幻の流派を追え!!

■クエストシナリオ


担当:久条巧

対応レベル:

難易度:

成功報酬:-

参加人数:16人

サポート参加人数:-人

冒険期間:2007年11月01日
 〜2007年11月31日


エリア:華仙教大国

リプレイ公開日:12月03日18:42

●リプレイ本文

●侵攻作戦
──大同攻防戦
 ドドドドドドドドドドトッ
 草原を駆けぬける騎馬の音。
 一頭の早馬が、大同から燕京に向かってかけていく。
 その荷物の中には、大同の未来が託されている。
「一刻も早く、この書状を‥‥」
 まもなく大同は戦争に突入する。
 それを防ぐ為に、琴宮茜(ea2722)はこの件を海陵王に進言し、軍の派遣要請を行なったのである。
 そして早馬はかけていく。
 
──その頃の大同
 大勢の民が、裏門から避難している。
 琴宮の告げた作戦を、黄志狼がそれなりに改良し、より民の安全を考慮して実行されている。
 裏門から逃れた人々は、そのまま隣の城塞都市まで避難し、そこまでの陸路は全て黄志狼の配下によってがっちりと警護。
「さて、こっちの準備はOKと‥‥」
 月詠葵(ea0020)は第二の策『火計』の準備をしている。
 この城内に突入された場合、もっとも効率よくこの城塞を燃え落とすか、綿密な計算の上での配置。
「さて、あとは敵の動きを待つばかりだな‥‥」
 一通りの準備を終えて、月詠は横で作業していた琴宮にそう告げる。
「ええ。最悪の場合は、私達で敵陣に突入‥‥その覚悟は出来ています」
 その琴宮の決意に、月詠はニィツと笑う。
「その調子です。さて、それじゃあ一休みして、最後のうち会わせに向かいますか‥‥」
 そう告げて、二人は本陣に1度戻っていった。


●『華仙教大国統一大武会・龍王・決勝トーナメント』
──大武会会場・第一試合
 大勢の観客で埋めつくされた会場。
 その中央では、今まさに注目の一戦が始まろうとしていた。

「それではっ。玄武の方角より海陵王・憐泰隆っ!!!!」
 観客の絶叫が限界まで高まり、擂台に海陵王の姿が現われる。
 そのまま静かに、階段を昇ってくる陸潤信(ea1170)の姿を、じっと見ていた。
「続いて青竜より、陸潤信っっっっっっっつ」
 激しい声が会場に響くと、潤信もゆっくりと階段を昇っていく。
 そして中央に足を進めると、そのまま互いに抱拳礼を取る。
「猛虎拳か、正式伝承は終ったのか?」
 そう呟く海陵王に、潤信は頭を左右に振る。
「まだです。が、この大会で勝ち進んでいけば、いつか奥義の伝授も‥‥」
 そう告げる潤信に、海陵王は静かに肯く。

──ドワワワワワワワワァァァァァァン
 開始のドラが会場に響き渡る。
 その瞬間、潤信の両手がオーラで輝く。
 そして神速の歩法で海陵王に間合を詰めると、虎独特の低い体勢からの連撃を叩き込む。
「猛虎拳・打法『虎口・牙』っ!!」
 その激しい連撃を、海陵王は全身の肉体を締め、全身をがっちりと固くしてガード。
 致命傷は全て反らしている。
「むぅ‥‥こ、これはきついなぁ‥‥」
 と呟くと、そのまま構えを解いて、ガバッと両腕を開いた大胆な構えを取る。
「いい腕だな‥‥けれど、あと2年はかかる。モノにするには時間が必要だ」
 そう呟くと、海陵王は一歩前に踏み出す!!

──ダン!!

 震脚と同時に、潤信に掌底を叩き込む海陵王。
 その一撃を、潤信は後方にとんで躱わすが。
 さらに間合を詰めて、海陵王が低い体勢から拳を叩き込んでくる。

──タッ‥‥ドッコォォォォォッ

「波動海陵拳っ!!」
 これぞ海陵王の必殺技。掌底からのかちあげ正拳突き。
 それをもろに食らい、潤信は大地に崩れる。
 が、ゆっくりと立上がると、そのまま両脚の歩幅を限界近くまで伸ばし、腰を落として体勢を取る。
 右手は猫手と呼ばれる形に、左手は逆手の手刀。
「ふぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ‥‥はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」
 呼吸を整えつつ、海陵王の動きをじっと見る。
 相手はこの国の元首にして武闘家。
 戦えるだけ光栄ならば、潤信は『奥の手』を隠すことなく、最後の賭けに出る。
「‥‥ふむ。猛虎拳奥義『虎口連撃』。成功するのか?」
 そう告げて、静かに構えを徳海陵王。

──タッ!!

 虎のしなやかな動きで、海陵王に襲いかかる。
 右の猫手による打撃
 続いて左手の喉元をえぐる手刀
 さらにそこから大地を蹴り跳ねあげる右と左の膝。
 さらに大地に止まり、回転する右の肘撃。
 そこから打ち込まれる3連脚。

 それらの全てを、海陵王はがっちりとガードした。
「そ、そんなばかな‥‥」
 すでに限界を越えた潤信が、そう叫びつつ膝をつく。
「いい腕だ‥‥将来がたのし‥‥み‥‥」
──ドサッ

「勝者、陸潤信っっっっっっ」
 歓声が会場に響く。
 そして、潤信はようやく理解した。
 自分が、猛虎拳が勝利を掴んだ事を。


──大武会会場・第ニ試合
 第一試合の喧騒もそのままに、第二試合がまもなく始まる。

「それではっ。白虎の方角より虚空牙選手の入場です!!」
 その叫びと同時に、階段をゆっくりと駆けあがる空牙。
 そのまま擂台の上で軽くジャンプすると、周囲を見渡す。
(いた‥‥あんたの教え、実行させて貰うよ‥‥)
 その視線の先には、楊小竜の姿があった。
 この会場に来る前、空牙は楊小竜を捜していた。
 蚩尤の狂気を押さえる術、それを教えてもらう為。
 それは、以外にも簡単である。
 ちょっとした自分との駆け引き、それである程度の制御は可能。
 あとは、それを実践できるかどうか。

「それではっ。朱雀の方角より、天狼王選手の入場です!!」
 ゆっくりと階段を昇る狼王。
 開始前に、すでに気は高まっている。
 それでいて、殺気や闘気の類は極限まで押さえこみ、空牙の中の『蚩尤』が触発されないように細心の注意を配る。
「‥‥朧拳と朧拳。歴史上存在しない戦い‥‥か」
 ゆっくりと対戦相手である空牙を見、その体から発されている気を感じ取る。
(随分とおだやかだな‥‥これが、蚩尤の気なのか‥‥)
 そう考えるほど、空牙は安定している。
 だが、先月の戦いでは、開始の合図と同時に、その気が狂気にとらわれ、爆発的な破壊力を生み出していた。
 それゆえ、油断は禁物である。

──ドワワワワァァァァァァァァァァン
「それでは、始めっ!!!」
 開始のドラが鳴り響く。
 その瞬間、狼王が素早く走りこみ、右回し蹴りを叩き込む!!
──ガシィィィィィッ
 その一撃は両腕で防ぐ空牙。
 そのまま体勢を整える前に、狼王に向かって肩から体当たりを叩き込む。
 それに反応しきれずに後方に吹っ飛んだ狼王目掛けて、さらに肩口から体当たりを叩き込む。
──ドッゴォッ
 それは狼王の腹部にもろに直撃。
(ぐはぁっ‥‥胎を作っていないから‥‥きついな‥‥)
 そのまま擂台に崩れそうになるが、なんとか踏みとどまって後方に下がり、深呼吸。
「スーーッハーッ‥‥よし、油断したがもう大丈夫だ」
 そう告げつつ、ゆっくりと体勢を低く取り、空牙を見据える。
「ようやく本気という事か。なら、こっちも本気でいかせてもらう‥‥」
 その言葉の瞬間、空牙の気が異質に変化する。
「くるぞ‥‥天奉師父曰『10万の戦士の気』が‥‥」
 膨れあがる蚩尤の気。
 だが、それには狂気は感じられない。
──タッ!!
 素早く狼王との間合を詰めると、そのまま次々と掌打を叩き込む。
 それらをどうにか受止めているが、やがてそれは体に直撃し、少しずつではあるが、狼王にダメージを蓄積しはじめた。
「‥‥軽いな‥‥いい感じだ」
 蚩尤の気を制御しつつ、自分の攻撃モーションをただひたすら続けていく。
 山のような基礎。
 それらが今、身を結んだのであろう。
──ドガァァァァッ
 そして最後の一撃。
 正面から狼王の顳かみに叩き込まれ、そのまま狼王はよこに激しく吹っ飛ぶ。
「まっ‥‥また‥‥」
 素早く体勢を整えなおすが、その刹那、空牙のとどめの一撃が狼王に叩き込まれた。

「勝者、虚空牙っ!!!」
 その掛け声と同時に、歓声が沸き上がる。
 その声を、擂台のど真ん中で台の時になって聞いている狼王。
「‥‥う‥‥うごかねぇ‥‥体が‥‥痺れて‥‥」
 限界をこえた狼王。
 星君朧拳の限界まで戦った為、その反動が全身を駆け抜けていた。
──ガシッ
 そして空牙は、狼王に肩を貸してやると、二人でゆっくりと階段を降りる。
「まだ強くなれる‥‥大丈夫だ‥‥」
「へへっ‥‥余計なお世話だぜ。この次は、必ず勝つ!!」
 これぞ男の友情。


──大武会会場・第三試合
 熱い戦い。
 その後、1度観客は一息を告げる。
 そしていよいよ第三試合。
 
「それではっ。白虎の方角よりリクルド・イゼクソン選手の入場です!!」
 その叫びと同時に、階段をゆっくりと駆けあがるリクルド。
 昇りきった後、グイッと軽く柔軟体操。
「ふぅぅぅぅ。先の2試合はかなり派手だったが、今度はどうなるか‥‥」
 そさう呟きつつ、リクルドが柔軟を終えて、階段の下を見る。
 そこには、玄武拳師範と紅蘭の姿があった。
「がんばってねーーー!!」
 リクルドに向かってかけられる黄色い声援。
「うんうん、何かこう、やる気が出てくるよね‥‥」
 そう呟いて、対戦相手が昇ってくるのをじっと見ていた。
「続いて、朱雀の方角より、王羲英選手の入場です!!」
 その瞬間、今までにない歓声が沸き上がる。
 擂台の上で周囲を見渡し、王羲英が静かにリクルドに抱拳礼を取る。
「さて、よろしく頼むぞ」
 ニコリと笑みを浮かべつつ、そう告げる王羲英に、リクルドも慌てて抱拳礼。
「こちらこそ、よろしく頼みます」
 そのままお互いに距離を取り構える。

──ドワワワァァァァァァァァァァァァァァァァァァン
 そして始まりのドラの音を聞いた瞬間、リクルドの体は擂台の上に叩きつけられ、横たわっていた。
「な‥‥」
「フォッフォッ。まず一撃ぢゃな」
 いつのまにかリクルドの頭を手で掴み、擂台に叩きつけたらしい。
 視界が溶けていく。
 脚が中をうき、姿勢が定まらない感覚に溺れるリクルド。
「今暫くは駄目ぢゃろう‥‥」
 そう告げて、王羲英はその場に座ると、リクルドの回復を待つ。
「そんな‥‥屈辱‥‥」
 手加減されている。
 そう思うと、リクルドの中に、熱い何かが目覚める。
 素早く立ち上がり、タンタンとステップをふむ。
 そしてゆっくりと両拳を上げて顔面を護る構えを取る。
「ほう、一星玄武拳か。まだそのような流派が残っていたとは」
 そう呟きつつ、王羲英は大地をしっかりと踏みしめて、構えを取り直した。
「ならば、こちらも本気で参るとするか。もし貴公が一星玄武拳の継承者ならば、ここで因縁を断ち切らせて貰う!!」
──バシバジハジバジバジハジバジバジッ
 そう告げて、王羲英が踏込んで激しい連撃を叩き込んでくるが、リクルドは正面からそれらを『円の護り』で弾きとばす。
「ふぅ‥‥いたた。腕が痺れてくる‥‥まあ落ち着いて。確かに俺は一星玄武拳を学んできた。けれど、その流派と、王さんとどういう関係があるんだ?」
 後方に下がって、再び守りの構えを取るリクルド。
「昔の因縁。過去の戦いで、唯一ワシに敗北を刻んだのが、一星玄武拳だからな‥‥」
 そのまま連脚から飛び彗星脚につなげる王羲英。
 それらも全て受止めると、交差法で正拳を王羲英に打ちこむが、それもまた躱わされる。
 そのまま激しいデットヒートが繰り広げられるが‥‥。
「把っ!!」
──ドゴォッ
 王羲英の掌底がリクルドに叩き込まれたとき、勝敗は決した。
 そのまま呼吸が一瞬止められ、その隙を疲れての連撃。
 口から血を流しつつも、リクルドは倒れなかった。
──スッ‥‥
 ゆっくりと構えを取り、そのまま守りに入るリクルドだが。
「ふん。いい根性だ‥‥」
 そう告げて、スタスタと擂台を降りる王羲英。
「王羲英選手、まだ戦いは終っていませんが‥‥」
 そう審判が告げるが、王羲英は一言。
「あいつはもう気絶している。負けないという気合で、そこに立ってはいるが‥‥」
 その瞬間、審判がリクルドを確認、勝敗が決められた。
「勝者‥‥王羲英っ!!」
 喝采が沸き起こる。
 そして紅蘭達が擂台に駆けあがり、リクルドを抱きかかえる。
「ありがとう‥‥本当にありがとう‥‥」
 大粒の涙を流しつつ、紅蘭がリクルドに抱きついてそう呟く。
──スッ‥‥
 右手で紅蘭の髪をそっと撫でるリクルド。
「済まないな‥‥負けたみたいだ‥‥」
 それ以上の言葉はない。
 ゆっくりと擂台を降りるリクルド。
 その雄姿に、拍手が鳴り響いていた。



●限界突破
──崑崙
 草原。
 その中央で、数名の武道家が、其の手に獲物をもって激しい戦いを繰り広げていた。
──ガキガギガキガッ
 荒巻美影(ea1747)は、護手鉤と呼ばれている武器で目の前の夜桜翠漣(ea1749)の剣を引っ掛けて弾き飛ばした。
「さあ、どうしますか?」
 そう護手鉤を構えながら問い掛ける。
「まだまだっ!!」
 脚の甲で剣の柄を弾くと、そのまま空中に蹴り上げて右手で受け取り、そのまま護手鉤に向かって激しい一撃を叩き込む翠漣。
「器械に降り回されることなく、器械は全て自分の体の延長。自在に扱ってこそ、真価を発揮するのですよ」
 と告げつつ、構えを『白虎八跋衝』に切替える翠漣。
「そうですね。その方が良い感じに体に馴染んでくると思いますよ」
 美影もまた、白虎八跋衝の型に切替えた。

──一方、現在『白虎八跋衝・型』修練中の人々
「つまり、全ての器械は手足の延長で、それらを体術に取り込んだ型が、白虎八跋衝なんですね」
 ちょっと離れた草原で、鳳蓮華(ec0154)が太子翁にそう問い掛けている。
「ああ。その通りだ。それらの基礎が白虎八跋衝、そっちの兄さんも理解できたか?」
 そう葉雲忠(ec0182)に話し掛ける太子翁。
「うむ。全てを理解した‥‥」
 そう呟いて、静かに立上がると、手近に置いてある錫杖を構えて、演舞を始める雲忠。
 青竜から朱雀、そして玄武‥‥一通りの流れ、そこから生み出される白虎。
 その型は、先に修得した翠漣や美影とは違うものであった。
「それだ。白虎八跋衝は、使う者によって型というものが違う。いうなれば、一人一人の型。それは雲忠の白虎の型というところだな」
 そう告げられ、静かに一礼すると、実践訓練のス入れ連達の元に向かう。
「‥‥あ、あたしの型あたしの型‥‥」
 焦りを感じつつも、必死に演舞を続ける蓮華。
 だが、今ひとつ決まらない。
「まあ、のんびりとしている時間はないな‥‥あと2刻で自分の方を見付けられなければ、蓮華はそこで終わりだ‥‥」
 そう告げられて、蓮華はさらにスパート。
 なんとか時間以内に型を納めた為、いよいよ最後の試練である『実践』にはいった。

「難しくない。私はこの先の城の中で待っているから、私からこれを奪えばよい」
 そう告げて、1本の巻き物を見せる。
「えっと‥‥それ一つですか?」
「うむ。これを私から奪えれば八跋衝継承。失敗したら、君達の中から今まで学んだ八跋衝の全てを消させてもらう。記憶も全て。それが、ここの最終試練」
 そう告げて、太子翁はゆっくりとその姿を帰る。
 両腕には乾坤圏、その腰には混天綾を巻き、右腕には火尖鎗と呼ばれる宝貝を手に、4名に静かに話し掛けるる
「では、太子翁ではなく、八跋衝最終試練『太子元帥』として、貴殿ら4名の試練を開始する‥‥」
 そう告げて、クルリと後ろを向くと、そのまま霧の向こうに消えていった。



●最後の一撃
──昇竜・西地方
 華仙教大国の動乱。
 海陵王、曹飛延、孫飛燕の3っつの勢力による動乱が始まり、華国内部は少しずつ騒がしくなってきた。
 石動悠一郎(ea8417)もその動乱を憂いでいるものの、一人の力ではそれらをおさめるすべはない。
 そのため、其の手で救えるものを救うべく、この昇竜に留まっていた。
  森を抜けて砂漠との接点。
 そこから先は蛮族の住まう南蛮。
 そこに向かってやってきた石動悠一郎(ea8417)は、その先にある巨大な砦に目を奪われた。
「あれは‥‥なんだ?」
 遠くで建造中の砦。
 いや、あれはすでに要塞と呼んでも過言ではなかろう。
 その周囲には、褐色の皮膚をした人々が、砦建設に汗を流している。
「あれは多分、蛮族がこの華国を襲う為の橋頭堡。例の黄巾賊とか、魔星布を持っていた誰かとかがいるのでは‥‥」
 そう告げているのは、同行してきた朱蘭華(ea8806)。
「そのようだな‥‥と、気付かれた!!」
 石動の視界の向うから、10頭ほどの騎馬が二人に向かってかけてくる。
 その馬上では、長槍や剣を手にした蛮族の戦士が、二人に向かって今正に攻撃を仕掛けてこようとしている。
「散開っ!!」
 慌ててそう叫ぶと、石動は素早く剣を引抜き、駆けてきた馬に向かって構える。
──ガギィィィィィン
 すれ違い様の一撃をうまく受け流すと、石動は次にきた馬上の戦士に向かって、愛刀を叩き込む!!
──ズバァァァァァァッ
 その剣は敵の腹部に突き刺さり、大量の血を吹き出した!!
「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」
 絶叫を上げつつ馬から落下する蛮族。
「ふん。なるほどな。所詮は雑魚‥‥と?」
──シュルルルルルルッ
 突然後方から、石動に向かって打ち込まれる鞭。
 なんとかそれを回避し、後方を見ると、そこには鎧に身を纏った巨漢と、妖艶な女性が立っている。
「はじめまして。私は祝融、そしてこいつは兀突骨。昇竜戦役の武道家とお見受けしたが‥‥悪いが、今、ここの情報を持っていかれると厄介なのよねぇ‥‥」
 ビシッと鞭を鳴らし、石動と蘭華にそう呟く。
「ふぅん。ならどうするのかしら?」
 蘭華がそう告げて、ゆっくりと型を取る。
「そっちのお嬢さんは物分かりがいいわねぇ。兀突骨、男の方はあんたが」
 そうつげられて、 巨漢の男『兀突骨』がゆっくりと石動に向かう。
 そして祝融は蘭華の前で、腰に下げていた飛刀を次々と引き抜く。
──ダン!!
 腰を落として両手で拳を作り、身構える蘭華。
(黄式猛虎拳に敗北は存在しない‥‥ここでまける訳にはいかない‥‥)
 素早く間合を詰めていこうとするが、その足元に向かって次々と飛刀を投げ付けていく祝融。
「甘いわよ。あなた達武道家の間合には近づけないわ」
 そのまま飛刀をなげていく祝融。
 だが、蘭華は両腕を顔の前で交差させ、急所を護りつつ前に飛び出す!!
──ダン!!
 そして素早く掌底を叩き込むが、ぎりぎりの所で反らされてしまう。
「いい腕ね‥‥度胸もある、貴方殺すには惜しいわよ」
「お蔭様で。我が流派『黄式猛虎拳』には敗北はないのよっ!!」
 素早く気を練りこみ、そしていっきに爆発させようとするが、ここで失敗‥‥。
「まだ完全に覚えていないのなら、貴方は私にとっては敵ではないわね‥‥」
 再び飛刀を構え、次々と蘭華に向かって投げ付ける。
 それは蘭華の腕や大腿部に突き刺さり、大量の血が吹き出す。
「ぐっ‥‥」
「才能はあるけど、残念よね‥‥」
 
──場所は変わって
 ガシガシガシガシッ
 次々と兀突骨に向かって切りかかっていく石動だが、その鎧を石動の剣が貫くことはない。
 全てを鎧表面の『見えない力場』で受止められ、そのまま流されてしまうのである。
「ちっ‥‥なんて奴だ。こんなに頑丈な鎧、見た事もない‥‥」
 1度間合を放し、静かに『英霊布』に語りかける石動。
「趙雲子龍の英霊よ‥‥我に万力を‥‥」
 そう告げた瞬間、石動の中に趙雲子龍が降りてくるのが判った。
──ヒュンヒュンッ
 剣戟の速度が高まり、今まで傷一つ付かなかった兀突骨の鎧が次々と削られはじめる。
「‥‥」
──ドゴォッ
 だが、その刹那、兀突骨の拳が石動に直撃、そのまま後方にふっとばされる。
「ア‥‥オマエ‥‥コロス‥‥」
 そう呟くと、兀突骨は次々と手にした巨大な棍棒で石動に殴りかかる。
──ガギガギガギガキッ
 その攻撃を受止めつつ、体勢を取り直す石動。
「ハアハアハアハア‥‥蛮族最強というのもうなずけるが‥‥ここは1度引いたほうがよさそうだな‥‥」
 ただ闇雲に戦っても勝ち目はない。
 そう判断した石動は、退路を探しはじめると、蘭華と共に一旦後方に下がることにした‥‥。


●成都攻防戦
──でも燕京・珍品堂
「本当なら一枚5000G。けれど、寛那の分、お金先に受け取っているから大丈夫アルヨ」
 成都に向かう為の『千里符』を求めて、蘭寛那(ec0186)は一路珍品堂にやってきた。
 ここで売っている『千里符』さえあれば、目的地には一瞬でたどり着くのだが、いかんぜん値段が破格である。
「あ、あの‥‥何方がお金を?」
「貴方に援助している人アル。気にしない気にしない、あの人は御金持ちアル」
 そのまま寛那に二枚の千里符を渡す店長。
「あ、ありがとうございます‥‥では‥‥」
 そのまま千里符を右手に持ち、目の前の扉に張付けて何かを念じる。
──ガチャッ
 と、扉を開くと、別の世界。
 寛那はその中にゆっくりと足を踏みいれていった。

──成都
 扉を開くと郊外の家。
 寛那は、その無人の家で夜まで時間を潰し、そして情報収集の為に街に向かう。
 町の中では大勢の人々が行き交い、愉しそうな会話も聞こえてくる。
「とても動乱のさ中とは思えないわ‥‥」
 とりあえずは情報収集。
 寛那は近くの酒場に向かうと、そこで情報を集めることにした。
 そして得られた情報は以下の通り。

・曹飛延がこの西夏の皇帝になってから、以前よりも成都は活気にみちあふれてきたらしい
・人望に熱く、それでいて志井の人々にも慕われている。
・戦乱が始まるというのに、多くの人たちは曹飛延を指示、必要ならば兵役にも出るぐらいの覚悟が出来ているらしい
・古くからの因縁か、現在の『海陵王』の領地である金、南方の南宋、この二つと西夏を一つにする事こそ、西夏の人々にとっての願いでもあるらしい。
・それゆえ、今回の独立は西夏の人たちにも受け入れられているらしい

「‥‥これは参ったわ、どう見ても戦争状態よね‥‥」
 そう呟くと、寛那は静かに酒場を出て、予病みの中に姿を隠した‥‥。


●神龍神龍ゆかいな神龍愉しい神龍神龍神龍
──西涼
 目の前には巨大な渓谷。
 神龍を求めてやってきた劉玲玲(ec0219)は、町の中の噂や情報を整理し、神龍の出るという渓谷にやってきた。
 そこは人の踏み入らない深い山。
 その渓谷の下を流れる川を遡り、ようやく上流の『御堂』にやってきた玲玲は、そこで結跏趺坐のまま何か瞑想を続けている『龍珠道士』に出会う事が出来た。
「ハアハアハアハア‥‥道士、ようやく見付けました!!」
 そう告げて抱拳礼を取る玲玲に、道士も瞳を開いてゆっくりと立上がると、玲玲に対して抱拳礼を取る。
「お待ちしていました。貴方が来るのは、判っていたのです‥‥さ、こちらへどうぞ‥‥」
 そう告げて、玲玲を御堂の中に案内する。
 そこは小さな御堂。
 壁全体には様々な龍の絵が書き記され、天井には夜空が輝いている。
「神龍に会いたいのです‥‥この国の行く末を占って頂きたいのです」
 そう龍珠道士に告げると、道士は静かに肯いて天井を見上げる。
「私一人では神龍は呼び出すことはできません。神龍は普段は崑崙山脈、その更に奥に存在します。向かうには崑崙を越え、桃源郷を抜けなくてはなりません‥‥星辰の占いならば、神龍の言葉は聞けるでしょう‥‥」
 その言葉に、玲玲はとりあえず安心。
「では‥‥」
 そう告げて、神龍にお伺いを立てる龍珠道士。
 そして、その結果は‥‥

──一方そのころ
 グビッグビッ‥‥
「プハーーーーっ。美味し」
 巨大な杯で一気に酒を呑む御堂鼎(ea2454)。
「‥‥何か?」
 その御堂の後で、一人の老人が静かに酒を飲んでいる。
「ん? どうしたんだい神龍?」
 神龍と呼ばれた老人が、何処か遠くを見つめて何かを告げている。
『神龍に問う。この国の行く末を‥‥』
 それははるか遠く、西涼の地から聞こえてくる声。
「動乱。後の300年の平和‥‥」
 そう呟くと、再び酒をたしなむ。
「ふぅん。爺さんも大変だねぇ‥‥グビグビグビグビッ」
 そして再び酒を呑む御堂。
「で、鼎よ。邪龍の住まう地に向かうというのか?」
「ああ。試したいんだよ。あたしのこの力をね‥‥」
 グイグイッと拳を握り、そう神龍老人に見せる御堂。
「いくのは構わぬ。が、あいつはこの崑崙のもっとも深き場所に封じられているから、無事にたどり着けるかどうか。それに、最後の結界は‥‥」
 そこで老人の言葉が止まる。
「桃源郷の解放で、その場所までは行ける。大丈夫さね?」
 グイッと残った酒をあおり、そのままフラフラと歩き出す御堂。
「全てを失うぞ。それでも行くのか?」
 そう問い掛ける老人に、御堂は一言。
「あたしは酔八仙拳士さ‥‥」
 そう告げて、道を桃源郷に繋げ、そのまま八仙の待つ屋敷に向かった‥‥。



●未来を憂い、平和を取り戻す為に
──北京近郊
 静かな村。
 近くを万里の城塞が通り、モンゴルとの国境を築いている。
 その城塞の上で、紅小鈴(ec0190)は、師父である燃燈道人と静かに会話をしていた。
「では、師父にもこの先の未来は解らないと?」
「一つの懸念事項がある。それがまだ確定していない以上、この華仙教大国の未来は『滅亡』でしかない‥‥3匹の虎が殺しあい、お互いを食らう姿。それを見ていた竜の怒りに触れて、この大地は朽ち果てる‥‥」
 その言葉に、ゴクリと喉を鳴らす小鈴。
「では‥‥いって参ります」
 そう告げて、抱拳礼を取る小鈴。
「ああ、済まないが、孫飛燕の力になってやってくれ。それで未来は変わる‥‥」
 その言葉に肯きつつ、小鈴はその場を離れた。

──場所は変わって、瞑想岩
 そこは小鈴の修行場所の一つ。
 深い森の中の小さな岩。 
 その岩の上で、じっと瞑想をしている孫飛燕。
「小鈴か、どうした?」
 そう瞳を開いて告げる飛燕。
「最近の師父はおかしいです‥‥あの手紙‥‥ですね? あの手紙を見てから師父は‥‥笑わなくなりました」
 その言葉に、飛燕は何も返答せず、じっと小鈴を見ている。
「詳しい話は聞いていませんが、確か『燕京を滅ぼす為に手を貸せ』‥‥。師父、貴方は以前仰いましたね。『俺が天下を取るときに力を貸してくれるやつがいたら‥‥』と」
 ゆっくりと岩から飛び降りて、そのまま小鈴に近づいていく飛燕。
「貴方の望む天下は滅びの先にあるのですか? 罪の無い人々の笑顔を踏み躙り、そのささやかな平和を奪うことが、貴方の言う『天下を獲る』ということなのでしょうか?」
 その言葉に、飛燕の表情に一瞬笑みが浮ぶ。
「同盟を繋ぎ、燕京の海陵王を討て‥‥『遼』が反映していた時代を思い出せ‥‥と」
 手紙を岩の上に投げる飛燕。
「それは‥‥」
「今の曹操孟徳‥‥曹飛延からの協力要請だ。海陵王を討ち取り、金を滅ぼす。この華仙教大国全てを統一した暁には、『遼』を復興し、その君主として俺を付けると‥‥」
 その言葉に、飛燕は拳を握る。
「今の海陵王の時代。それはそれで正しい。この華仙教大国は彼を中心にして、繁栄を始めている。だが、西夏はその流れから外れてきている。南宋は昇竜で動乱が起こり、そこに乗じて西夏は進軍を開始するらしい‥‥金に対しても、西夏は進軍んのチャンスを伺っている‥‥」
 そこまで告げて、飛燕は拳を葉楽と、小鈴の肩をトンと叩く。
「この戦い、理は海陵王にあり、曹飛延は義に反している。私は、海陵王に付く‥‥俺が天下を取るのはまだ先になるが、くるか?」
 その言葉に、小鈴は笑みを浮かべる。
 そして前を歩く飛燕の後ろを小鈴は誇らしげについて行った。


●そして
──大武会・最終決勝
 果てしない戦いが続いた。
 頂上に立ったのは羅漢拳の王羲英と秘宗拳の赤狐。
 その戦いは、僅か半刻でついた。
 一方的に攻める王羲英と一方的に守りに入った赤狐。
 その時点で、勝敗はついていた。
 攻めに徹していた王羲英の攻撃を受止めることなく、最後には赤狐の顔面が破壊され、意識を失った‥‥。
「勝者ァァァァァァァ王羲英ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ」
 盛大な歓声の中、ついに『龍王』の称号は王羲英に渡った。
 その後、海陵王より『龍王』の印の入った『龍斗闘着』が送られ、大会は終了した‥‥。

 華仙教大国統一大武会・龍王
 覇者・王羲英

 二位・赤狐
 以下・虚空牙
    朱雀王・白眉道人
 
 動乱。
 この華仙教大国を覆う黒い影。
 華やかな大会は終りを告げ、そして再び動乱の時代が始まる。
 新たなる流派を得た者たち、まだ未熟ゆえ修行を続ける者たち、様々な思いの人もいるでしょう。
 ですが、今はここで一休み。
 皆様の生きざまを記録するのは、またまだ時間が必要ですので。

 再び記録が開始されるまで、
 それまではしばし幕を閉じさせて頂きます‥‥。

──Fin

今回のクロストーク

No.1:(2007-11-12まで)
 全ての者に問う。
華仙教大国を旅立つとき、どの国に向かう?

No.2:(2007-11-12まで)
 朧拳使い、及び八跋衝継承者に問う。
もし、最後の試練が『死を殺すこと』であった場合、貴方は殺せるか?
なお、試練故、師は全霊を持って貴方を殺しに来る。

No.3:(2007-11-12まで)
 全ての者に問う。
もし動乱が起こった場合、貴方は何処につく?
1.劉備の英霊を持つ海陵王
2.曹操の英霊を持つ曹飛延
3.孫策の英霊を持つ孫飛燕
4.在野に下る
5.そんなの関係ねー!!