BlowinonamicizieBlowinonCoraggio
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■クエストシナリオ
担当:成瀬丈二
対応レベル:‐
難易度:‐
成功報酬:-
参加人数:17人
サポート参加人数:-人
冒険期間:2007年04月01日 〜2007年04月31日
エリア:神聖ローマ帝国
リプレイ公開日:04月20日00:00
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●リプレイ本文
●全てを失いながら、我ら挫けず
神聖ローマ帝国の心臓、ローマ市。十年以上前のノルマンの蛮族の災禍から立ち直りつつある中で、元教皇庁は静かに復活祭を迎えようとしていた。
復活祭───それは磔刑にされた、ジーザスが死を超越したという奇跡を思い、人々が祝福をかわす。
その中でディアルト・ヘレス(ea2181)は憤っていた。タラントの領主に司教連名で手紙を出そうとしていたのだが、連名をしてくれる司教がいなかったのだ。
「何故、平和裏に会談を進めたいというだけの手紙に、保証人となってくれないのか?」
それはひとえにディアルトがノルマン人だからである。
連名すればその行動に責任を持つ事になる。ローマ至上主義の中枢で、その様な行いが罷り通る事は無かった。
鼻薬のひとつも嗅がせれば話は別だが。それを思いつくにはディアルトは一途すぎた。
ディアーナ・ユーリウス(ec0234)もまず、あちこちで突発ミサを行い、人を集めようとしていた。
貧しい子供たちを集めて勉強を教えたり、ミサ曲を歌ったりする。
しかし、ローマは広いものの、それに比例して、教会は多く、教区というものがある。
社会体制の縦割りが教会を単位として行われている以上、それは横紙破りとなる。
更にディアーナ自身が危惧していた───それでもやってしまった───クリエイトハンドによる、飢えたる人々への施しが裏目に出た。
神聖ローマ帝国では神聖魔法白の治療魔法ですらみだりに使えば罰せられる。クリエイトハンドは治療魔法ではなかったし、ローマの官憲はそこまで寛容ではなかった。
高貴な人々に届かせるには貧民からのアプローチという方法論は完全にベクトルがずれていたし、ディアーナ自身も教皇庁から探索の旅に出ているという立場が無ければ、首と胴が泣き別れという事態になっていただろう。
「次はない。教皇庁の威光がどうあろうと、次は処刑人に身を委ねさせる」
彼女の身柄を引き取ったジュゼッペ・ペデルツィーニ(ec0207)は苦笑と苦悩を入り混ぜにした表情で───。
「貴族は貴族。市民は市民。階級間の壁は大きいようです。間違ってもローマの教皇庁跡地に貴族が訪れる事はないでしょう」
彼自身もカルブンクルスアニマの脅威を市民経由で貴族に伝え、皇宮ら討伐の動きを起すように仕向け、叶わずとも対竜に対してのローマ貴族のアプローチを取りやすくしようとしたが、やはり無理と踏み───。
ここは市民から動かすのが良いと考え、皇帝直轄地の市民の声を、神聖ローマ帝国は無碍にはしないでだろう。
結果として、全く届いていなかった。
即座に限度を感じ、教会の奉仕活動の傍ら、信徒を集め、私が身を以て体験した竜との遭遇戦の話を、説法として伝えていく。
教訓としては『いつ災厄が降りかかるかわからない為、かかっても対応できるように日頃から備える事』。
身を以ての失敗例。
だが、反撃のひとつもない、完膚無きまでの敗北に人々のモラールは下がる一方。
「これはローマの危機だが、多くの市民から貴族に伝え、早急に討伐へ動いてもらう事で難を退ける事が可能である」
「じゃあ、何であんたらが貴族に伝えないんだ?」
ジュゼッペは反論できなかった。
シリウス・ゲイル(ec0163)も人が来ない教皇庁跡地でのミサの準備に余念がなかったが、復活祭までは時間もなく───。
「聖女ジャンヌもこの教皇庁のために骨を折っておられる。
我々も神聖ローマのこの聖なる普遍の教会のために、
復活祭を教皇庁跡で行うべきだと思うがどうか?」
いらえはなかった。
「ルビーの息は地獄の炎を使って我々にその息を放った。
船が燃えるかと思ったよ。ここまでたどりつけたのは聖なる母のご加護に他ならない」
それでも熱弁を振るう事を諦めないシリウス。
「聖なる母の御心のままに、自分たちはかの怪物の退治のために聖なる軍勢を結成する! 我と思う者は神聖ローマの栄光を復活するため、自分たちと手を取り合おうではないか!」
一部の情報通の市民は───。
「ああ、教皇庁の面々が自分だけで倒せないから、人に頼ろうというハラだろう?」
「盾にされるだけでは溜まったものじゃないな」
デウス・アマデウス(ec0145)はその冷や水を浴びせかける様な言葉に熱狂的に───。
「教皇猊下より承りし『使命』。この聖なる行いに参加し果たした者は! 英雄として讃えられ、教皇猊下から大いなる信頼を得る事ができるだろうッ!」
「テンプルナイトが言うならともかく、一介の神聖騎士の言葉ではな」
「死んでから英雄と称えられてもな‥‥‥‥」
とはいえ、ジュゼッペは別の手を打とうとする。
また、数名の街の吟遊詩人に幾らか握らせて、皇帝の騎士団と教皇庁の神聖騎士、クレリックとが竜を退治する物語を街角で歌ってもらおうというのだ。
皇帝軍がメインになるように歌ってもらいながらも、法王庁の人間が絡んでいる事を、皇帝側の人々にアピールしていこうという腹づもりであったが、問題は自分がぶった説教を聞いた者がいて、尋ねた。
「で、どこまで法螺を吹いて良いんですか?」
「法螺というと───?」
「教皇庁からテンプルナイトやビショップを選出すべく、布告が出されたのは知ってますし。その試練として『あの』カルブンクルスアニマ相手にしろ、というのも、まあ聞いています。そこであの説教の内容と、リクエストを聞けば、大体人を動かしたい方向は判りますよ?」
それは説教の内容が判りやすかったという事だ。
「正直、今までの話からすると、カルブンクルスアニマを退治したいという話はリアリティが感じられませんね、倒せるような内容にするには法螺を吹かなくてはありません。特に自分が何も出来なかったという説教の後を接ぐ、という事になりますからね」
つまりは死地にどれだけ甘い夢を見させるか───だ。
その一方で、皇帝直属の騎士にして男爵のレオンハルト・リヒテンクラーク(ec1922)は、選帝候達と大貴族の集う、謁見の間にて───。
「復活祭おめでとうございます。とはいえ、増え続ける難民と、難民流入による治安の低下の問題を解決いたしたく思います。そこで、その義援金集めを目的とした仮面舞踏会を催してはどうでしょうか?」
「仮面舞踏会か───面白い趣向だな」
「不逞の輩が入り込む隙を与えかねません」
と、四十代初めの男───ロタール・ザクセン大公である。
「それは私が対処いたします。宜しいですかな?」
同じく四十はじめの騎士、トミドリーが宣言する。
彼の紋章は余程そばに近づかなければ見えないほど小さな蟻である。彼の紋章を見る時は死ぬ時だとまで言われている。
同じく無口で頷くのは、この大貴族の中にあって、剣の柄に常時手を置ける特権を持つ騎士、風采の上がらない風体の男、モルセンバードである。
かつては常に剣に手をかけている所から、帝国一の臆病者と言われ、パラ同然の体格しか持っていなかったが、先の皇帝がノルマン人に戦陣で不意打ちを受けた時、いつも通り剣に手を置いていた彼は抜き打ちにノルマン人を斬り捨てたという。
それ以降、彼を家名だけの人間と侮るものはいなくなった。
レオンハルトは彼らと同列に扱われる、俗に『皇帝騎士』と呼ばれる立場であった。
「では、その件は任せよう。では、正式な布告として、各人、各家の所有する『人間』を『所有物』として公式に認可する。奴隷制度の復活をここに宣言する。マルモンロイド大公。後は審議すべき事項としてはローマ文化復旧法があったな───これはゆるりと」
ヴォルフガング・マルモンロイド大公の出した、ローマ文化復旧法はローマ文化復旧法という名前の新法は、これまで以上の異種族への規制の強化。異民族排斥。一部の都市に認められているビザンチンとの交易特権撤廃、貴族のジーザス黒崇拝を排除するなど、今までのそれを前面に押し出したものであった。
やはり、四十代初めのデューター・アウグスト大公、フリッツ・アウクリッシェリン大公はその先鋭ぶりを危ぶんでいるようだが、腹の内は読めない。
選帝候も十二年前のノルマンの独立戦争において、ローマ市を含む神聖ローマの三分の一を奪われるという失態により、若い世継ぎ達に後を譲る形で勇退している。
代替わりした先の先代の選帝候達は、既に天命を迎えたものや、教会にてその人生を埋没させたものなど、あまり代わり映えしない生涯を送っているようだ。
一方、その頃、ベネチアでは風霧健武(ea0403)の選帝候に対する情報の探索が続いていたが、ローマに選帝候たちが集い、特にマルモンロイド大公家系以外の浸食が薄いこの街では情報らしい情報は出てこない。
(故郷に帰ろう───)
腐った果実は確かにあった。しかし、それを幾ら潰しても選帝候家という幹は盤石に見える。
健武は自分の限界を目の当たりにした。
「クレメンス殿、俺のローマで出来ることはなさそうだ」
「そうだね、この街では健武が行き詰まっているのは見える───仮面を外したからかな?」
「言わないで欲しい事もある」
「それはすまない。悪いことを言った。フィレンツェに場所を移そうと考えている。あそこはビザンチン寄りだからね、繋がる月道もあるし、メディチ家の」
「選帝候家とはまた離れる訳か───しかし、ヴィヴィの奴も忙しそうだな」
「ああ、彼も何か故郷から急報が届いて、神聖ローマから離れざるを得ないらしい。寂しいものだ」
「‥‥すっかり所帯も小さくなったな」
「移動しやすくなったと思えばいい」
「実用的なのは良い事だ」
ヴィルジール・ヴィノア(ec0235)がうめき声を上げる。まるで、全身から絶望をひねり出すような。
「駄目だ。俺の力量ではスクロールは造れない。クレメンス、黒い子羊に精霊魔法でスクロールを造れるだけのレンジャーはいないのか?」
「隠密が出来て、尚かつ精霊碑文学にも長けたレンジャーか、そんな便利な人材がいればもう少しラクだったろうね」
「疑問があるクレメンス」
「ヴィヴィ、何かね?」
「精霊魔法が御法度の神聖ローマ帝国で、どうしてエチゴヤが堂々とスクロールの用紙を売って居るんだ?」
「精霊魔法を使える人間がいないから、ただの紙としてしか見ていないのだろう。ビザンチンやフランクからの冒険商人はそれを承知で売り買いしていく」
そこで健武が割って入る。
ビザンチンと言えば──と、マルモンロイド家が強硬に推し進めようとする『ローマ文化復旧法』に関して、言及した。
「ビザンチンを敵に回す気か───? ミラ様までが出てくるとは思えないが?」
ミラの言葉に健武とヴィルジールは問い質す。クレメンスの返答によると師匠の名前だそうだ。
「俺の故郷ノルマンは神聖ローマからの難民を受け入れている。彼等とて、いつかは故郷へ帰りたいと願っているだろう。
もしクレメンスが彼等との繋ぎを欲しているなら───帰国後に俺が彼等難民達と接触してみようか?、何かメッセージや援助要請などあれば伝えるよ」
「接触する当てはあるのかい」
「実は───ない」
ヴィルジールは続けて精霊碑文学の師事に回ろうとするが、覚えるのに難易度の高く、肝心のスクロールも準備できないのではレンジャー達も二の足を踏んでいた。
万能人間になるよりは、隠密に特化する方向を選んだのだ。
「足跡ひとつ残せないようだな───これでは。
それと最後に俺の所持金を組織に寄付するよ。
といっても帰国に必要な分は残させて貰うが‥‥。
最後が金の話ってのは‥‥なんとも世知辛いが‥‥組織の維持には必要だろう?」
「忝ない。だが、君が向こうの解放組織と接触するのに、どれだけ手間がかかるか判らないだろう。その為に私は君に投資したい」
「期待大と思って良いのかな? 今、ここではこんな事しか出来ないが、俺は皆の成功を祈っているよ。
今度来るときは、のんびり観光を楽しめるようになってると信じてるよ。その時は‥‥そうだな‥‥クレメンス、キミに観光案内を頼むよ。それまで‥‥みんな、生き延びろよ」
トゥルエノ・ラシーロ(ec0246)が、ヴィヴィ、大丈夫───奴隷だった、いえ勝手にモノ呼ばわりされていた人達からも立ち上がってくれた人はいる。
と、ヴィルジールを励ます。
彼女は奴隷と同じ視点で語る事により、僅かではあるが、立ち上がった人を見いだしたのだ。その数がたった3人だけだっとしても、だ。
そこへ盗賊ギルドの幹部のひとり『慈悲のマリア』と会談を終えたジョヴァンニ・セラータ(ec0232)の姿を現した。
慈悲のマリアとの彼が間に交わされた内容は、事実上盗賊ギルドの主流はマルモンロイド家側についたのだろう?
情報の売買以上の取引をしてマルモンロイド家を敵に回す。
その危険に見合う対価をこちらは用意できない。
という論法で慈悲のマリアに妥協が出来ない事を入念に語った。
その前提として、黒い子羊の情報網を使って、奴隷(と、先日公式に公布された人間)達の間に『奴隷の逃亡を援助する組織』の噂を広めて貰いたい
彼等が自分から主人の元を離れようと行動を起こす切っ掛けになればとの願いであったが、明日の糧すら得る術がない、公式な奴隷が組織と接触するのは限りなく不可能に近いであろう、切っ掛けというよりそれは頑是無い祈りにクレメンスは覚えた。
「隠れ里ですが、解放した奴隷を受け入れる準備はどの程度進んでいるのですか?」
「今の所、100人単位といった所だろう。無論、こんな程度で神聖ローマの奴隷が収まるとは思えない。逆にそれだけ勢力が集まれば、ひとつの王国の切り取り位はできるだろう───皇帝陛下(ここでクレメンスは悪意のある笑みを浮かべた)との駆け引きはそれからだ」
「この辺獄の様に果てのない内戦による難民が奴隷狩りの対象になっている。と言うことはないですか?」
「あるだろうね。基本的に人の権利を蔑ろにするには、混乱状態の方がやりやすいだろうからね」
「ベネチアを出て直接奴隷を解放して回ろうかと考えていますが‥‥」
「それが君たちの選んだ道なら私は止めはしない。こちらからは大いなる父の加護があれと、願わせて貰うよ」
その前に、とジョヴァンニはクレメンスに切り口を変えて尋ねる。
「マルモンロイド家が何処から奴隷を補充するつもりか調べて貰いたい。後、マルモンロイド家が内戦に介入してないか」
「前者は奴隷のマーケットは法律が成立する以前からマーケットは存在するし、そのどれとも特定できない。内戦への介入は───まあ、ゲーム感覚で介入しているだろうね」
「話は変わるが、聖女と神託が本物なら、魔剣を必要とするような災厄が近いうちに起きる。と言うことでは?
封が解かれた場合の備えをしておくべきだと思いますが」
「備え───ね。果たして彼らは魔剣の元にたどり着く事が出来るか? それすらも怪しいだけの守護は置いてきたつもりだよ」
「デビルへの根本的な抹殺ですが、セージである貴方でも『全てを消滅させる四大精霊全ての力を用いた魔法』は使えない?」
「『エクスティンクション』だね。あれは使うのにリスクが大きすぎる。詠唱時間の長さもさる事ながら、消滅というより、その魔法の及ぶ範囲内の全ての存在を魔力に変換する。そのバックファイヤだけでも封印の地が崩れかねない。生き埋めだね」
「デビルを一時的にでも封印する他の方法は?」
「それはホーリーフィールドでも張れば、力量次第で、封印は可能だよ。ジョヴァンニくんがいいたい事は違うと思うがね」
「そこまで判っていて‥‥では、カール大帝の遺物に三魔剣の代替品になるようなものは?」
「無いだろうね。あの魔剣は別格だよ、大司教チュルバンの使っていた聖剣アルマスの様に普及している品もあるがね。あれとてオリジナルと大差はない」
「そろそろヴィヴィともお別れね。
ヴィヴィはベネチアを出てからは同行出来ないみたい。
‥‥私、少しは役に立てたかしら?
ううん、まだ借りは返せていない。
なら、ここで‥‥貴方の分もローマの為に新しい風を‥‥。
まだ、覚悟が足りないのかもしれない。
でも、いつかきっとこれが私自身の目的だと胸を張って言える様に‥‥。
その時こそ私はこの国を愛することが出来るかもしれない‥‥。
さようなら、ヴィヴィ。
そして―――またね」
「まだ、早いよトゥルエノ。まあ、ベネチアを出るときにジョヴァンニ共々、別れる事になろうがね?」
クレメンスは苦笑いを浮かべた。
「また───別れ。人の倍生きるハーフエルフは人の倍、別れを合わなければならないの」
「それなら、エルフは3倍だ」
ヴィルジールは書き損じたスクロールをまとめに、とって返した。
「ふははははは! 聖女様ご一行の朝は早いのだ! 炊事洗濯掃除荷造り、これらは全て年少者の日課なのだ! 働かざる者食うべからず、怠けてはいかぬ。聖女様のお傍に侍るという事は、修道院で修行するようなものと思うのだ! どこか気品があって良い所のぼんぼんのような気もするであるが、なに、下々と交わって労苦を共にするのも必要なことなのだ!
をを、さっきから余は善い事ばかり言ってる気がするのだ。そういやレオン‥‥面倒だから略してレオ君は、かなりウホッな体をしているであるな。ふむ、ひとつみんなでやってる剣の稽古に参加するのだ。で、シャローム君は一見ひ弱そうであるが、何か特技はあるかな?」
と、名言? 迷言? 連発なヤングヴラド・ツェペシュ(ea1274)はシャローム、レオンハルトの兄弟をこき使う。
そこへ白の神聖騎士の先達であるエリー・エル(ea5970)が───
「そうね、炊事、洗濯、掃除に荷造り。年少者の仕事なら、ヤングヴラドくんも年少者の内なのねん。それに白の見習神聖騎士でもあるのよぉん」
「勤勉は尊ぶべきものですなアーメン」
と、早朝ミサの後始末を始めようとするフォス・バレンタイン(ec0159)がヤングヴラドに対し、歯を剥いてみせる。多分笑っているのだろう。
「ねえ、ジャンヌくん『自分の道を?』って言ってたけどぉ、決めていいのじゃなくってぇ、自分の道は自分で決めなくちゃだめだよぉん。
サマエル様からうけた啓示はぁ、魔剣を取りに行くことだけどぉ、達成された後のことは考えてるぅん。誰かに云われて行動するんじゃなくてぇ、自分自身で成すべき事を考えて行動しなくちゃねぇん。これはぁ、戦う時にいえることだよぉん。型に則った単純な攻撃じゃ簡単に避けられるしねぇん」
と、戦闘に搦めて説明することで興味を持たせて教える。
「そうそう、『正当解釈』とか云って行動を押し付ける人にはぁ、私が後ろから気絶させてあげるから安心してねぇん」
と小声で冗談がてらに云って友達感覚で仲良くしようとするが、次の一言が台無しにした。する。
「可愛さ、美しさはぁ、聖なる母が与えてくれた女性の武器なんだよぉん。戦闘にはフェイントアタックの効果、隙ができるがあったりぃ、安く物を買えたりぃなどのすごい得点が色々ついてくるんだからぁん」
「あんた、莫迦ぁ?」。
(シャロームとレオンハルト)
ジャンヌの話の後に「というわけだらぁ、シャロームくんとレオンハルトくんもぉ、何か悩んでいる感じだけどぉ、自分が納得いく道を進んでねぇん」と助言する。
「しかし、今日はどちらに進みましょうかね」
ルイス・フルトン(ec0134)は、これまでの安全路線とは打って変わり、紛争にまでなっていない危険状況でなければ、敢えて火中の栗を拾う覚悟で一歩を踏み出したのだ。
ジャンヌの基本的な能力に問題は無いようです。
問題があるとすれば精神面である。と、ルイスは位置づけた。無理も無いが、神託は何の前触れもなく行われましたから。心構えとか使命感とか街娘と無縁のモノです。ならば聖なる母が聖女に与える試練とは彼女に使命感を植え付けるような何かか。願わくばひとりの聖女が生まれいずる影で悲劇が不幸を撒き散らすことがなきよう願うばかりです。
そして、ルイスの目的とは、聖職とは、高位の騎士とは、それらを兼ね備えた神聖騎士とは、いかなる存在かジャンヌ殿に直接眼にしていただく。
そうする事で知識として頭で理解するだけでなく神聖騎士としての心構えを伝授する。彼女の行く末が如何なるものか予想も付かないが。彼女自身が身の振り方を決める一助になればよい。
次の目的地はクレルモンである。クレルモン大司教のローマ至上主義は有名である。聖女殿の血筋を理由に恐らく何らかのちょっかいを出してくるものと思われる。それに対するには聖女殿の名声を今以上に高める必要がある。クレルモン大司教の言掛りを黙殺出来るだけの民衆の支持があれば無事クレルモンを通過することも可能かもしれない。ならば虚像かもしれないが聖女殿にはカリスマに成って頂こう。少なくとも彼女にはそれだけの 能力はある。足りない部分は裏方として私が補えばいい。
一応浄財集めも我等の任務の一部であるので各地の諸侯と接触した際は基金の目的と利用方法を説明しポケットマネーで出せる範囲で協力を要請する、
「だびゆげば〜ろぉまのぐにに、ぢゃのがおり〜」
バラン・カリグラ(ec0735)は故郷に伝わる民謡を口ずさみながら、聖女ジャンヌ・ダルクの行き先を決めようと、彼女に意を決してもらう。
1.聖女様に剣を抜いていただく。
2.地面に突き立ててもらう。
3.手を離す。
4.剣の倒れた方向に向かってレッツゴー
「これぞ、聖女様のお導き!」
(だれかツッコミください。できればジャンヌ)
「こんなので上手く行くわけないじゃないの!」
「はうあ〜、聖女様、申し訳ありません」
「それにですよ。卜占の類はじーざす教では禁じられています」
フォスが傘にかかってバランを問い詰める。
方やクローディア・ラシーロ(ec0502)は旅の合間に、引き続きジャンヌ様に貴族の嗜み及び神聖魔法を教授していった。
更に踏み込んで、さらに彼女がこれまでどのような生き方をされてどのような考えを抱いているのか聞いてみたいと思います。
「何を教えるにしてもまずは相手を知らなければならない」
今は亡き父様のそんな言葉を思い出しながら‥‥。
彼女の生は波瀾万丈というにはちとスパイスが足りなかった。混血という事で、ミサに参加する事も許されず、日曜の礼拝に皆が出払っている時は一生懸命、家の掃除に、農業に勤しむ毎日。
それでも、時折は山賊(?)がオルレアンを襲ってくる。そんな時は死ぬ事を前提に前線に送り出される。
その中で培った日々。しかし、流派など誰も教えてくれはしない。
「もし教えていただけるのなら、彼女のように自由な心根のあり方を少しは学べるといいなと思います」
「自由‥‥悪いけど、そんなものに縁が無かったわ」
クローディアは今までの経緯から、私は自分は人にモノを教える事は上手くないだろうと悟る。これでも十二分な進歩を遂げているのだが。
「そこで、どなたか得意な方がいらしたらアドバイスを頂きたいと思います。
後は不本意ではありますが、とりあえず当面はとにかく表面だけでもという手法に切り替えていこうかと思います。ジャンヌ様は、外より内に敵を抱えておられる現状であると思います。であれば、この先不作法は相手につけ込まれる障害となりかねません」
その一方でバランが───。
「健全な精神は、健全な筋肉に宿る! まずは腹筋三千回!!」
と、無茶を言い出す、単純に体力ならばジャンヌも負けておらず、バランの苦行をやってのける。
「さ、さすが聖女様だ!」
そして、夜。グイード・ルークルス(ec0283)は子供たちふたり(シャローム、レオンハルト)を親睦を深めるそぶりを装って監視する事にした。
名をなそうとするにしてはちょっと若すぎる。かといってスパイとは思えない。信頼できるのかどうか腹を割って話したいと思っています。星でも見ながら語り合えたらいいかもしれない。
結局、彼らがなぜあんなところで行き倒れになっていたのか、何のために聖女様に同行したがっていたのかはっきりしなかったので聞いてみる事にした。
「神聖ローマに悪が蔓延るとき、聖女が現れるという伝承を信じたからです。ただ、やってきた方法は自分でも良く判りません」
グイードはレオンハルトは、剣の心得があるようなので、彼が望むようなら実力を見がてら立ち会ってみる。
「この剣筋───エンペランを囓っているのか?」
この年の子供にしては十分すぎる戦闘力を有しているが、まだ型が決まっていない。
彼らの身の上を聞き出す上で必要なら自分のことも話す。
「さて、こちらが話を聞く前に、こちらの話をしよう。
私は自分の無力さを嘆いていました。
騎士になって人々の為に尽くせば何か変えられるだろう、そう思っていました。
しかし、実際のところ何も変えられませんでした。
そんなところに聖女と呼ばれるジャンヌさんが現れたのです。
神託では剣をもつ者が人々を守る王を導くらしい。私は王を導く者になれればいいと思ってここに来ました。そしてそれがこの国のためになればいいと。
私は最初、皇帝をもりたてていけばこの国を変えられるのではないかと考えていました。でも、皇帝だけではダメなようです。教皇とも協力できるような柔軟さがなければ。
まだ、私たちに何ができるかはわかりませんが一緒に戦えるのであれば力を貸してほしい」
「非力未熟の身ですが、出来るだけの事はします」
「判ったよ、君の本当の目的はなんだい? レオンハルトくん」
「聖女様の為に働く事です」
次の目的地はクレルモンである。ルイスにとってクレルモン大司教のローマ至上主義は有名である。
聖女殿の血筋を理由に恐らく何らかのちょっかいを出してくるものと思われた。
それに対するには聖女殿の名声を今以上に高める必要がある。
クレルモン大司教の言掛りを黙殺出来るだけの民衆の支持があれば無事クレルモンを通過することも可能かもしれない。
ならば虚像かもしれないが聖女殿にはカリスマに成って頂こう。少なくとも彼女にはそれだけの能力はある。足りない部分は裏方として私が補えばいい。
だが、実際に聖女一行、正義を為す、との噂が広がると、その噂は先行して伝わっていった。
そんなこんなで決闘を一週間で20回ばかり繰り返していると、クレルモンの方角からふたり組がやってくるのを目にした。
どうやら、バランの旗目がけてやってくるという事で、聖女関係者らしい。
「騎士ユーリア・レオ・フォルティ。ジャンヌ殿‥‥おっと、聖女様の力添えを致したく参上した。‥‥殊にこれより先は危険が多いのでね」
女騎士、ユーリア・レオ・フォルティ(ec1663)は暗に襲撃の可能性を示す。ジャンヌ殿にノルマンの血が混じっている事を指摘して、だ。司教の人となりを伝える。
「‥‥何とも腹の立つ話ではないかね? 是が非でも消えてやるわけにはいかんな」
そして、一同を見渡し───。
「余裕が有れば各々と剣を一当てしてみたい所だ。これだけ猛者が揃っていると血が騒いで仕方がない。
特にレオンハルト、君からは馬の匂いがする! 一手打ち合おう、是非に! 軍馬は借りればよい!」
残念な事だが、ウォーホースは神聖ローマではレアなシロモノであった。貸してくれと言って、貸してくれるようなモノでもない。
「ジャンヌ殿も、力押しの戦い方を肌で感じておいた方が宜しかろうな。コナンの真髄を見せるとしよう」
ルイスは首を横に振って───。
「残念だが自分たちは剣闘技団ではないので、昼間からの立ち会いは遠慮しよう。むしろ、我々に必要なのは教師」
「一応学問を齧った際に教育手法は学んではあるが。‥‥しかし淑女の作法かね?よりにもよって私が?
‥‥うむ。是非もない。適当に神の血を啜りつつ礼儀を説くとしよう。あ、飲むかねお歴々」
と言って、昼間からワイン取り出す飲兵衛ぶりであった。
「ところで、そこの御仁は?」
グイードは十字架を下げ、ローブに身を包んだユーリアの連れに興味を示す。
秦美鈴(ec0185)は新たなる美食を求めてこの異人種弾圧厳しい神聖ローマまで来たのであるが、物珍しいだけで、新奇さの無い───すでに華国が千年も前に通り過ぎた地点を最新鋭と言って粋がっているだけの食事しか出せない国と思えた。
おまけに外出時間制限が在るため、新鮮な料理は食べられない。食前食後にはニンニクが10個以上出る、と言った塩梅であった。
しかも、美鈴はラテン語が話せない。
ユーリアと会えなければ、ニンニク漬けの頭になっていたに違いない。
そんなこんなでクレルモンが近づいた頃にはジャンヌの背に馬に乗ろうとした瞬間を見計らってレオンハルトが短剣を深々と突き立てた。
紅い華が咲いた。
「───魔女め」
取り押さえられたレオンハルトはそう呻いた。
●次回予告:4話、全てを失いながら、我ら挫けず
次回舞台となる予定の都市
1)ローマ(竜を狩る者、奴隷制度関係)
2)フィレンツェ(黒い子羊関係)
3)クレルモン(新規向け、聖女関係)
4)タラント(非推奨)
A)得物に物を言わせる
B)舌先三寸
C)情報集め
D)人集め
E)教える/教えられる
F)フリー
※行動はアルファベットと数字を組み合わせる事、アルファベットは幾つつけても構わないが、その分描写は薄くなる。
※2宗教やクラスチェンジの希望などはしたいな〜、ではなく。クラスチェンジしたい、宗旨変したいと明言する事。あくまでロールプレイとして迷っている描写が欲しければその旨書き添えること。
但し、教皇に認められるなどのクラスチェンジの条件を満たしている事は肝要である。
今回のクロストーク
No.1:(2007-04-09まで)
人生の中で一番辛かったことを教えてください。
No.2:(2007-04-09まで)
人生の中で一番嬉しかった事を教えてください。
No.3:(2007-04-09まで)
十年後のあなたはどうなっている予定ですか?