BlowinonamicizieBlowinonCoraggio

■クエストシナリオ


担当:成瀬丈二

対応レベル:

難易度:

成功報酬:-

参加人数:17人

サポート参加人数:-人

冒険期間:2007年10月01日
 〜2007年10月31日


エリア:神聖ローマ帝国

リプレイ公開日:10月23日13:43

●リプレイ本文

●我ら進撃せん、勇気ある誓いと共に
 レオンハルト・リヒテンクラーク(ec1922)は獅子吼して───。
「ファランクスです。
 右側の兵士が大きな盾で左側の兵士の右半身を護る→左隣の兵士も同様に左隣の兵士の右半身を護る。
 これを繰り返して緩やかに左下がりの長大な盾と槍の列を作り、その列の後方にも同じ装備を持った兵士が並ぶ。
 何列か並ぶ事で、強力な打撃力と防御力を持った方陣が完成する。
そして、最右翼には最強の部隊が配置される」
 と居並ぶ将校達には判りきった話を切り出す。
「欠点としては、陣形の性質上、隊を横に伸ばす事はまず不可能。
 隊の一部を分離して別行動を取らせる事は勿論、方向転換も難しい。
更に、前進の際は問題ないが横からの攻撃には弱い。
 そこで今回の作戦では、帝国軍───友軍と呼称───は左翼の兵力に比重を置いた斜形陣でサクソニア軍───以下、敵軍と呼称───を迎撃します。
 この戦法は、かつてテーバイ軍が最強のスパルタ軍を撃破した際の戦法です。
 敵軍最右翼と友軍最左翼が向かい合う時、友軍が斜形陣を作るメリットは、
 ひとつ、自軍の中央から右翼の弱い部分が戦闘に巻き込まれるのを遅らせる。
 ふたつ、敵最右翼の左隣の部隊が、友軍最左翼を包囲するのを困難にさせる。
 敵の右翼から2番目の部隊が友軍最左翼の右脇に包囲をかけた場合、友軍の左翼から2番目の部隊によって左側面を直ちにつける事です。
 これにより、友軍最左翼は両側面からの包囲を恐れる事なく、敵最右翼の精鋭と対面で衝突できる。
 あとは、敵に倍する数の差が勝敗を決します。
 いかに敵の士気が高いと言った所で所詮は指揮官すらいない烏合の衆。
攻城戦に長けているとは言うが、はたして白兵戦の実力は如何なものかな。
しかも、数の上ではこちらが倍。これで負ければ、私はいい笑い者だ。
 それにしても、ピレネーを背にしての背水の陣。
 雌雄を決するには申し分ない舞台だが、あまり時間を掛けている暇もない。
 悪いがここで決着をつけさせて貰う。
‥‥ご婦人を、あまりお待たせすると後が怖いのでね」
 倍する兵力差を前提とした作戦に、余裕と見たレオンハルトであったが、友軍、敵軍以外の第3勢力とみなした、キンデルスベルグ騎士団の動向は無視できなかった。
「どう出る? テンプルナイト」
 キンデルスベルグ伯、動きは報告からすると、友軍に追従しているようだが───。

 ひとつ 敵方の重要人物は殺すのではなく捕える事。
 ふたつ なるべく何かしらの行動を起こす、起こした場合は速やかに自分に知らせ、指示を仰ぐ事。
 デウス・アマデウス(ec0145)はキンデルスベルク騎士団に対して暴走する事のない様に以下の誓約をし守らせ、暴走を抑える───つもりであったが。。
 そのつもりでも上層部と計ってではなく、いち指揮官のスタンドプレーとして発動してもテンプルナイトでは力が足りない。
 異端異教の輩に天に代わりて裁きを降す、との意志満々のまま、ピレネーを背後に置き去りにして、大半の騎士達は雪崩を打ってサクソニア軍目がけて押し寄せていく。
 ルイス・フルトン(ec0134)は一番槍、フォルデナッハ卿との声を前方に聞きながら、パイクと自身のスピアとの間合いの違いを忌ま忌ましく思っていた。
(パイクを持っていれば自分もひけを取らぬものの
「突撃、突撃せよ!!」
 声の限りに朋輩を鼓舞し士気を高める。
「今が勝機だ!!」
 割り込んでくるパイクの穂先をシールドで裁きつつ───。
「聖なる女神はスカートをまくって振っていらっしゃる」
 超えたからかに吠えるルイス!
「男ならいくしか無い」
 果敢に騎士に戦いを挑み屠って行く。
 挙げた首は十を下らぬ。
「ええい、雑魚の首など! 頭領は居らぬか!!」
 すると脇からパイラムが飛んでくる。
 先ほどのあまりの涜神的な言葉に怒りを催した、キンデルスベルグ騎士団からのものだ───。
「ええい、敵味方の区別もつかないのか!?」
 すると、銀髪碧眼のハーフエルフの乙女、トゥルエノ・ラシーロ(ec0246)が髪の毛を逆立て、目をランランと赤く輝かせ奪った得物を片手に迫り来る。
 ハーフエルフ特有の狂化という奴だ。
「麗しき乙女ながら、名のある武人とお見受けした。是非勝負して頂こうか」
「はん、あんたなんかそこいらの羊にたかっているシラミほどの腕力もないくせに、吠える声は一人前だねえ!」
「トゥルエノやめよう」
 数合撃ち合い、トゥルエノがソードボンバーを手刀で打ちはなたれると、受けられずにいる。戦いも、ルイスに不利になった所で全体の戦局を見たジョヴァンニ・セラータ(ec0232)がまったを入れる。
「我々は神聖ローマの明日を信じて戦っている。この気持ちが通じたのなら、わかり合える筈だ」
 ルイスが負傷を負った身で、後方に搬送され、ジュゼッペ・ペデルツィーニ(ec0207)の炊き出し兼治療を行っているテントに運び込まれる。
(単純に俗世の争いのように思えますが、悪魔が絡んでいるかどうかの答えは出せませんので、もう少し同行する事に致しましょう)
「ひどい傷ですね(ですが、もう先のけが人で、魔力も底を突いてしまいましたし)、ポーションで癒します。戦争ではいくらあっても足りませんが」
 少なくとも魔法では瀕死の人間を治すには3人が限度。それも成功を前提としてのものである。
 ポーションを二壺飲まされてルイスの容体は安定した。
 テントの外から進軍の歩調を取る為の太鼓がリズミカルに鳴るのを聞きながら───夕日がピレネーの影に消えていく。
 その頃には、大勢ははレオンハルト軍の勝利で決した。
 彼我の戦力差と指揮官の力量からして当然である。
 サクソニア軍は個々の部隊ごとに散り散りばらばらに、ある者は降伏して、ある者は夜陰に乗じて落ち延びようとする。それをキンデルスベルグ騎士団が血に飢えた様に追いかけ回し、捕まえては炎の洗礼を浴びせる。
 
「これが勅命書か───」
 降伏したサクソニア軍幹部から、差し出された皇帝の勅命書を確認するレオンハルト。
「これをどこで入手した?」
「亡くなられたヤーグル様しか知らないと思います。ともあれ、我らは皇帝陛下の後ろ盾があると思って挙兵したので‥‥」
「───単純な考えの方々ですね、疑いもしないとは」
 ともあれ、目的は達成。論功行賞を開始しながら、レオンハルトは撤退準備を始める。
「まあ、倍する戦力で戦えば、傷も少ないというもの。しかし、このルイスという男、中々に見るものが在りそうですね」
 こうしてルイスはナイトとして叙任式を受け、正式にレオンハルトの配下に組み込まれたのであった。

 そして、舞台は変わり、ローマの高級住宅街に視点を変えると、フォス・バレンタイン(ec0159)が、マリウス・ゲイル(ea1553)に呼び止められた所であった。
「あれは誰の館ですかと聞いてよろしいでしょうか? 館に入らせてもらえないか掛け合いたいのですが‥‥」
「ここは七大選定候家のひとつアウグスト家のローマ宅だ。そして、私は単なる客人だ。招待状なしで入れる館とは思えん。力になれないな」

 そこへエリー・エル(ea5970)がテンプルナイト達にテンプルナイトの先達であるジャンヌを紹介する声。
「はじめましてかなぁん。エリー・エルだよぉん。よろしくねぇん」
 と別にテンプルナイトだろうがなんだろうが気にせずに気さくに挨拶する。
「彼女がジャンヌくんだよぉん」
 と友人感覚で紹介する。

「やあ、フォス神父なのだ」
 と、フォスの背中に声をかけたのはヤングヴラド・ツェペシュ(ea1274)。
(苦節9ヶ月、余もとうとうツェペシュ男爵家の跡取りとして家督を継ぐ日がきたであるなぁ。しかし、なんか知らないであるが不吉な予感がするのだ。もしやフォス神父とバッタリ鉢合わせしたからであるか?)
「余がこうしてお天道様の下で歩き、家を継げるのも皆の旅に同行したからなのだ。みんな今までありがとうなのだ。ここまで同行してくれたし、アウグスト家に何かご要望があれば余も精一杯取り次ぐのだ。
 ん? よく考えてみれば余が無事に旅をするきっかけとして、フォス神父が余の洗礼をしてくれた事があるのだ。どうであろう? 『お忙しそうであるが余の家督相続にも立ち会って』くれれば、恩人として感謝のきわみであるな。まあ、色々とあったであるが『聖女』とアウグスト公の御前で和解するとか。
 さてさて、アウグスト公に言われたとおり出頭したであるが、無事に継げるであろうか? 一応、自分としては洗礼も済ませ、『聖女』の旅に同行し、父母の生前の罪を償ってきたつもりなのだ」
「何を言いますか? 私があなた方と和解する条件はただひとつ。ジャンヌさんが自らは聖女ではないと、自分の口から宣言する事ですよ」
 それに応えて一歩踏み出したバラン・カリグラ(ec0735)曰く───。
「地獄に堕ちろエセ神父。ジャンヌ様に近づけば、無言即殺!」
 ポージングを決めながらバランは、フォス・バレンタインがジャンヌにあらぬ疑いをかけてきた事。この男がそもそも聖職者ではなくただのファイターであること、教皇庁から追い出されたこと、聖女一行に紛れ込んで行った悪事の数々を全て公表することで、信用が置けないことを証明する。
「それは───‥‥私の父、ボウ・アウグストに関する皮肉ですかな?」
 とアウグスト候が語りながら歩み寄ってくる。
「私の父は先のノルマン独立戦争の際、敗戦の責を取って、教皇庁へと身を寄せました。しかし、あくまでナイトです。その事を存じた上で仰っているのかな?」
 バランは禿頭をなで回しつつ───。
「いや、わしから切り出しておいて何だが、難しい事はわしにはわからん」
 筋肉にものを言わせて断言。
 不穏な空気を感じた、クローディア・ラシーロ(ec0502)は不安げにジャンヌの側に寄りそう。
(権威主義者───)
 クローディアが真っ先にアウグスト家当主に関して抱いた反応はそれであった。
 一同はなし崩しにアウグスト邸に入り、得物をナイトと神聖騎士、テンプルナイト以外は預ける事になる。
 シリウス・ゲイル(ec0163)は家の眼前に聖なる釘で、結界を張ろうとしたが、やんわりと使用人達から断られる。客間にそのまま通されたので家人と話をする機会はなかった。───。
「アウグスト家は唯一奴隷制度に反対した選帝侯だと聞いているので、その他のローマ至上主義の選帝侯と違って、まだ信用できると思う。
 なお罰が悪いので、自分がローマ至上主義者に反対なのは隠しておく。
 アウグスト家の援助を乞うためにこれを献上します」
 と、自分の『クルスグラディウス』を差し伸べる。
「自分にとっては大切なものだが、それくらい騎士団も教皇庁も大事だからだ。
 アウグスト殿には無用かもしれないが、お隣にいらっしゃる神父殿にはちょうど良い守り刀になるのではないだろうか?」
 いえ、私の肉体は信仰が守ってくれます。
 と、固辞する神父。
「まあ、必要な事があれば何時でもお申し付け下さい」 
 空気を読んでか、読まずか火中の栗を拾いに踏み切ったかヤングヴラドは───。
「まあまあまあ、人の口に戸は立てられぬであるが、未だジャンヌちゃんを『聖女』か否か疑う輩もいるとか。ここにはローエンジェルのノエル君もいるであるし、この場でディテクトアンデッドを発動させて確認するのはどうであろう。なに、アウグスト家さえ不問にしてくれるなら魔法発動も可であろう?
 御付の神父殿も、ちょうど良い介添え役であるし」
 ヤングヴラドのその言に、神父はおもむろに言葉を切りだす、何故、ディテクアンデッドを使う事が、『聖女』発見につながるのでしょう、と。それとも『聖女』はこの魔法で見つかる様な不浄な存在を指すのか? そもそも神聖ローマ帝国は聖職者といえども魔法はみだりに使えない。
「当然我が邸にも、少なからない数の別の選定候からの間諜を敢えて泳がせている、その目の前で違法行為である魔法を行使する程愚かではないよ」
 と、アウグスト候。
「話は聞き及んでいるのだ。『会議での席上、ローマ文化復旧法に反対なさった』とか。
 ジャンヌちゃんの神聖性はローマ文化復旧法反対の布石になるはず。ちょうど今、決戦の様相を呈している反乱の調停にも乗り出せて、影響力を示せるし、アウグスト家にとって不利な状況ではないはず。
 それでも『異存はお持ちある』であるな? あるとすれば‥‥───『まあ、理屈通りであるな?』」
 その脇で、グイード・ルークルス(ec0283)はアウグスト家当主と話す。
「ローマ文化復旧法に反対しているとお聞きしていますが、施行された法を覆すことができるとお考えですか? 私はローマ文化復旧法に関しては疑問を感じています。他国のものも受け入れた上でローマの文化を発展させるべきではないでしょうか?」
「さきほど入り口でフォス神父と会ったのですが。ずいぶんと機嫌が良さそうでしたが‥‥?
 彼はローマ至上主義者です。ここで実入りのある話ができたとは思えないのですがいったいどのようなお話をされたのでしょうか?まさか、彼の話に同調したなどということはありますまいな。差し支えなければお答えいただけないでしょうか?」
「ああ、私の父が教皇庁でかなりの強行派だというか、正確を期するならば、教皇庁では屈指の至上ローマ主義なのだよ。
 結果として教皇庁に───」

(ローマ文化復旧法に対する抑止の考えがあるならアウグスト家には協力したい所、ただし、フォス神父のこともありあやしいと感じている。フォス神父の内通相手がアウグスト家ならばまずいことになる。今回の面会でそこのところを見極めなければ)
 何かあったときのために脱出の心づもりはしておき、先頭に立って退路を確保する。
 ジャンヌの守りはバランがなんとかしてくれるはず───。。
 ユーリア・レオ・フォルティ(ec1663)はぴったりとジャンヌに寄り添う。
 一歩退いてバランがガードする、
「ちょっと、3魔剣は3本揃っていないと意味が無いんじゃないの? 私だけ特別扱いはやめてよ」
「お許しを───聖女の名に於いて集った我ら、ジャンヌ様を失う訳には参りません」
 ジャンヌがカリカリして自分の待遇に異議を唱えると、アウグスト家当主は書類を取り出し、ヤングヴラドに渡す。
「受け取り給え───父祖の過ちを償った君こそ、これにふさわしい」
「これはなんであるか? ひょっとして!」
「そう、ツェペシュ男爵領の譲渡証だよ。これで君も晴れて貴族の仲間入りを出来る。おめでとうツェペッシュ男爵」
「開けてみて良いであるか」
「どうぞどうぞ」
「では、このシルバークルスダガーで───おっと、手が滑ったのだ」
 リボンを外そうとしたヤングヴラドのシルバークルスダガーはそのまま、アウグスト家付き神父の元へと飛んでいく。
「危ないのだ!」
 しかし、神父の眼前で見えない壁に当たったかの様にそのままシルバークルスダガーは床面に落ちる。
「ちぃ、たちの悪い偶然ですね。とはいえ、デュランダルの運命への介入率を甘く見ていた」
「は?」
 唖然とするフォス神父。
「サマエル様?」
 エリーが騒ぎ立てる。
「ちょっと、どういう事なのん? サマエル様ってジャンヌくんを認めた熾天使さまでしょう」
「いいえ、サマエル様は展開にお戻りになりました。エリーさん一緒にディテクトアンデッドを! 地上の法を侵してすみません、ご当主!」
 白い淡い光に包まれるノエル。
「じゃあ、あたしもお手伝いするのねん」
 同じく白い淡い光に包まれるエリー。
「反応在り。そこのアウグスト家付神父様」
「そうなのねん、あたしも感じたのねん」
 すると、当主付の神父は形を崩し始めた。ジャイアントの体格にエルフの優雅さ、ハーフエルフの狂気にパラの無邪気さ。
 ひとつの試料から形作られたのは、それらを兼ね備えた身長2.5メートルになろうかという『一対』の翼を持ち、肉体美の極地と言える程の半身を露わにし、黄金色の髪に右手には燃えさかる短剣を持った姿である。
 その間に戦闘準備を整える一同。
 どうしました!? と家人を蹴散らし、飛び込んでくるマリウス。
『ベリアル』は空いた片手で印を結び、全身を黒い霧の様なもので包み込み、黒い炎の固まりをフォス神父に浴びせる。
「何を───」
「おまえさえ居なければ、我が正体がばれずにすんだものを───」
 結構低レベルな台詞である。
「今こそ使命の時! 我が右手がもがれようと、我が血肉が尽きようとも、デュランダルと僕は戦い続けます」
 一方、グイードが純白の刀身───魔剣デュランダルである───を引き抜くと、コナン流の流儀。即ち大きな武器で相手より先に致命傷を与えるを実践する。オーラエレベイション込みで。
 かたや、シリウスは自分の献上しようとしたクルスグラデゥスにブレッシングを施し、聖なる力を持ってベリアルを討とうとするが、クルスグラディウスでどれだけ戦えるかは問題であった。
 当然、ユーリアもジョワイユースを引き抜き、レジストデビルの力を発揮し、そのままベリアルに斬りかかる。
「ジャンヌ様お逃げ下さい!」
 日光にブランの刀身とそれを覆う虹色のフィールドを煌めかせつつ、ユーリアは思わず叫びながらベリアルに斬りかかるが、ベリアルはユーリアの全力の斬撃を余裕で避ける。
「駄目だ! この存在は大業では当たらん!!」
 ベリアルは薄く笑みを浮かべると続けて一喝する。
「ジョワイユース、とは猪口才な!」
「ジョワイユースは伊達じゃない!」

 その同時期。
「私だけ戦わないなんてイヤ、お願いバラン戦わせて!」
 とジャンヌが訴えかけるが、ジャンヌを小脇に抱えたバランは、これ以上ジャンヌがいくさ場の危地にあるのに耐えきれず、アウグスト邸から落ち延びようとする。
「せっかくローマに来たのじゃから見物にでも行きましょう。時には息抜きも必要! 筋肉も、適度な休みを入れることで超回復するのですから!」
「私は筋肉じゃなーい」
 アウグスト家の家人達が慌てて出てくるのを制しつつ、バランは首都ローマの街並みへと繰り出すのであった。
(あのベリアル? の筋肉は見事じゃったが、どうせ見かけ倒しか、禁じられたクスリでも使っているに違いない)


 エリーが牝鹿の様にレイピアとマンゴーシュを煌めかせて攻撃するが、ベリアルはダブルブロックで対抗する。
 続けて、聖騎士の盾とゴートソードを閃かせ、ヤングヴラドも参戦する。その一降りの描く軌跡はマリウスのオーラパワーの魔力も相まって、まさしく虹のアーチの様であった。
 続けて、シリウスは祝福されたクルスグラディウスを以ていくさ場に出る。
 少しでもダメージを入れればそれが倍の破壊力となってデビルを打ち拉ぐ、まさに破邪の刃である。
 続く一分ほどの間にフォス神父の懐に飛び込み、炎の短剣で間合いを支配するベリアル。体術が人並みのフォスはこの間合い差を凌げない。
 しかし、元同行者であった面々から攻撃は容赦なく繰り出されてくる。
 あっという間に満身創痍となるフォス神父。
「くっ! 凌ぎきれぬか?」
 とはいえ、周囲からの攻撃で血を流し───しかし、肉体から離れた次の瞬間には消滅している───ベリアルが弱気の虫を覗かせ始める。
 動きが鈍った所で、グイードの渾身の一撃が、ベリアルを捉える。
「もらいましたっ!」
 ブランの刀身が煌めいて、ベリアルの腰と胴がに半ばまで斬り込む。次の瞬間、ベリアルの姿は消え失せる。
 ギリギリで見切って、急所を逸らし一撃で死ぬのを免れたのであった。
「はっはっは、おまえ達はべらぼうに強いな、よろしい、ならば今度は私の真の肉体でもって戦おう。チャンスは一度だ。次の満月の時ボルドーにて待つ。もっとも来なくても私の芸術は確実に進行しているがな」
 声だけが谺していた。
「は、今のは一体? サマエル様をおまえ等は討ったのか!?」
 今の急な騒動について行けなかったのか、アウグスト家の当主の声だけが谺していた。
「叔父君、無事で息災です」
 とシリウスの自称、甥であるマリウス。
「マリウスくんか、手助けありがとう。しかし、貴殿はフランクに帰り給え。
 デビルとの戦いが終わってから、また話をしよう。
 その頃には、ローマももう少し貴殿のような異国人が住みやすい国になっていると良いな。
───いや、そうして見せる。だから待っていてくれ」
「いえ、デビルを見て、座している訳には騎士として参りません。一介の従者としてでも構いません。いや、個人で動いてでもベリアルは討ち果たします」

『神聖ローマ帝国の法から照らし合わせ、混血であるジャンヌ・ダルクを“聖女”である事を間違いである。彼女を“聖女”ではない事を認め、また、その責任をとりラスビリニ1世は自ら教皇の座を降りられる事。また、魔剣の所有をキンデルスベルク騎士団に一時的に預からせていただく事を要求いたします』
 見てくれるかな? ディアーナくん、と呼ばれて、教皇ラスビリニ1世が見せた『キンデルスベルグ騎士団』からの手紙をディアーナ・ユーリウス(ec0234)は見せられた、署名はデウス・アマデウス。
「破門ですか───‥‥?」
「そうせざるを得ない。‥‥というよりテンプルナイトは教皇以外の宗教権威に跪く必要が無いからね、警告を繰り返しても互いの為には良くないだろうとね。
 何より時間がもったいない」
「破門されたら彼、どうなると思います?」
「さて、見当もつかないね? 私もだが」
 ディアルト・ヘレス(ea2181)は教皇に呼ばれる次の犠牲者(?)になりそうであった。
 ディアーナは確認しながら退出する。
(ボルドーにはまったく、悪魔崇拝者のものと思しき、儀礼の痕跡は発見できなかったし。
 それは、わたしの行動が遅かったから痕跡を消されてしまったのか。それとも‥‥そもそもボルドーは無関係だったのか。
 なんだか、ボルドーが悪魔崇拝者の拠点っていうのが、デマ情報な気がしてきたわ。
 デビルが狙っている場所から目を逸らせるために、本当は何にもないボルドーへ兵を集めさせているとしたら‥‥。
 デビルの狙いは、どこ? なに?
 普通に考えて、デビルが狙うとしたら、ローマ皇帝か教皇さまかしら。
 まだビショップ修行中だけれど、全力でお守りしなくちゃ!
 魔法は、『みだりに』使ったら法に触れてしまうけれど‥‥。
 今は緊急事態、その辺は人目がなかったら臨機応変に★
 新しく習得した魔法『ディバンク』を、ちょっと使ってみようかと思うの。
 もし、普段教皇さまと接点のない人物が謁見を求めてきたりしたら、あらかじめ別室でディバンクを用いて、遠目からその人物を眺めてみたり。
 不審な場合はホーリーフィールドを張っておくのも効果的かしら。
 でも、ホーリーフィールドを形成する時に敵意を持っていると、ホーリーフィールドが発動しないというだけで、無関係の人が予め張られたホーリーフィールドに入っても自動的に弾かれるのよ、ちょっと問題在りね、この策は)
 ディアルトの話に付き合わされたディアルトは沈痛な面持ちで言葉を受け流しつつ───。
(よくよく考えると、日常にて魔法を使うことを禁止されている神聖ローマはデビルが変身してもぐりこんだとしても、めったな事では正体を暴かれないというアドバンテージがある。
 また、その選民思想故に自分の考えに固執し易く、相手を丸め込めればその考えに支配された信者達によって騒動を起こし、それを基点として騒乱をばら撒いていくという悪循環が引き起こされる可能性もある。
 そのため、ボルドーの一件からジャンヌのこともあり、選民思想のローマ文化復旧法を中心として教皇庁で一波乱あるのではないかと考えられる。
 デビノマニや悪魔信者はわからないが、石の中の蝶を用いて教皇庁内にデビルが潜んでいないかひっそりと監視し、石の中の蝶が反応を指名した場合はその原因について調べよう(反応の中心に向かっていって反応する人物を特定する) 。
 また、教皇に面会するものについては特に警戒をし、さりげなく近づいて蝶の反応を見る。
 そして反応があれば同行し、教皇に対して凶行に及んだときには身をもって挺する)
 との決意を新たにするのであった。
 決戦のゴングがあがる。

●次回予告:勇気ある誓いと共に、戦ふものに華の芳りを

・次回舞台となる(予定の)地点
1)ローマ(祝福と魔の都関係)
2)アビニョン(もっとも大きく、もっとも小さき王朝関連)
3)神聖ローマ帝国北方
・行動パターン
A)得物に物を言わせる
B)舌先三寸
C)情報集め
D)人集め
E)教える/教えられる
F)フリー

※1.行動はアルファベットと数字を組み合わせる事、アルファベットは幾つつけても構わないが、その分描写は薄くなる。
 ひとつの例外なく数字はひとつのみ。身体はひとつしかないのだ。これは例外を認めない。
 また、裏行動などと称して行動回数を増やす事は『絶対』出来ない。
※2.宗教やクラスチェンジの希望などはしたいな〜、ではなく。クラスチェンジしたい、宗旨変したいと明言する事。あくまでロールプレイとして迷っている描写が欲しければその旨書き添えること。
 但し、クラスチェンジには教皇に認められるなどの条件を満たしている事は肝要である。
  尚、明示されていない為、恐縮であるが、不可能なものとして、特にジャパン、華国、インドゥーラなど東洋への移動を前提としたクラスチェンジ条件もある。
 これらの外国への移動はクエストシナリオでは対処できない為、ご容赦されたい(インドゥーラ、華国も現在は移動は不可能)。
 11月は30日間。そのつもりで保存食を購入すること。

今回のクロストーク

No.1:(2007-10-06まで)
 フォス神父、ジャンヌ側から、アウグスト家当主の前で和解しようと言ってますリアクションは? ジャンヌ側はフォス神父をどれ位信用するか表現してください。