世界の守護たる道
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■クエストシナリオ
担当:久条巧
対応レベル:‐
難易度:‐
成功報酬:-
参加人数:22人
サポート参加人数:-人
冒険期間:2007年02月01日 〜2007年11月31日
エリア:インドゥーラ国
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●悠久なる大地、その表と裏
インドゥーラ。
遥かなる霊峰山脈ヒマラヤから灼熱の大地セイロンへと南に向かって狭まっていく広大な三角の大地に広がる国家。
様々な内乱の後、インドゥーラとして国家が誕生してから、まだ100年余り。
だが、そのうちに抱えているものは、それよりも長く、深い闇の歴史であった‥‥。
●インドゥーラ東方・バガン
古くは神聖歴以前に栄えていたと伝えられるバガン。
インドゥーラ首都ベナレスより東方に位置し、古くからビュー族と伝えられる者たちによって『保護』されていた。
そのバガン中央地下に眠る『賢者の碑石』は、いまなおも活動する『邪竜』の封印として知られているが‥‥。
──バガン地下遺跡『バディシャール』第4階層
大勢の戦士達が死霊と戦う地。
いまなおもこの地には、様々な悪霊が徘徊しているという。
それらはこの『バディシャール』の遥か地下より目覚めているとも伝えられており、死霊達は太陽を求めて地上へと歩きつづけていた‥‥。
──バギャッ!!
薄手の鎧を身につけた戦士が、眼の前に現われた悪霊を手にした杖で殴りとばす。
「ふん。阿修羅(アシュラ)の教えより外れた者たちよ‥‥とこしえの地に落ちるがよい」
阿修羅僧と呼ばれる僧侶の一人、サールンガは目の前で崩れていく死霊にそう告げると、さらに奥から現われた悪霊に向かって杖を構える。
「ここから先は生者の地なり!! 貴様ら『混沌神の申し子』には一歩たりとも越えさせはせぬ!!」
その叫びの後、階層奥の広場よりズルッ‥‥ズルッ‥‥と何かが這い寄る音が聞こえる。
それはやがてランタンの灯に照らされ、その全身をあらわにした。
巨大な階層の天蓋までの高さはおよそ20m。
その中程以上にも達する背丈を持つ巨大な6ッ頭の竜。
それが巨大なあぎとを開き、咆哮を上げている。
──グゥォァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ
その一声で、其の場に板阿修羅僧や戦士達の全身が硬直する。
「惑わされるな。『魔の叫び』如きで、我等の意志は崩されないッ!!」
サールンガの叫びは仲間たちにも届き、戦士達は力を取り戻して『混沌神の申し子』に向かって剣を構える。
だが、申し子の背後より生まれし死霊達もまた、古き武具を携えて襲いかかってくる‥‥。
激しい戦い。
死霊達は混沌の申し子の力の加護を受け、戦士達を蹂躪する。
申し子もまた、自在に蠢くその口で゛戦士や阿修羅僧達を食らい、呑み込んでいった。
あきらかに絶望が訪れはじめていたが‥‥。
「封印を守護する者たちよ‥‥彼の悪しき者たちに、強き阿修羅の力を示さん!!」
その叫びと同時に、サールンガの後方から一人の戦士が走りこんでくる。
「サールンガよ。我等の到着まで良くぞ耐えた。ここから先は我等が。貴殿達は仲間たちの手当をっ!!」
仮面を付けた騎士が、手にした三鈷杵を点にかざしつつそう叫ぶ。
「力よあれっ!!」
突然手にした三鈷杵が輝くと、その先端より輝く剣を生み出した‥‥。
──キィィィィィィィィィィィィン
突然現われた騎士に向かって、申し子は巨大な口を開くと、灼熱の息を吹き出した!!
──ゴオゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ
それは騎士の全身を被いつくすかのように見えた。
だが、その炎が収まったとき、騎士の目の前には透き通った球状の壁が生み出されていた。
「その程度の炎では、我がシャクティマンダラは破壊することは出来ぬっ!!」
そう叫ぶと同時に壁は崩れ、中から騎士が飛び出した!!
「皆のものっ、クンクムを唱えよ!! パラディン殿に阿修羅の加護を!!」
そのサールンガの叫びと同時に、其の場にいた阿修羅僧達は一斉に印を組み韻を紡ぐ。
阿修羅の加護をパラディンに届けようとしたのである。
「僧たちよ、力添え感謝する!! 戦士達よ、混沌の申し子は私が引き受けた!! 死霊達は貴方たちで!!」
その言葉と同時に、戦士達も反撃に出た。
怒涛の如く襲いかかる死霊達に向かって、戦士達も阿修羅僧のバックアップを受けて一進一退の攻防を繰り広げる。
そしてパラディンは、混沌の申し子に向かって間合を詰めると、さらに天空に剣を掲げる。
「阿修羅よ!! 彼の剣に神の一撃を与えたまえ!!」
その刹那、剣が光り輝くと、パラディンは輝く翼を背中より生み出し、空に舞い上がった。
──ドシュュュュュュュュュュュュュュュュュュッ
そして混沌の申し子の首を一つ刎ね飛ばすと、さらに別の首に向かって一撃を叩き込んだ‥‥。
──そして
死霊達は其の場に崩れ大地に戻る。
同じく混沌の申し子も、全ての首を失い大地に崩れた。
「ここまでです‥‥サールンガよ、地の封印を」
傷ついたパラディンはそう告げると、其の場にゆっくりと膝を付く。
「判りました。誰か、パラディン殿の治療をっ!!」
──シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ
そう叫ぶ中ゆっくりとパラディンの傷は回復していく‥‥。
そしてサールンガもまた、大地の封印を施すと、再び仲間たちの元へと戻っていった。
●新たなる血の受け入れ
インドゥーラ首都、聖なる都ベナレス。
そこに位置するアジーナ大寺院には、インドゥーラの誇る聖騎士団達が存在します。
彼等はパラディンと呼ばれる、阿修羅神の加護により魔術を使うことの許された聖なる騎士達であり、阿修羅神の教えのもと、世界に派遣されたり国内での争いを修めるなどをしております‥‥。
──アジーナ大寺院中央・悟りの間
大きな広間。
そこに丸く座している5人の人物と、その中央に結跏趺坐で中空に浮いている人物が一人。
「マカヴァーン・ディアス大僧正に報告します。バガン地下遺跡『バディシャール』に向かった影衣十兵衛(かげい・じゅうべえ)より、『混沌の龍』の討伐に成功したとのことです」
丸く座しているのはこのインドゥーラのパラディンの中でも上位、八部衆と呼ばれている者たち。
今は諸外国に派遣されている為、現在インドゥーラに残っているのはここの5人と、先程報告の在った影衣十兵衛、その6名のみである。
「影衣か。摩喉羅伽(まごらか)の名を受けてから、ずいぶんと頑張っているようだな」
大僧正の言葉に、報告を行った乾闥婆位の『リオン・ダルーシャ・ハーゲン』も肯く。
「私からは残念な報告です」
仮面を付けた女性パラディンが、手にした木簡に目を通してから、大僧正にそう告げる。
「迦楼羅位の『マトゥラー』か。告げよ」
「はい。モヘンジョ・ダロ南方遺跡群、バンガロールにおいて活性化した『混沌の銀獅子』により、パラディン位6名が死亡。残った者たちで銀獅子の封印は再構成しましたが、残念な結果となってしまいました‥‥」
そう告げて、マトゥラーは下をうつむく。
「そうか。遺族にも報告を。夜叉位『ラグナ』、何を笑っている?」
大僧正がマトゥラーの大極に座っている夜叉位の『ラグナ』に向かって、そう強く告げる。
「僭越ながら。殺されたパラディン達は功夫が足りなかったのではないでしょうか?」
そう真剣な表情で告げる最年少パラディンのラグナ。
「ラグナ、口をつつしめ!!」
ラグナの横に座していた緊那羅位の『白(パイ)』がそう告げる。
「ですが白殿、ここ数ヶ月、パラディンの死亡が増えているのも事実です。当初200名余りいたパラディンが、いまは182名。それも『混沌の申し子達』との戦いによって命を落とした者ばかりです。加えて龍位なき今、新たなるパラディンの増員は必須かと思われますが」
リオンの外の言葉に、大僧正も静かに肯く。
「各国の王に伝令を。新たなる阿修羅の戦士を受け入れると‥‥」
その言葉に、八部衆はそれぞれ立ち上がり、自分達の後ろの扉に消えていった。
最後に残ったラグナもまたゆっくりと立上がると、大僧正に静かに問い掛ける。
「天位フィームどのはいずこに?」
「彼の者はここより北方。若き国王の元、白銀の騎士たちと共にある‥‥私から彼女には伝令を入れる」
そう告げられて、ラグナは神妙な面持ちでその場をあとにした。
●闇の眷族
──モヘンジョ・ダロの何処か?階層
静かなる闇。
その中に蠢く様々な『物体』。
あるものは人の姿、またあるものは闇の集合体。
それらはみな、あるものを中心に蠢いていた。
中央に位置する巨大な水晶体。
それに幾重にも刻まれた魔法文字と聖なる刻印が、その内部に『封印』されている女性に永久の眠りをもたらしていた。
「ラリィミューンどのはまだ目覚めぬか‥‥」
闇が蠢きつつそう告げる。
「うむ。我等が生みの親、混沌の母たるラリィは、このいまいましき『神々の縛鎖』から逃れることは出来ぬようで‥‥」
別の闇がそう告げる。
「銀獅子と六央竜はパラディンにやられたらしい‥‥」
「ほほう。敵ながらあっぱれという所か」
人型がそう告げつつ、静かに立上がる。
「虚人(うつろびと)よ、どこに向かう?」
さらに別の闇がそう問い掛ける。
「エローラの封印を破壊する。『2頭虎』と『琥珀獅子』はついてこい‥‥奴等『人』を食わせてやる」
その虚人の言葉に、すっと現われた琥珀獅子とニ頭虎は肯いてついて行った。
●そして
イギリス、フランク、ノルマン、ロシア、ジャパン、華仙教大国‥‥
様々な国家で御振れが出された。
それはインドゥーラでパラディンを選定するという事。
すなわち、パラディンへの道が開かれたという事実である。
各国の騎士団から腕利きの騎士が送られる。
そしてその噂を聞いた志井の人々もまた、パラディンとなるべくインドゥーラへと向かった。
神聖暦1002年。
新たなる戦士の物語が始まる。