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■クエストシナリオ
担当:
成瀬丈二
対応レベル:
‐
難易度:
‐
成功報酬:
-
参加人数:
17人
サポート参加人数:
-人
冒険期間:
2007年09月01日
〜2007年09月31日
エリア:
神聖ローマ帝国
リプレイ公開日:
09月29日23:47
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●リプレイ本文
●恐怖を振り払いながら、我ら進撃せん
神聖ローマは今や混沌のまっただ中にあった。ジーザス教会の希望の星とも言えるテンプルナイトとビショップの誕生。
ボルドーでの乱───元を正せばローマ文化復旧法という、新法への反発が原因である───が北でおき、三振りの魔剣の所持者が定まる。
しかし、それでも未だに黒子は姿を見せなかった。
「さて、天使が出るかデビルが出るか。自分が消える事だけは避けたいですね」
ディアルト・ヘレス(ea2181)の今回の目的はテンプルナイトやビショップ達が消えた原因を調査・特定することである。
テンプルナイトやビショップ達が消えた事について、普通に考えると、
1−魔法装置(月道のようなもの?)によって別の場所(あるいは時間)に飛ばされた
2−何者かに襲われた(連れさらわれた)
3−自分達の意思でどこかに消えた
のみっつつほどである。
2であるならば、何らかの痕跡が残っていると考えられるが、1や3の場合は痕跡も何もないと予想される。痕跡が無ければ1、3と考えられるが、3の場合、高位の者が全員同時にそのような行動を取るとは考えにくく、1であると予想される。その判断基準として、調査対象の都市の背景があげられる。例えば地元の伝承に昔この土地に高度な魔法文明都市があったというものがあり、建築様式や美術様式からそれと推測される場合は1であるとか、不老不死の魔術師が居り、人々を魔法で操っていた(デビルが人々を操っていたなども)とかならば3など。あくまで推測であり、現地にてきちんと調査しなければ断定は出来ないが、迫り来る災難に対して対処手段を考えるには有効であると考えられる。問題は、そのような伝承知識がセーラ神絶対の神聖ローマにおいて、きちんとした形で残っているのか、またそのような知識に詳しい人がいるのかという点であるが‥‥。
前準備として、教皇庁で報告書や蔵書から前述した都市があったかどうかの確認や事前知識の収集、並びに調査地域における武装許可を取っておく。
しかし、あっけなく判ったのはイギリス、ジャパン、ノルマン、ロシアなどで発見された謎の月道───しかも月齢に関係なく常時、開きっぱなしの───の探索行に同行して、それきり帰ってこないというだけのものであった。
ローマから手出しする事は直接にはできなかった。
武装許可は異国ならいらない───それがディアルトの確認したすべてであった。
教皇はふたりの新人ビショップ、ジュゼッペ・ペデルツィーニ(ec0207)
とディアーナ・ユーリウス(ec0234)がそれぞれ、アビニョンを出てら北に向け旅立とうとするのを止めはしなかったが、ひとつの注意を喚起した。
「ビショップとして日が浅く、そこまで手が回らないだろうが、ビショップとしての知識の一環として、精霊力を操るすべがある。───もちろん、この神聖ローマに於いて禁忌の業だ。知識を広げる為にでも、習得する事は許されていないし、ましてや使用などしようものなら私でも庇いきれず、ビショップの地位を剥奪せざるを得ない。
ビショップとしてよく考えてくれたまえ」
「良くわかりました」
と、ジュゼッペと、ディアーナは異口同音に返すのであった。
一方、ランナバウトに陣を敷いたレオンハルト・リヒテンクラーク(ec1922)はボルドーに警告文を出す。
『私はボルドーに異教徒の拠点在りとの情報を得てここにいる。
依って貴公との戦闘を望まない。
私には情報の真偽を確かめる責務と権限が与えられている。
私の任務遂行を邪魔する事は悪魔崇拝者である事と同罪である。
速やかに武装を解除し我が軍を受け入れん事を望む』
その言葉にヤーグル・サクソニアはまず自分を人質として出し、その間に存分に、調べて欲しい。正し───期間は三日間とする事。
ただし、調査員は銀の武器、ないしは魔法の武器での装備が許された。
もちろん、ジュゼッペには悪魔崇拝かどうかは判らない。モンスターに関する知識は疎いのだ。
しかし、ランナバウトに陣を敷いていたデウス・アマデウス配下の騎士団が暴走して、小乱を起こし、ヤーグルを殺害してしまう。
「異端異教の輩を討ったのだ───我が騎士団としては当然の事」
デウスレベルでは下級騎士達が羽目を外しすぎたという程度の報告しか上がってこない。
ともあれ、レオンハルトとジュゼッペは、今にも殺気だって命を奪いにかからんとする一団から、理性的なハーフエルフの女傭兵、トゥルエノ・ラシーロ(ec0246)とジョヴァンニ・セラータ(ec0232)によって救われた。
尚、悪魔崇拝の痕跡は発見出来なかったが、サクソニア家は完全に出兵の意志を固めた様で、ボルドーに向かい攻めやってきた。
そして、レオンハルトは、警告を受け入れない場合は反乱軍を悪魔崇拝者と認定し、全軍に徹底させる。
同時に皇帝勅書の許にキンデルスベルク騎士団及びトゥールズ辺境伯他ボルドー周辺の諸侯に対し使者を走らせる事にした。
キンデスブルグ騎士団の重鎮デウスは、そのレオンハルトが起草したその文章を鼻で笑った。
文章は以下の通りである。
『我は皇帝陛下より、悪魔崇拝者殲滅の全権を委任されている。
不幸な 行き違いがあり、ボルドーの武装集団は我が使命遂行を拒んだ。
悪魔崇拝者を匿いし者は同罪である。
故に我は彼の者達を悪魔崇拝者と認めた。
忠実なる帝国貴族達よ、今こそ日頃の忠誠の証を示す時。
我と共に帝国の秩序回復の為に闘わんとする者は我が許に馳せ参ぜよ。
聖なる母と皇帝陛下の御名に於いて宣言する。
これは聖戦である。
繰り返す、我が求めに応じ、疾く馳せ参ぜよ!!!』
この声に非難が集まった。聖なる母の名に於いて聖戦を主張する権利はレオンハルトにも、皇帝にもない。それは教皇庁の管轄である。
流石にまずいと思い直し、レオンハルトは聖なる母と聖戦に関する部分は曖昧な表現に置き換えた檄を飛ばし直したが、それは些か遅すぎた様であった。
過去の経歴から一連のやりとりを微妙な距離で見ているルイス・フルトン(ec0134)は思う。
───不名誉を雪ぐ機会も無く、神聖騎士の資格すら取り上げられたか。まあ命があるだけましか。何れにせよ、もう聖女殿と関わる事も無いだろう。その資格も方法もなくしてしまったのだから。されど神聖騎士を目指した志まで奪われた訳ではない。流浪の戦士として漢の意地をみせようか。
神聖ローマに蔓延る悪の勢力をひとりでも多く屠ってくれよう。
古今東西を同じくして一番乗りは武門の誉れ。敵陣深く斬り込み敵将の首を取る、と。
そして、レオンハルト卿率いる軍の一員として上訴し、レオンハルトに会う事が適った。
「敵も味方も、主力は重装備の歩兵ばかり、戦力比では敵に大きく天秤が傾いている現状では詐術とでもいえる一手を行使しないと勝てないでしょう。そこで味方の一部を軽装騎兵に編成。防御ではなく機動力で勝負する。少数の騎兵で敵陣を迂回し背後から敵本陣へ襲い掛かる策を献策します。勿論、自分の策が採用されれば自分も騎馬隊に参加を。そして先陣を切って敵本陣に斬り込み大将の首を狙いましょう」
そのルイスの言葉にレオンハルトはしばし瞑目した。呆れたのである。
口を開いてルイスに呼びかける。
「まず、経歴は問わないとして、重装備の歩兵が主力の我が軍のどこに、『軍馬』がいます? 荷物引きの駄馬では戦場を避けます」
無論、騎馬戦を行うには馬と人とが深い信頼関係で結ばれている必要があるが、皆まで
レオンハルトは言わなかった。
傷口に塩を塗り込むサディスティックな性癖は持ち合わせていない。
ルイスが退出するタイミングで、ジュゼッペがビショップとして、面会を求めた。
それまでジュゼッペは傭兵、奴隷兵の前で聖なる母の教えを説きながら、不安や苛立ちから開放させている。
そして、レオンハルトの部屋からルイスが出てきたのを発見。しかし、かけるべき言葉は思い至らなかった。
ジュゼッペはレオンハルトと面会すると切り出した。
「私は神聖騎士やテンプルナイトのような武力は身につけていません。
その為、戦場では神聖魔法を使用する事を───許可頂きたい」
「それは神聖ローマ帝国の法に反しますので、ご遠慮頂きたい」
「あなた方が教皇庁に協力を求めた理由に、私達が賜っている聖なる母の御業というのは含まれていないと言い切れますか? 私に直接力はありませんが、御業得られずしてどのようにデビルを払うお考えですか?」
「言い切れないとは言えません。しかし、法は法です。私は法を破る事を認める立場にありません。それに御業に頼らなくとも、あなたの慰撫により、絶望的な兵力差でも、士気の低下は押さえられています。それを聖なる母の奇跡と強弁してほしくはない所」
「では、あなたの上に聖なる母の加護がありますように」
レオンハルトとジュゼッペの怪談は物別れに終わった。
その頃、ディアーナは書簡でランナバウトのレオンハルトに、デビル掃討に教皇庁として協力する旨を告げ、ボルドーの悪魔崇拝者の拠点について、知っている情報を聞く間に馬車と傭兵を雇おうとしたが、報酬がひとり頭金貨10枚を切っている依頼では戦地に赴こうという者はおらず、更に女性のみという条件も足を引っ張って、ディアーナの意図したメンツが全くそろわない。
そんなタイムロスの間にレオンハルトから届いた返事も目新しい情報はなかった。
いざ、ボルドーに向かおうとしたが、サクソニア家が逆上して、攻め寄せたと聞いて、戦闘区域外へと離脱するのであった。
しかし、彼女が得た感触では、キンデスブルグ騎士団の暴走を止められなかった事も相まって3500がレオンハルト側につき、1500はサクソニア家についていた。
無論9割9分以上が互いに歩兵である。
しかし、選定候家から兵が集まり、2万の追加兵力が得られた。
とはいうものの、サクソニアの士気は高く容易に打ち崩せなかった。
ランナバウトの城壁も、攻城戦上手のサクソニア家にクルミの殻を割る様にあっけなく剥かれ、レオンハルトは多大な犠牲を払ってでも援軍と合流の道を撮らざるを得なかった。
デウスの援助が無ければ、いかんともし難かっただろう。
ランナバウトは追われ、ピレネー山脈を背後にとって陣を敷かざるを得なかった。
話は変わって聖女騎士団。
ローマへの途中で、クローディア・ラシーロ(ec0502)は悩んでいた。
(‥‥神聖騎士として在る以上、デビルを討てという教皇猊下の言葉に一も二も無く従いたいというのが本音ではあります。
ですが今の私の使命はジャンヌ様のお傍にあり、盾となりて彼女を護る事だと考えております。
さらにはここまで共に来た方々の意向を無視するわけにも参りません。
したがって、私達はデビルを討つのに協力すべきではないか?と進言はしますが、最終的にはジャンヌ様のお言葉を尊重しようと思います)
そして、ヤングヴラド・ツェペシュ(ea1274)曰く。
「てなわけで、我ら『聖女騎士団』本隊は、世俗世界の諸侯と融和してデビルの陰謀を暴き、帝国の安寧に尽力するため、一旦ローマへと向かうのだ〜!
まず、ローマへ行く人員であるが、余ら聖女ご一行とドラゴンスレイヤー組の中で、ローマ行きに同行すると明言した者はもちろんだが、ふたりの皇子とノエル君にジャンヌちゃん、そして魔剣の所持者にはローマまで同行願いたいのだ。
皇子たちは一度、ローマまで帰還したほうがよいであるし、ぶっちゃけて言ってしまえば、貴殿らがいるおかげで我々は皇帝陛下にお目通りしやすくなれると言えよう。
ノエル君はデビルとの戦いの見届け人であるし、またも封印されて生贄にされぬとも限らぬ。ジャンヌちゃんは騎士団の象徴でもあるし、聖女の名声があればローマでの活動も円滑になろう。それに、三魔剣は揃っていることでデビル封印の力を発揮するゆえに、3人の所持者は離れていては困るのだ。
何しろ上級デビルはどこにいるかわからぬ。常に戦闘となる危険があるのだ。引き続き重要人物+魔剣という豪華メンバーゆえ、いつ何時誰に襲撃を受けても可笑しくはないのだ。
道中は気をつけねば。とは言え、聖女の噂を聞いてやってくる民を無下には扱えないのだ。引き続き寄進を集めつつ進むのだ〜」
「元気ですねぇ───‥‥」
とノエル。
「何かぁ、すごいことになっちゃってるなぁ」
エリー・エル(ea5970)はなどと自分でもびっくりしているが、数十年前のノルマンとの戦争の二の舞は踏みたくないと心から誓った。
ヒエロニムスとレオに向かい宣言。
「一緒に行くって決めたんだからぁ、最後まで付き合わないとねぇん」
と云って一緒にローマに行く。
「レオ殿はテンプルナイトになりたいのか。貴殿はまだ若い。時間は十分にあるから、今は父君の心配をすべきだと思うよ」
シリウス・ゲイル(ec0163)は、聖女騎士団を皇太子兄弟の護衛として、首都ローマに連れて行く。
本心としては、二人ををこれから起こるデビル戦に巻き込みたくない。
長い間会えなかった親の顔に合わせてやりたい、というのもある。
首都ローマの門をくぐった所で、六輪の黒塗りの馬車が一同の前で制止する。
観音開きの扉が開かれ───‥‥。
「父上!」
とレオ少年の声が上がる。
「ずいぶんと長い事、勉強をサボったものだな」
マキシミリアン2世皇帝の姿がそこにはあった。
ふたりの皇子は馬車に近寄っていく。
皇帝に厳かにユーリア・レオ・フォルティ(ec1663)は告げる。
「長らくお預かりして申し訳ありません。
御子息ふたり。聖女一行が確かにお返し致します」
その後、ユーリアは視線を伏しながら。
「御無礼は承知で申し上げますが‥‥彼等には良い教師をお付けになった方が宜しいかと。
純粋は美徳ではありますが、少し素直に過ぎる。‥‥危うく、斬って捨てる所でした」
エリーは物怖じしまいと皇帝の視線の延長線上に出ようとするが、尻つぼみ。
「あなたはぁ、皇帝である前に父親なんだからぁ、一国を守るのも大切だけどぉ、ちゃんと子育てしないと駄目だよぉん」
「残念だが私は父親である前に皇帝だ」
「そんなの、間違ってるよぉん」
「非情だろうが、皇帝は選定候家によって取り替えの利く部品であるに過ぎない───その事実の前には如何に皇帝であろうと膝を突かねばならんのだ」
また、皇帝に今度は礼儀正しく一人の神聖騎士として謙って。
「この国の歴史について詳しい学者を紹介してもらえないでしょうか」
と云って紹介してもらい過去のデビルの経歴を調べることでデビルについて予測をする。
「何を言っている? もっとも歴史の蓄積された場所から来て?」
「は?」
「教皇庁はもっとも学問には精通しているぞ?」
「そういえば、そうなのねん───」
「あと、自分の両親についてもに聞いて───」
「私は臣民ひとりの心の平和の為に、この事には沈黙を保つとする───息子達の前で話したくない事だしな。では、礼を言う」
扉が閉まりかける所へシリウスが駆け寄り───。
「お待ちを皇帝陛下。聖女騎士団にデビル退治に於いて、魔法を使用する許可を頂きたい。また、デビルを倒した暁には、ローマに教皇庁を再配置することに協力と援助を頂きたい」
「私は臣民からの要求を次々とかなえる為に存在している訳ではない───最初は法の為、次は資金の為、不可能だと行っておこう。では、さらばだ」
グイード・ルークルス(ec0283)は少し様子を見ると決め込んだ。デビル側からちょっかいをかけてきてくれるのを期待する。
いま、神聖ローマで何が起こると危険かというと‥‥皇帝がいなくなることだろうか?
暗殺でもされれば大混乱になる。ヒエロニムスとレオンハルトにも注意するように言い聞かせてはおいた。
「いざとなればお前達がしっかりしろ」
ということも消えゆく、ふたつの影に言い聞かせる。
「いまはまだ無理かもしれないが、お前達の時代には他国のよいところも取り入れた新生ローマになることを望んでいるよ」
感慨深げにバラン・カリグラ(ec0735)も、ふたりの少年に───。
「身体を鍛えるのを忘れてはいかん! 筋肉はおまえ等を裏切らん!!」
皇帝一家が立ち去った後、多少の失望と共に、シリウスは考えをまとめる。
ベリアルは、ソドムとゴモラ、ふたつの街を堕落に導いたデビルであったことから、ひとつの場所、しかも偏狭の地、ボルドーにいるのは怪しい。
もっとも重要な都市であることから、悪魔がローマを欲しがる可能性は高い。
ローマを陥落させるわけには行かないので、悪魔と対抗する者全てと共闘する方針だ。
「その為には我が兄の養子と主張する若者の力も借りねばならんか‥‥───」
ともあれ、ローマでも聖女騎士団に賛同する者を招集し、入団者は寄付金を支払うようにする。
こうして集団としての自給自足をまかない、ローマ教皇庁を立て直す資金にあてる。
各教区の教会にも聖女騎士団から協力を要請し、教皇庁再建のための寄付金を集めるように頼む。
シリウス殿がまだ聖女騎士団に生き別れの兄の養子という、書き付け以外の証拠がない若者であるフランク人のマリウス・ゲイル(ea1553)を聖女騎士団にを迎え入れようとしている態度を見てユーリアは───。
「気持ちは解らぬでも無いが、今は控えられよ。
この時期に外国人を迎え入れようとすれば聖女騎士団全体に疑いの目が向けられかねぬ。
‥‥この戦争を乗り切ってから、だ。動くのは」
一方、フォス・バレンタイン(ec0159)がローマ入りしたのはそれからしばらく後の事であった。
彼は神父としての初心に還り、ただ地道にローマ至上主義と『正統解釈』についての教えを説いてまわる事で、自らを見つめ直す。
その際、貧しき者には施しを与え、ジーザス教の為にお布施を集める。
「私には‥‥まだやるべき事が残っているはずだ。私がこの国の為にできる事が───」 そして、アウグスト家の門を叩く、デウスからの案内状を携え、当主とそして、アウグスト家付きの神父と会う事が叶った。
幾つかの儀礼的なやりとりで、自分が貴族相手の話し合いに馴れてはいないと、フォス神父は痛感し、ダイレクトに斬り込む事にした。
「不躾ですが、何故ローマ文化復旧法に反対をしたのかその真意を聞きたい。わざと反対することで本当にローマ文化復旧法を反対する者をあぶり出すのが目的ではないかと推測していますが」
「その通りだ。どうせ、負けると判っている勝負に、微かでも勝利の糸口がある様に見せる。もちろん、2家以上巻き込んだら、その場で趣旨替えをするつもりだったがね」
「なるほど、それでは、アウグスト家はジャンヌに対してどう考えているか? それをお伺いしたい」
「異国と内通した容疑をかけて、テンプルナイトの資格を剥奪。しかる後に処刑。できれば公開処刑というのが望ましいね」
「では、最も排除したいと思っている勢力は何処か? という質問は無意味だったようですね。となると、アウグスト家が最終的に望む神聖ローマ帝国とは?」
「世界の盟主たる一大宗国。ジーザス教『黒』等という異端を全て排除してジーザス『白』の教えで世界を席巻する」
「ならば、『我が友』とローマ至上主義の為に私はどの様な汚れ仕事でもやりましょう!『友』の助けとなる妙案を私にお授け下さい!」
「───ないな」
「は?」
「『我が友』などと個人に私淑した輩は不要という事だ。大事の前には小事を切り捨てられる者でなければ、我が理想の前には不要」
「おおーっ! あまりにも自分の視点は卑称すぎました」
「神聖ローマに仕える事と、『我が友』に仕える事は両立するとは限らない」
「いいえ、あの方こそは神聖ローマの意志を体現しております。故にあえて『我が友』の為と注意書きを付けなくとも、正当解釈の意のままに進めば、何も───何も───問題はないでしょう」
「その言葉を待っていました。ならば自分の真の姿を見せましょう」
アウグスト家に傅いていた神父が背中から3対の翼を介抱し、神々しい白い光に包まれる。
「聞き及んではいるでしょうが───ローマの守護天使サマエルです。共に神聖ローマの為に身も魂も捧げましょう」
「おおぉ、何という聖なるお姿! サマエル様、このフォス、お目にかかれただけで死んでも構いません。しかし、敢えて御直答をお許し下さい。
あのジャンヌという娘は本当に『聖女』なのか? 自分はその混血の聖女の存在を認める訳にはいかないのです」
「熾天使としては認める訳にはいきません。しかし、地上の教皇が『間違って』認めてしまった事は事実。故に誰かが正しい事を伝える必要があるでしょう。あの女は間違っても殺してはいけません。それでは彼女が殉教者となってしまい聖女として祭り上げられ、聖女としての立場を不朽のものとしてしまいます」
「おお、地上の愛の為に天上の栄光を体現すべき方がそこまでお気配り頂けるとは───ではローマ至上主義に関してどう考えているか。その胸中をご教授頂きたい」
「世界の思想の中心足るべき考えとしては、まだ異教徒、異種族、異民族に対して寛大過ぎますね。彼らはわずかな寛容を示せば、それだけで生きていけると勘違いしている様ですから。そういった、今までは譲歩し過ぎだった寛大さを考え直し、神聖ローマに対し隷属の意志を明らかにさせるべきでしょう。無論、聖職者は神聖騎士、クレリック共に神聖ローマ帝国の出身者で占められるべきです」
「では、この国の何処に排除すべき巨悪が潜んでいるのか? ご教授頂ければ剣の及ぶ限り鏖にして参りましょう」
「まず、ボルドーに潜む魔王ベリアルと、アビニョンで正当解釈に背き、間違った考えを振りまいているラスビリニ一世とが、この神聖ローマを腐らせています。それらを排除する事が、第一の栄光となるでしょう」
「それがサマエル様がこの国に降臨された目的でしょうか? ならば如何に壮大な屍山血河を築こうと、不肖の命に代えても神罰の地上代行人となりましょう! おおッ、サマエル様!! 神父としての役目を果たせなんだ愚か者と罵られ、教皇庁を追われ、行くべき道を見失ったこの無知で、憐れな子羊に道を御示し下さり恐悦の至極ッ!! ならば、さっそく『我が友』に一筆啓上し───」
アウグスト家当主は慌てて、フォス神父を遮り。
「それは無用に願いたい。情報はどこで漏れるか判らぬもの。後々に証拠となるものを残す訳には参りません」
「うぬぅぅぅ、何たる深謀遠慮。このフォス思いもよりませんだ」
「ご主人様、次の面会者が待っていますが」
侍従がアウグスト家当主に耳打ちする。
「では神聖ローマ帝国の為」
「AMENッ」
フォス神父が退出すると次の面会人───聖女騎士団と、ドラゴンスレイヤーの面々と出くわした。
「これはこれは───奇遇ですね。どうぞごゆっくりなさってください、御当主の許す限り」
というフォスの言葉にヤングヴラドはにやりと笑い。
「いやぁ、アウグスト家に預けたままの家督を相続しに来ただけなのだ。よって用件が済んだら、手早く帰るのだ。神父と話も伺えないままというのは、別れ方としては最悪なのだ」
「いやいや───ごゆっくりどうぞ」
フォスはそういってローマの高級市街に歩み出た。
●次回予告:我ら進撃せん、勇気ある誓いと共に
・次回舞台となる(予定の)都市
1)ローマ(奴隷『制度』関係)
2)ボルドー(悪魔崇拝痕跡調査関係)
3)ピレネー(反乱の選帝候関係)
4)アビニョン(もっとも大きく、もっとも小さき王朝関連)
・行動パターン
A)得物に物を言わせる
B)舌先三寸
C)情報集め
D)人集め
E)教える/教えられる
F)フリー
※1.行動はアルファベットと数字を組み合わせる事、アルファベットは幾つつけても構わないが、その分描写は薄くなる。
ひとつの例外なく数字はひとつのみ。身体はひとつしかないのだ。これは例外を認めない。
また、裏行動などと称して行動回数を増やす事は『絶対』出来ない
※2.宗教やクラスチェンジの希望などはしたいな〜、ではなく。クラスチェンジしたい、宗旨変したいと明言する事。あくまでロールプレイとして迷っている描写が欲しければその旨書き添えること。
但し、クラスチェンジには教皇に認められるなどの条件を満たしている事は肝要である。
尚、明示されていない為、恐縮であるが、不可能なものとして、特にジャパン、華国、インドゥーラなど東洋への移動を前提としたクラスチェンジ条件もある。
これらの外国への移動はクエストシナリオでは対処できない為、ご容赦されたい(インドゥーラ、華国も現在は移動は不可能)。
10月は31日間。そのつもりで保存食を購入すること。
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