして、アカシャはフォンの耳に何かを告げると、そっと笑みを浮かべた。
「わ、私には教えてくれないのかしら?」
「アナタは当事者。故に未来を教える事は出来ません。フォン殿は阿修羅僧故、全てにおいて公平。ならばこそ‥‥」
 そう告げたとき、フォンはニコリと微笑んで、必死に笑いを堪えていた。



●命の試練・藩王の苦悩
──デリー・藩王の居城
「‥‥酔狂な‥‥」
 眼の前に達、じっと自分を見ているパラディン候補生に、藩王アーガー・ハーンはそう呟いた。
 今、藩王の前には、アレーナ・オレアリス(eb3532)とマグナス・ダイモス(ec0128)、フェイ・グリーンウェル(ec0238)の3名が立っている。
 マグナスとフェイの二人は『静かなる錫杖』の探索を、そしてアレーナは藩王の身の回りで、兎に角仕事がしたいと告げたのである。
「藩王どのがそう告げるのも判ります。私は猜疑心に囚われ真実を見失っていました。藩王の真意を見極めることができなかった私はパラディン候補生失格です。申し訳ありませんでした」
 頭を下げて謝罪するフェイ。
「その事はもうよい。仮にも候補生、己が非を謝罪する勇気しかと見届けた‥‥では、貴殿らにも錫杖探索を頼みたい」
 そう告げる藩王。
「判りました。ですが藩王様、一つ御願いがあります」
 そのフェイの言葉に、藩王はじっとフェイの方を見る。
「私達はこの探索での謝礼は頂けません。その変わり、他にこの依頼を受けている冒険者達に、それなりの保障を御願いします」
 横からやってきた自分達が仕事を持っていったと鳴ったら、依頼を受けていた冒険者達には面白くない。
 だからこそ、フェイはその提案をおこなったのである。
「それは構わぬ。錫杖探索は成功報酬、樹で゚ンラが先に見付けた場合は、『後程』改め
て彼等には謝礼を行うとしよう。但し、この事は口外無用、報酬を約束された彼等がなまけて仕事をしないとも限らぬからな‥‥」
 冷たく言い捨てる藩王。
「ならば藩王、提案があります」
「構わぬ、話せ」
 マグナスの言葉に藩王がそう告げ、マグナスはゆっくりと話を始める。
「冒険者達には、情報提供や手助けに対しての報酬と居て、成功報酬以外に我々からも追加報酬を出す事を約束し、その代わり『杖』を発見したら、私達パラディン候補生が運搬管理を行う形にして貰う契約を結ぶというのは?」
 走する事で、彼等の信頼を裏切ることなく、むしろ情報を集めるという点において、かなり有利に話を進めることができる。
「成る程。候補生も、それなりに考えているようだな‥‥」
 相変わらずの軽口。
 でも、それも虚栄からくるものであることを、その場の誰もが知っている。
「貴様達の好きにしろ。私はよい結果のみを待つ。アレーナとかいったな、貴殿の申し込みは受けよう。我がもとで好きにしているがよい‥‥」
 そう告げると、藩王は自室へと戻っていった。

──そして錫杖
 冒険者ギルドでは、錫杖探索を請け負った冒険者とフェイ、マグナスでの細かい打ち合わせが行なわれている所であった。
「錫杖があると思われる場所はここ、モヘンジ゜ョ・ダロ遺跡群の中のアジャンター石窟地下。そこにある闘士の像の一つが持っているという情報が手に入ったのだが‥‥」
 冒険者がそうフェイ達に告げる。
「なら、そこに向かえばよかったのに‥‥」
「無茶を言わないでください。あそこは『パラディンの管理下』です。一般市民、そして冒険者でも通り抜けることはできませんよ‥‥ということですので」
 トン、と冒険者のリーダーが、マグナスの肩を叩く。
 つまり、ここから先はフォン達しか向かう事の出来ない場所のようだが‥‥。
 そこは試しの場所。
 アジャンター石窟地下・48の闘士の待つ回廊‥‥。



●試しの試練
──バガン地下・多重結界
 バガン地下・ベースキャンプを出発して4日。
 一行は、八部衆夜叉位・ラグナの案内で、最下層多重結界へと向かっていた。
「ラグナ殿。そこには一体、何があるというのだ?」
 今だなにも出てこないこのバガン地下回廊で、一行は黙々と探索を続けていた。
「ふう‥‥ラグナ殿、俺はここでどんな試練を受ければいいんだ?」
 そう最後尾をのんびりと歩いているラグナに問い掛けるアイザック・トライスター(ec0141)。
「さあ‥‥ね。試練はもう始まっているから、がんばってねぇ♪〜」
 鼻歌混じりでそう告げるラグナ。
 過去の調査による地図は、すでに使えない。
 マッピングしていた場所は既に越えてしまっていた為に、新たなる地図が作り出されている。
「ラグナ殿。もし出来れば、パラディンとしての心構えを教えて欲しい」
 そのアイザック・トライスター(ec0141)の言葉に、ラグナは一言。
「君がどうしてパラディンになったか。それを思い出してくれればいいよ。まあ、『阿修羅を疑う事なかれ』ということだけは覚えていてね」
 そう告げて、ラグナは再び鼻歌を奏でた。


──そして
「黒曜石の剣?」
 ある日のキャンプ。
 まもなく多重結界に突入する為、最後の準備をしていた一行。
 食事を終え、束の間の休息をしていたとき、三笠明信(ea1628)がラグナに問い掛けていた。
「ええ。先日、ベナレス南部地解析から引き上げてきた黒曜石の剣ですよ。あれは一体なんだったのでしょうか?」
 そう問い掛ける三笠に、ラグナは肯く。
「あれは神々の結晶体の一つ、いわば力の一つという所かな? あれは人ならざるものの結晶だから、人ならざるものでなくては扱えないよ♪〜」
 そう告げて、ラグナは自分の獲物を手に立上がる。
「さて、ルミリア、今日の訓練だよ☆」
 その言葉に、ルミリア・ザナックス(ea5298)は肯きたちあがる。
 ここの遺跡に突入してから、ルミリアは毎晩ラグナから『剛剣術』の基礎訓練を受けていた。
 というのも、ルミリアが出発の際にラグナに問い掛けたこの言葉。

「ダ・ガー氏は混沌の申し子たちに敗れた為に我らが会った場所に封じられていたようですし‥‥以前試した事からも、おそらくこの技はこのままでは奴らには通じぬでしょう‥‥我らがこの太刀をいかに磨いてゆくべきか、何かご存知なればお教え願えまいか?」

 これがラグナの興味を引いた。 
 そしてラグナはルミリアに見せた。
 剛剣術を、その真の力を。
 そしてルミリアに、剛剣術とはなんであるかを説いていた。
 力の出し方、眠っている力の解放、そして限界を越えた先にある、さらなる自身の力。
 ラグナはそれを『オーバーリミット』と呼び、その力を自在に扱うのが『剛剣術』というレクチャーをした。
 では、その限界の先の力とは?
 ルミリアはそれが判らない。
 だからこそ、毎日限界まで組み手を行ない、そして限界を越えようとする。
──ガギカキガキガギガキッ
「チッ!!」
 舌うちしつつ、後方に下がるルミリア。
「いい打ち込みだけど、その程度じゃあ限界は無理」
「ふむ。ならば、少し手法を変えてみよう!!」
 剣を腰に戻し、ゆっくりと身構える。
「The Aura Will be with you・・・・Always 」
 そう告げつつ、呼吸を整え、体内に気が循環するのを確認。
 やがてそれが身体を満たすと、ルミリアは次々とオーラを発動。
「ふむ。剛剣術をオーラで補う。いい発想だよね?」
 そのままラグナがルミリアに切りかかる。
──カン!! ギィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン
 と、そのラグナの切っ先に剣の切っ先をぶつけて流し、素早くカウンターを叩き込むルミリア。
 だが、それは直撃した刹那、ラグナの胴部で止まった!!
「ば、ばかな‥‥我が輩のこの一撃を受けとめるだと?」
 絶叫するルミリアに、ラグナは止めの一撃。
 首筋に、見えない剣の刃の感触。
 背筋を流れる冷たい汗。
 そしてルミリアの言葉は一つ。
「参った‥‥降参じゃ」
「ね。その先。そこから先に出る力。それなんだけれどねぇ‥‥」
 そう告げて、ラグナは寝床へと戻っていく。
 そんな二人のやりとりを、アイザックと三笠はじっと見ていた。



●試しの試練
──ベナレス東方地下・次元回廊
「えーーーっと、上とシたと→と左が入れ代わって?」
「ですから、感覚の逆転と置換ですってば‥‥」
 ベナレス東方地下遺跡。
 次元回廊と呼ばれる封印の扉の前で、アンドリー・フィルス(ec0129)とシアン・アズベルト(ea3438)、鳳美夕(ec0583)の3名は八部衆迦楼羅位・マトゥラーからレクチャーを受けていた。
 とにもかくにも次元回廊とは厄介なものである。
「マトゥラーさん、痛みは?」
「痛み以外のものに変わります。ですから、痛み以外の感覚があった場合、それは怪我だと思っても差支えありませんわ」
 美夕の問いにそう返答するマトゥラー。
「逆に、そこにない感覚は、そこにある感覚と思ってもよいと?」
 シアンがそう告げて、やはりマトゥラーは頭を左右に振る。
 次元回廊。
 全ての感覚が入れ代わる回廊。
 また、過去と現在、その他様々な空間に干渉する『回廊』と、異空間に繋がる『扉』が存在する。
 目的の場所は『紫水晶結晶体』の安置されている空間。
 かつて、阿修羅の力によって大いなる加護が与えられ、パラディンに大いなる力を授けるという。
「貴方がこの回廊を選んだというのは、何か理由があるようね‥‥まあ、準備が出来次第入る事にしましょう‥‥」
 そう告げると、マトゥラーはゆっくりと荷物を確認しはじめた。
 そして全員が覚悟を決めると、巨大な扉がゆっくりと開いた‥‥。



●命の試練
──影衣十兵衛と共に
「次!!」
 深い森。
 その奥で、上泉蓮華(ec0178)が全身から吹き出す血を拭うことなく、巨大な剣を振回す。
「あと何匹だ!!」
 そう叫びつつ、レナード・ガーランド(ec0215)もまた、愛用の武器を片手に、目の前の『悪霊』を叩き斬った!!
──ズバァァァァァァァァァン
 身の丈3mの悪霊。
 相手が攻撃をしかけてくる瞬間にのみ実体化する為、レナードはカウンター越しに悪霊を叩き斬る。
「あと2匹。それが終ったら場所を移して飯としよう!!」
 身構えた三鈷双剣からオーラを飛ばしつつ、影衣十兵衛がそう叫ぶ。

 ここはヒマラヤ山脈の麓。
 悪霊の住まう森戸事件呼ばれている、『混沌神の申し子』の徘徊する危険な森。
 定期的にパラディン達はここを訪れ、増えつづけている悪霊を倒している。
 今月は影衣十兵衛がその任務についていた為、上泉蓮華とレナード・ガーランドの二人は『生の試練』として、この場所にやってきたらしい。
 というか、殆ど蓮華が強引に影衣についていき、レナードはその監視役という感じになっているが。
「それにしても‥‥一体こいつらは何処から湧いてでるんだ?」
 そう呟くレナード。
「このインドゥーラ全域で対峙された『混沌神の申し子達』の残留思念というか、まあそんなものだな‥‥それは全てこの森に集る。ここからサき、お前たちが目にするものは、このインドゥーラの国家機密にも価するものだ‥‥決して口外するなよ‥‥」
 そう告げて、影衣達がむかった先。
 そこには、古い、巨大な霊廟があった‥‥。



 さて。
 命とは?
 魂とは?
 その先に見える何か。
 それにたどり着いたとき、人は新たなる革新を得る。
 それが何であるのか。
 答えは、貴方の心の中。


●第4の試練・移動先一覧
 第一回〜第7回までに登場した場所全て、及び、図書館にて確認できる『地誌・風土記』に示されている場所に移動可能。
 必ずチームを組むこと。
 なお、チームには一人のどうこう阿修羅僧がつきます。


●試しの試練・移動先一覧
 異動先選択は候補生(アンドリー、アイザック)が行ない、それに八部衆パラディンが同行。
 必要ならば『阿修羅僧』の手配を行なってもよいし、さらに2名までの『候補生の随伴』も許可。
 この場合の『随伴候補生』は、これに参加する事で『生の試練』をうけたこととなる。

・バガン地下遺跡・最下層多重結界
・ベナレス東方地下・次元回廊
・ベナレス南方地下・立体構造区画
・ベナレス中央地下・石碑による転移階層
・ベナレス北方地下・果てしなき暗黒空間
・アジャンター石窟地下・48の闘士の待つ回廊

 以上、それぞれ健闘を祈る。

(第9回に続く・・・・・・)


今回のクロストーク

No.1:(2007-09-11まで)
 マグナス、フェイに問う。
錫杖はアジャンター石窟地下・48の闘士の待つ回廊にありとの情報。向かうか? 諦めるか?

No.2:(2007-09-12まで)
 アイザックに問う。
パラディンとは? 
そしてその為に必要な心構えとは?