熱砂の地にて

■クエストシナリオ


担当:高石英務

対応レベル:

難易度:

成功報酬:-

参加人数:19人

サポート参加人数:-人

冒険期間:2007年11月01日
 〜2007年11月31日


エリア:エジプト

リプレイ公開日:03月10日06:39

●リプレイ本文

 全ては、いつより始まりしことか。

 悪神の悪意がその炎をあげ、思いを持ちし者たちが集いし探索の始まりからか。
 人が己の心に従いこの地を憂い、あるいは野心を遂げようとした時よりからか。
 遥かな昔に、神官が私欲を胸に秘め、王が求めた理想に絶望を覚えた時からか。
 それとも、歴史ならぬ神々の御代、天と地、神と魔が分かたれた頃よりの縁か。

 だが、熱砂の大地には、変わらず日は昇り、変わらず月が昇る。
 そして運命の輪は巡り、夜が過ぎれば、新たな明日が巡り来る。
 その朝日は一体、何のため、誰のために輝き照らすのだろうか。


■陽は沈み、月は昇りて、また来たる明日


「まったく、いやな空ですね」
「‥‥ああ」
 砂が風に舞い吹きすさぶ三大ピラミッドより離れた、冒険者たちの張る天幕。その向こう側に、本来なら明るく照りつけるはずの陽光を思うアルフレッド・ディーシス(ec0229)の言葉に、シェセル・シェヌウ(ec0170)は苦くつぶやき返した。
 カイロの郊外にあるメンフィス、その地にて古き歴史とともに砂漠にたたずんできた三大ピラミッドと呼ばれる遺跡は、長きに渡り、不穏な空気に包まれていた。
 暑き太陽が輝けるはずの空は、雨期のそれよりも暗く重々しい曇天が広がり、その淀んだ空には水にインクを落としたかのように、闇色の太陽の光が重苦しい雲とともに渦巻いている。
「魔の呪い故か、それとも死したる者の恨みかはわからぬが、早くどうにかしたいものじゃのう」
 強くはない禍々しき陽射しを露にした肌から避けるよう、肩に錫杖をかけて椅子に腰掛けるアナスタシヤ・ベレゾフスキー(ec0140)は、これまでこの地で起きた諍いの顛末を思い出しながら、大きくため息をついた。
 目の前にそびえるピラミッドのそれぞれの頂点には、雲‥‥いや、負の感情というべきだろうか、黒き霞が渦を巻きながら集まり、そして一番大きな、不死の王が目指したピラミッドの頂点には、それに染められたのだろうか、かつては太陽の神と呼ばれた陽精霊アトンが、黒き闇色の光を放っていた。
「しかしこのあと、あれは一体どうなるんでしょうね〜」
 いつもよりはやや緊張した風にも聞こえなくもない息を吐きながら、ユイス・アーヴァイン(ea3179)は静かに、闇色の太陽を見透かした。
「さあ。でも、放っておくわけにはいかないでしょう」
「うーん‥‥放っておいて、見てみたい気もしますけどね〜」
 フェネック・ローキドール(ea1605)の呟きに対する男の返事に、一同は変わらぬ様子だと、緊張を解いて小さく笑った。
「さて、遺跡の地図はこの通りですね。あとの問題は」
「カイロの方、ということか」
 笑いの向こう、何枚かの地図に記憶からピラミッドの構造を写し終えて、アルフレッドはペンを置き、そして内容を確認しながら、シェセルは静かにカイロの方角に視線を向ける。
「まだ、連絡はこないのかよ」
「ああ。時間はかかるだろう。しょうがないことだが‥‥」
 口を尖らせて尋ねる土佐聡(ec0523)の様子を気にした風もなく、シェセルは地図を確認しながら、皆に配って渡す。
 今カイロでは、アトンのアデムサーラ・アン・ヌール(ez0192)の申し出により、駐屯部隊の将軍として派遣されたニー・ギーレン(ez0194)将軍との会談が設けられているはずだった。
 話し合いが納まるところに納まるのならば、手柄を焦る帝国の兵や狂的に信仰を望むアトンのメンバーのような、人の敵を気にすることなく、『人』の敵に対することができる。
 だがその決着を待つ間にも、遺跡には邪気に惹かれたのか、散らしたはずの魔物たちが、オアシスに泉が湧き出すようにその姿を見せていると囁かれていた。
「時間はないが、邪魔が入っても面倒‥‥何とかして、話をつけてもらわなければなりませんね」
「本当は、一つ一つ順番に攻略できればいいんだけどなぁ」
「時間が惜しい時だ‥‥何とかしなくてはな」
 ネフェリム・ヒム(ea2815)と土佐は言葉は違えど、そうして同じように息を吐き、視線を巡らすと、一同は様々な思いとともに静かにうなずいた。

 カイロの傍ら、エジプトを支配するサラセン帝国に抗する、アトンの陣幕。
 そこには、まもなく行なわれる帝国とアトンの停戦交渉のために、冒険者たちを介して数名の総督府の兵士たちがやってきていた。
「まもなくだ」
 天幕から出てきたテティニス・ネト・アメン(ec0212)にハサネ・アル・サバーハ(ec1600)は告げると、女は静かに目を伏せて応える。
「もう、そんな時間なのね。‥‥それで、呪いは?」
「ハサネさんの方は解くことができましたが」
 尋ねたテティにエミリア・メルサール(ec0193)は目を伏せ首を横に振ると、簡素な杖を持ち目に布を巻いたアフロス・エル・ネーラ(ez0193)のほうに視線を移した。
 遥かなる過去より生きる神官アイの呪いを受け、すでに二月近く視力を失っている彼女は、杖の使い方にも慣れてきたものの、アイに狙われているという事実も加わり、一人にはしておけない状態が続いている。
「呪いは概ね、かけた者がやめなければ‥‥解いたとしても堂々巡りになります」
「ということは、アイはまだ、生きているということかしら?」
「ええ。ハサネさんの呪いは解けたということは、セトは、滅びたようですが」
 エセル・テーラー(ec0252)の疑問にエミリアは悲しげにうなずくと、そして、耳そばだてるしかないネフィラを見やった。
「私のことは気にしないで‥‥これで、足手まといになるのはいやだから」
「足手まといだなんて」
 つと漏れた、女の悲しみを含む言葉に、テティは気にした風もなく微笑んだ。
「あなたがいなければアデムサーラも、私も‥‥それに烏もどうなっていたかわからないわ」
「そう思ってくれるなら、うれしいのだけど‥‥」
「今はただ、一時のことですから」
 テティニスの応えを受けるようにアン・シュヴァリエ(ec0205)はうなずくと、その光を取り戻していない瞳を覗き込むように、女の正面より視線を見据える。
「No el amor,sino el afecto。‥‥人は、人を想って生きているんです」
「‥‥」
 心に浮かんだ言葉をつぶやくと、アンは一同が帝国との会談に向かうために用意するのを見て、その手を差し出したネフィラが立ち上がるのを、テティニスとともに手伝った。
「だから自分を大切にして。そうすれば帰るところは、必ずあるのだから」
「‥‥ありがとう」
 その女の言葉は明るくも、やや潤いを含んでいるように感じられた。

「降伏、ではない、と?」「そうだ」
 その声には、鋭き刃の響きがあった。
 緊張に唾を飲み込む音でさえ、あげることは憚られる雰囲気。剣呑に想える空気の流れを、介した一同は見守る。
 そこは、停戦交渉が行われる会談の場。
 帝国の側からはギーレンと山本建一(ea3891)、そして後ろに控えるハサネ。アトンの側からはアデムサーラとテティニスの二人がこの席に同席していた。
 その他にもそれぞれの護衛の者が数名ずつ、天幕の中に立っている。
「ですが、今回のことは」
 ギーレンとアデムサーラの言葉により凍りついた場を動かすように、山本が静かに切り出す。
「アトンの問題も大きいのでは? 魔物と、手を組んでいたのですから」
「それは、あなたたちも同じはずよ? 元総督とその補佐官の正体、知らなかったとは言わせないわ。それに」
 切り返すよう、テティニスも言葉に力を込めると、続けてその視線を将軍へと向け、牽制の意も含めて語気をさらに強める。
「私たちだって、好きで魔物に踊らされたわけではないわ。そのような偽りの希望に縋るように、圧政を敷いたのは、あなたたちの方」
「立場は、わきまえた方がいいぞ?」
 ギーレンはその片目で女の視線を受け止め、冷えた声を口にする。
「今ここがどこで、お前たちは反乱を起こした者たちだということは」
「確かに」
 山本までも牽制するよう、見渡す将軍に対し、アデムサーラはテティニスを制し、つと、口を開く。
「理屈はもっともだ。お前たちは支配者で、私たちは支配される者だ。だが」
 アデムサーラは傍らの女と、そして後ろの仲間たちを見、語気を強める。
「私たちは私たちの暮らしを求めて、立ち上がった。私たちは人であり、そしてエジプトに根を張る者。それが踏みにじられれば、幾度でも立つだけだ。根絶やしにしない限りは」
「あくまで、そう言い放つか」
 男の言葉に同意するよう意を決した一同に、ギーレンは低く、返事を放つ。だがその声の重さにも場の空気は、揺るいだ様子を見せなかった。
「あなたをそのまま、放免することは難しい。それは、理解されていますか?」
「ああ。その責はとる。いくら騙されていたとは言え、民たちを惑わせた罪は償わなければならない。それが‥‥私だけで済むなら、安いものだ」
「!」
 山本の問いかけにアデムサーラは、穏やかな表情でうなずいた。その表情に、アトンの者たちの不安と、帝国の者たちの疑念が混ざり合って、ゆっくりと漂う。
「‥‥よかろう。今は言い争っている時ではない。全てを振り出しに戻して、手打ちとしたいが?」
「全てを、振り出し?」
 ギーレンの含めた裏の意味‥‥今起こる異変のことも含めての申し出に、テティニスは疑問の表情を浮かべる。
「元来、帝国ではその秩序を乱すのでなければ、少々の税を追加で納めてもらうが、信仰は自由だ。それをあの男に利用されたのが、そもそもの始まりだろう」
「‥‥つまり、総督の私腹を肥やしていた分の税は軽減し、信仰の自由も認めると」
「ああ。もっとも、後任の総督によってはわからんが‥‥今は争う時ではないと言っただろう」
 建一の確認に対する将軍の返事が終わる前に、アトンの面々に歓喜の表情が認められると、だがギーレンは釘を刺すようにアデムサーラを睨みつける。
「しかし、アトンの首領には民を騒がせた罪と‥‥魔物に入れ替わられないように、当分、牢に入ってもらうがな」
「いつまでの、間よ」
「魔物が入れ替わらぬようにと、いうことだ。そうだな、せいぜい一月‥‥戦いが終わるまでだ」
 テティニスの詰問とも言える口調に、ギーレンはわかっていたように面白そうに微笑んだ。

 そこにはこれまでの戦いで様々な死を迎えた屍が集められていた。それらの一部は熱気に蝕まれ崩れ、あるいは腐臭を放ち蝿を寄せ集めている。
 そんなカイロの郊外にたたずむ男が一人。白き面の、白き死に装束の烏哭蓮(ec0312)が呪を唱えると、死者を僕として立ち上がらせる。
「あの建物を、襲いなさい」
「‥‥死者を操って、何をするつもりです?」
 総督府を指して命を告げたその時、かけられた声に、烏はゆっくりと振り返ると、アンは剣の柄に手をかけ警戒していた。
「‥‥アトンの、勇者様のために、敵を滅ぼすのですよ」
「そんなこと、本当に必要だと思うの?」
「‥‥間違いなく今、います。烏さんと一緒に」
 エセルの声の裏、静かにエミリアは魔法で感じた悪魔の反応を告げると、3人には緊張が走る。
「戦いは終わる‥‥それでいいのですか?」
 動き出した死体を見つめながら、烏は薄く笑って一同に問いかける。
「停戦で戦いは終わるでしょう‥‥でもそれは、意味がない。あの男は結局、ネフィラも、仲間も、誰も守れなかったのだから」
「そんなことはありません」
 エミリアは烏の様子に警戒し、強く呼びかける。
「あなたは、悪魔に唆されているだけです。古来よりの魔物に」
「いえ」
 周囲の警戒の様子も説得の言葉も無視し、烏は新たに死者を僕とするべく数語の、高速の詠唱を行った。それにあわせて立ち上がる死体に笑みを浮かべると、烏は茶の瞳を輝かせる。
「これは私の意志‥‥私の求める者の、ためのこと」
「やめて!」
 その声と駆ける音に、男は続けようとした詠唱を止め、視線をつと落とした。見れば見えぬままよろめき駆けたネフィラが、男の行動を咎め抑えるよう、男の体にもたれかかっていた。
「ネフィラ‥‥?」
「あなたの思いは、わかるわ‥‥私も、アデムサーラのために力を貸したかった」
 布の向こうの見えぬ青き瞳で見上げながら、ネフィラは静かに言葉を紡ぐ。
「それは自分が必要とされたから。そう、自分ではない誰かに‥‥Nicht Liebe,aber Zuneigung。今あなたの、私への思いは‥‥遠いこの地の人々よりも、わかると思えるから」
「‥‥不是愛、而是喜愛‥‥?」
「‥‥それでいいのか? お前は、お前のものを手に入れるため、力を求めているのだろう?」
 それは烏と、傍らにいるネフィラにのみ低く聞こえた声だった。
 その時、呆然としたままの相手の様子に、エミリアは走った。打ち合わせの通りにエセルの弓が引き絞られ、矢が一筋放たれると、烏の足元をかすめ、一瞬男の体をこわばらせる。
 続けて伸びたアンの腕が体を抑えると、動きのとれぬ男に手を重ね、エミリアは退魔の術を放つ。
「が、はぁっ!?」
 女を包む白い光が止むとともに男から黒い霞が抜け出ると、数m離れた所に集まった霞は禿頭の、老人の姿をとった。
「な、なんだそれは‥‥知らぬ力を!」
「これが、神の力です」
「神、だと? セトを‥‥いや、わしをのぞいて神はおらぬ。お主もそう思うだろう! 異国の死人使いよ」
 だが烏は呆としたまま懐から小さな袋を取り出すと、それを傾け、中の灰をそっと宙に撒いた。
「それは‥‥貴様!」
「貴方に渡された契約の書、ですよ」
 目の前で霧散していく契約の書だったものを見て激昂する老爺を見てか見ずか、烏はそっとした声で結論を口にする。
「私は、得たいものがあった。いなくなったあとも、いつまでも、それは欲しかった」
 烏は変わらぬ表情で宙を見つめ、その手で目の前にいるはずの女の髪をすく。
「でもそれは、結局、力では手に入らない‥‥偽物の、騙る神の力では」
「ならば、魂もろとも滅ぶがいい!」
 その瞬間、アイより放たれた黒炎がネフィラを包み込んだ。それを見てエセルは即座に銀の矢をつがえ放つも、それは小さく、老爺を傷つけたのみ。
「わしを虚仮にしたことを、後悔させてや‥‥う?」
 その悪口に重なるよう、アイは自らの目を掻きむしるように押さえた。絶え間ない痛みが目を焼き、足元がふらつく感覚に、魔に魂を売った老爺は目の前の男を震える指で指差そうとする。
「私のものに手を出したことを、後悔なさい。呪詛に堕ちて」
「呪いだと‥‥バカな!」
 呪いの反動により同様に目を傷つけた烏は次の瞬間、ネフィラと同じく黒炎に包まれた。だがその隙にエミリアは拘束の魔力でアイを縛りつけると、男に向けて、アンは聖なる十字架をかざして詠唱する。
「これで、最後ですね‥‥滅びなさい!」
「わ、わしは神に選ばれた‥‥神の後継者たる‥‥!?」
 そして放たれた聖なる黒光に、力を取り戻しきっていなかった老爺は、叫ぶ間もなく滅していた。

 アトンとエジプト総督府の間に、仮初めの和平が結ばれてより数日。駐屯軍はギーレン将軍を含む本国の兵をカイロにいくらか残した後、牽制の意味も含めてピラミッドへと進軍した。
 その派遣された兵たちの中には、アトンの重鎮も何名か見られ、それだけでも停戦が実現したということを物語っている。
 そして、冒険者たちが抜け道から遺跡に乗り込むのにあわせ、遺跡を取り巻く魔物たちへの攻撃が先と同じく、開始されていた。
「ボクを守れ!」
 楠木麻(ea8087)の声とともに、1mにも満たないジャパン古代の兵士の格好をした人形が飛び込んだ。割り込んだその人形に向けて、ミイラや鬼たちが武器や爪を振るうも、固きその身には毛筋程度の傷しか与えられず、その攻撃は主人のところまでは届かない。
 麻は上空を舞う陽の霊鳥の動きを確認しつつ、自らも重力の力を解き放って、サラセンの兵たちを襲おうとする獣頭の巨人たちを軋ませ、叩き倒す。
「無理はするなよ‥‥倒すまでの時間稼ぎだ!」
 そう、女がつぶやいた時だった。
 暗き太陽と化したアトンより放たれた黒き光が、周囲の兵士と埴輪を巻き込んで一閃すると、肉の焦げる臭いと岩が溶ける臭いが入り混じって、辺りに漂った。
「くっそぅっ‥‥!」
 続く光に護衛と頼んでいた埴輪が蒸発するのを見て、吐き捨てるように魔法を詠唱しながら岩の壁を立てると、麻はその影から周囲の様子をうかがった。
「こっちもそうはもたないぞ‥‥みんな、早くしてくれよ!」

「もうすぐ玄室です‥‥準備を」
「その暇があればいいですけどね」
 地図を確認するエミリアの呼びかけに、ディーシスはハサネの攻撃を見計らいながら、街で補充した高い矢で変わらぬ牽制を放ちながら応えた。
 放たれた矢の向こうで干からびたミイラが倒れるのを横目で見ながら、エミリアは近くの仲間に手際よく、レジストデビルの魔法をかけ、そして減った魔力を回復するために、帝国より渡された貴重な聖別されたナツメヤシの実を口に含む。
「正直、これでも足りないかもしれませんが」
「贅沢は言えません」
「いくわよ、いい?」
 エミリアのすまなそうな顔にラミア・リュミスヴェルン(ec0557)は黄金の剣を抜いて微笑み返すと、アンの呼びかけに従い、一同は初めて、あるいは再び玄室の扉を開けて、中へと駆け入った。
 追撃を断つべく重々しく閉じる石の扉の向こう、部屋の中では黒き渦が嵐のように渦巻いていた。
「! あそこに」
 ティレス・フォンターヌ(ec1751)の一声、部屋の奥の祭壇の上では、まるでその身を捧げるようにメリトアテンがたたずみ、苦しげに声を漏らしていた。あたりを包む渦はある時は嵐のよう、ある時は怒れる人の顔のように歪み、漂っていて、この部屋そのものの、現世での存在を危うくしているように見える。
「さて、どうやって助けましょうか‥‥」
「努力を無駄には出来ませんしね〜。やれるだけのコトを、やりましょう」
 アルフレッドとユイスの言葉に、一同はその手にする武器を構え、あるいは魔力を集中させて黒き渦を睨みつけた。

 時を同じくして、場所を異にして。
「ここが、星のピラミッドか‥‥」
「あっちから光が見えるよ」
「気をつけてください」
 シェセルのつぶやきに答えるよう、ケヴァリム・ゼエヴ(ea1407)は漏れる光をめざとく見つけ、そしてフェネックの制止を気にしつつも、先導するように向かう。
 若長が消えた通路の先は、来る前に確かめた通り、太陽のピラミッドとほぼ同じ構造だった。通路をくぐり抜けた先の、光の漏れる石扉は半分開かれており、中よりは儀式を行っているような雰囲気も漏れてきている。
「さて、ここにいるのはもしかして‥‥」
 ここまでに現れた敵を思い、アナスタシヤは小さくつぶやいた。
 到着するまでに戦った敵のほとんどは、魔物ではなく、人だった。忠誠ではなく金で雇われたことがわかる者たちばかりで、周囲の魔物が集まる状況に恐れをなしているのか、吹雪の魔法一つで士気は瓦解し、すでに逃げ去っている。
 そして。
「やはり、あなたでしたか」
「‥‥ああ」
 目の前にある祭壇は、太陽のピラミッド‥‥イクナートンが求めたその場所と、ほぼ造りは同じであった。辺りの装飾が、太陽を思わせる明るい黄金ではなく、星を思わせる白金に近いというのが唯一の違いか。
 そして奥の祭壇では、黒き泉が泉の枠を越えて空気までも侵食し、たゆたい、隙あらばいつでも溢れ出そうと蠢いているところまで同じであった。
 その前で自らの身を黒きものに浸すように、座り鎮め祈りを捧げる男と、刀を抜いた数名の男たち。
 祈るは若長。構えるは傭兵と、そしてジョバンニ・ベルツォーニ(ez1112)であった。
「まったく、なぜこのようなことを」
「俺がキレイな人間じゃないことは、お前さんたちもわかっているだろう」
 警戒を解かないジョバンニに、呆れのため息をつきつつアナスタシヤは尋ねれば、男の答える声音に覇気はない。
「ヘンリーの奴にそれで脅されて、子供らを人質に取られれば‥‥仕方がねえことだ」
「‥‥馬鹿」
 後ろで機をうかがっていたテティニスは一言、小さくそう漏らした。
「相談してくれれば、それで済んだことじゃない」
「出来れば、やっていたさ‥‥。だがあの戦いの混乱で無事もわからない状況だったからな。お前さんたちをもっと、信用しておくべきだったか」
 ジョバンニは情が移るのを恐れるように吐き捨てると、それを合図に周りの者も決意を込めて武器を構えた。見ればその敵のほとんどは、エジプト南部探索の初めの頃、ジョバンニに付き従っていた者たちだった。
「兄さん、姐さんたちには悪いが‥‥兄貴の為に、ここは退いてくれねえですかい?」
「それは、残念ながら無理だ」
「だろうな。‥‥あいつには、すまねえと伝えてくれ」
 その、シェセルへの返事と願いが、戦いの始まりを告げていた。

 それは奈落と呼ぶにふさわしい場所だった。
 他のピラミッドにはあった灯りは全く無く、ただ玄室のみが命をもつように明るく輝いている。
「くそ、セトとか言ったな‥‥下手をうちやがったのか?」
 その闇の中、目の前でぬらりと輝く闇色の泉を見つめ、ヘンリーは毒づくと、口端をあげてその横に視線を移した。
 そこでは乳のような靄が人の形を取り、座禅を組んで座っていた。その、貴人と見える霊体は苦しげな表情を浮かべ、何とか、泉の力を押さえつけているように見える。
「まあ、あれが下手打ったとしても、俺にはこいつがあるわけだがな」
「脅しには、十分という訳か」
「!」
 石扉を開ける音とともに投げかけられた声にヘンリーが振り向けば、そこには赤き弓を手にした天城烈閃(ea0629)が立っていた。
「いつの間に」
「外の様子はわからないようだな」
 言って、男は弓に矢をつがえて引き絞った。続けて放たれた一撃を避ける気もなく睨みつけた男は、すんでの所で転がるように倒れて避けると、矢は後ろにあった石像に当たってはね返る。
「その弓‥‥ただの弓じゃねえな」
「お前の持っていた力だ」
「俺のだと‥‥ほう、泥棒にはお仕置きが必要だな!」
 天城が重き弓を取り回しながら次は二矢を同時につがえるのを見て、ヘンリーは構えると、その手にあるオーラソードとともに光放つ斬撃で突進した。
「弓なんぞ、距離を詰めれば怖くもないわ」
「あぶねぇ!」
 烈閃の後ろから回り込むように走り出した聡が、声を上げつつヘンリーの斬撃をくぐり、進路を妨害するように体を当ててその動きを牽制する。
「何でここに」
「こっちに来る人が少ないからだよ、それに」
 崩された体勢を戻したところに放たれた二矢がヘンリーに突き立つのを確認しつつ、聡は手にした銀の刃を構えた。その刀身には、今前にある穴と共鳴しているのか、表面に彫られた古代の文字がほのかな月光を放ち、明滅しているのがわかる。
「この刀は、ここに収めなくちゃいけないみたいだからな」
「‥‥来るぞ!」
 肩と足につき立った矢の上部を切り落とし、ヘンリーは憎々しげに口を歪めると、改めて隙を狙い、構えをとった。
 烈閃は二矢をつがえてヘンリーの着ている鎧の隙間に狙いをつけ、そして聡は後の先を取るべく刀を構えて体の陰に隠す。
 遺跡の外からの、戦いの響きと思われる微かな怒号が途切れたように思われた一瞬。
「去ねい!」
 ヘンリーが怒号を吐き捨て走ると同時、烈閃は二つの矢を放った。
 過たず鎧の隙間を射抜き血をしぶかせるそれをものともせず走ったヘンリーの一撃を、聡がかわしきれず肩より体をざっくりと割かれると、その次瞬、死角より襲う銀光の刃が男の胸元を一文字に切り裂いた。
「‥‥ぐっ!」
「おっさんのオーラの強さは認める。でも、それに、頼りすぎてて、技はいまいちだぜ」
「だ、黙れ、俺の前に立ちはだかりおって!」
「お前は凄い奴だよ。その果てのない欲望で、異国の地で総督の椅子に座った。欲望の力で、今ある混沌の運命を引き寄せた男だ」
 荒い息をつきつつ刃を構える少年を見据え、その向こうでさらに矢をつがえる天城の姿と声に、そして怪我にて動きを鈍らせたヘンリーは、脳裏によぎる次の光景を振り払おうと叫びを上げる。
「‥‥運命など決まっていなかった。誰かの強い想いで変えられたものだ。だから、これで終わりだ。これが、お前に苦しめられた人々の‥‥弄ばれた大地の‥‥そして、俺の怒りだ!」
 その想いとともに放たれた二条の矢は、男の苦境の叫びにかき消されることなく、元総督を貫いた。

 昏き渦は、ただ力としてその場に溢れかえっていた。響く声は理性あるものではなく、ただ死霊の呻きと聞こゆるのみ。
 その嵐の中、ディーシスは手にしたポーションの栓を抜き、近くのハサネに渡す。
「まさに、王の怒りというところでしょうか」
「ただの怨念なぞ」
 ハサネはそう返すと、戦力の不足を補うためにまた、いつもと異なる前に出る戦い方で奥を目指した。アルフレッドは続いて弓を取り、牽制とばかりに矢を射るも、魔力持たぬそれは効果があるようには思えなかった。
「何とかして、彼女を助けなければ」
 ティレスはせめてものと、魔力を陽の光線に変え放つも、それは一瞬、霞を散らしたのみに終わる。
「これが読めれば、何かわかったかもしれないんですけどね〜」
 持ってきた数本のスクロールを床において、ユイスは手にした死者の書をのぞいて肩をすくめる。その間にもハサネとラミアの踊るような剣閃は、瘴気を少しずつだが、そぎ取るように減じていく。
「あの剣が効いているということは‥‥あの瘴気は、不死者の属性を持つはずですね」
 一方で、放つ黒光がまったく効いていない‥‥いや、光は相手を貫くものの、それはサンレーザーと同じ結果でしかなかった‥‥アンの様子と、自らの知識をあわせて、アルフレッドは状況を分析する。
 次の瞬間、靄の中より放たれた黒き陽光は、アンが自らにかけた抵抗の魔力の前で消失し、その隙に再び二人は斬りかかる。
「何とかして、彼女を助けられれば‥‥」
「あ〜、そういえばぁ」
 死者の書を何とか出来ないかと繰っていたユイスは、ティレスの言葉にふと、思い出したようにつぶやいた。
「アナスタシヤさんがこの本を調べたところですと〜、不死者の汚れというのはぁ、デビルと同じくする負の力だそうです〜。なので‥‥」
「神の力で、祓うことが出来るかもしれない?」
 言葉を継いだアルフレッドに、そのままええ、とうなずき、ユイスはあくまで推論ですけどね〜、と付け加える。
「何もしないよりはましでしょう‥‥まだ、魔力はありますから」
 それを聞いたエミリアは懐の魔法の実の数を確認して、一言応えた。

「どうしても、ダメだというの?」
「ああ‥‥!」
 その身に光の鎧を纏ったテティは、目の前のジョバンニに問いかけ、そして切り込んだ。
 目眩ましになんとかその斬撃を受け止めた男は、瞬間その鍔迫り合いに力を込める。思っても見ない力の移動にテティニスはよろめき、その体勢を崩して転倒した。
 続く攻撃を転がってかわすと、そのまま舞うように立ち上がって、女は距離をとる。
「くらえ!」
「そうは、いかぬ」
 テティニスが下がったのを見て走る戦士たちに、アナスタシヤはすぐさま数語の詠唱のみで、吹雪を呼び出したが、凍気に体が凍るのも構わず男たちは武器の重さを叩きつけるように切りつけた。
 女が錫杖の魔力にて何とかそれを受け止めしのぐと、シェセルが放つ縄ひょうが牽制、相手の肩を小さく傷つける。
「そんなことしても、みんなが悲しむだけだよ、だからやめてよ!」
 だがケヴァリムの呼びかけにも一行は答えず、攻撃を続けるのみである。
「みなさん、こちらへ!」
 ネフェリムが魔法を使う者たちを呼び寄せ聖なる結界を張ると、続けて相手に呼びかける。
「あなたの行為がサラさんだけではなく、子供たちも傷つける、そうは考えないのですか?」
「あなたは、この地において失うには惜しい人だ。子供は、私たちが助け出します」
 その呼びかけにジョバンニは、構えは解かずも沈黙した。周りの戦士たちもあわせるように警戒するのみ。
 その時だった。
「あんたって、人は‥‥!」
「やっと来たか」
 その怒りの声は、本陣で待っているはずのサラ・ベルツォーニ(ez1130)のものだった。
「まさか」
「地図を一緒に見ていただけじゃぞ。抜け道入りの」
 だったらどうなるかはわかるだろうと呆れたようにシェセルは見つめると、アナスタシヤは知らぬ風にそっぽを向く。
「連絡が取れなくなったと思ったら、何してるのよ!」
「あ、あのな、お前もわかるだろう? 子供た‥‥」
 男が言い終える前に、サラの拳は男の下腹部、鎧の隙間に叩き込まれていた。痛みに耐えかねジョバンニがよろめいたところ、さらに首根っこをつかんで女は平手を入れる。
「‥‥」
「実家で、武芸はそこそこ習ったって聞いてたけど」
 元は貴族の出とはいえ、しょせん与太話と思って聞いていた話を思い出し、一同はあまりのことに毒気が抜かれたように嘆息する。
「‥‥隊長殿」
 女の癇癪が一通り済んだあと、戦う気を双方が無くしたと見て、シェセルは改めて呼びかけた。
「間もなく元総督の陰謀も終わります。あなたはその時に、この地を立て直すために必要な一人なのです。生きて、償いを行うことこそ、あなたの使命ではないでしょうか」
「‥‥」
 その時だった。
「‥‥見ないと思ったら」
「言わないでくれ‥‥私は私で、大変だったのだ」
 そこに姿を現したのは、ついぞ見なかったネブ・ケペル・ラーであった。疲れたような素振りを見せるのその霊体は、一同を見回して言葉を紡ぐ。
「私が抑えていた月の封印は成された。そして‥‥ヘンリーだったか? 奴も捕縛された。テンジョウとか言う男が、すでに後ろにいる協力者も抑えるよう動いている」
「‥‥これで、丸く治まったという訳ね」
 テティはその報告に安堵して力を抜く男と女を見て、肩をすくめた。

「魔法をかけて救い出した瞬間に、封印できれば」
「もう少し、弱らせないとだめかしら」
「どちらにしろ、チャンスは少ないでしょうね」
 前で戦うラミアとハサネの攻撃が暗き渦を削るのを見つめ、エミリアとアン、ティレスは歩調を揃え合図を送った。
「次で来る‥‥わかっているな?」
「‥‥はい」
 少し距離をとって相手の出方をうかがう中、ハサネはラミアに呼びかけると、手にした緑の刀の、刃を返して駆け込んだ。
 黒き固まりの中を縫うよう、ラミアと逆方、囮にするように死角へ向けて滑り込むと、自らが培った技をその刃を滑らせる。
 鋭き刃が暗き闇を切り裂けば、大きく、部屋そのものの空気が両断されるように斬り裂かれた。
「今です!」
 裂かれた黒い渦が耳障りな叫びを上げた時、3人は前に走った。そしてその空間の向こう、黒き泉にて念を込めている少女の元へたどりつくと、エミリアは呼吸を整えメリトアテンの肩に手を置く。
「‥‥みなさん」
「もう、大丈夫ですよ」
 そう、ティレスがなだめると同時、聖なる母の魔を退ける加護がエミリアより与えられると、水に石を投げ込んだ時の王冠の芸術のように、周りの黒き意志は弾け飛んだ。
 すぐさま3人がかりで少女を引き出すと、入れ替わるようにそこへラミアが走り込む。
「これで、終わりです‥‥永遠に、眠りなさい」
 黒き泉が再び戻り、餌を求めるように突き出されたその先へ、ラミアは意志を込めて黄金の、太陽の剣を突き入れた。
 瞬間、剣は黄金の陽光を放つと、たなびく光は闇を縛る鎖のように黒を捕らえ引きずり込んでいく。
「お前の敗北の理由は二つ」
 まだ残る力と怨念の残滓が大きな顔を取り、口を開くのを見て、ハサネは手にした刃に再び力を込める。目の前の顔はある時は不死王の、ある時は悪神にも見える表情を浮かべ、苦悶と怒りと、恨みを告げているように見える。
「人を小物と侮り、そして過信から多数と戦う愚を犯したところだ。‥‥虚しく滅べ」
 その言葉とともに放たれた緑の刃は、黒き闇を両断すると、その欠片は全て剣の刺された泉へと吸い込まれていった。

 仲間に石の鎧を与えたあと石壁に隠れ、麻は懐を探った。
「‥‥これが、最後か」
 帝国から供与された魔力を回復する聖なるナツメヤシの、最後の一個を見つけると、麻は周囲をうかがい、回復しようとそれを口に運ぶ。
 その時だった。闇色に辺りを照らしていた空に向け、ピラミッドより3条の光が放たれると、雲に開いた穴に吸い込まれるように闇の光は空から抜けていった。
 あわせて、アトンや、地上で猛威を振るっていた不死の魔物たちから砂のような闇が宙に舞うと、空に吸収されるのにあわせてその体は次第に塵へと還っていく。
「‥‥間にあった!?」
 麻はその様子に叫ぶと、口近くにあった実を懐にしまい、そして遺跡の方を見る。
 遺跡と、この場で戦った者たちを照らし出していたのは、数週間ぶりに開けた青い空に輝く、暑く、正しい太陽の陽光だった。

 戦いは集結した。
 アトンの反乱は表向きは、ヘンリー元総督の陰謀による狂言として片づけられた。ヘンリーはその命を戦いで失わなかったが、不死王のような復活という事例を恐れてか、死罪は与えられず、終身、カイロに閉じこめられることととなった。
 後任の総督はすぐには決まらず、駐留部隊のギーレン将軍がその代行として政務を執り、それを補佐するように冒険者や現地の民たちが集っていた。それをまとめ、遺跡を管理するためにも、冒険者ギルドという形でのある種の中立の組織の結成が提案され、守人と呼ばれた遺跡を守る古の一族の協力もあって、少しづつ形になりだしたという。
 アトンの信奉者たちも独立という本懐は遂げられなかったが、税の軽減と信仰の自由の保証に、ひとまずは矛先を納めるに至っていた。
 異変を起こした遺跡も今では静かに、悠久の歴史の中に佇んでいた。
 そして‥‥。

 ‥‥エジプトにあるその酒場で、エルフの女は竪琴を爪弾くと、鈴のような声でその物語を謳っていた。
 声にあわせて、薄布を纏った褐色の肌の女は、優雅に、そして勇壮に舞を踊る。
 長き、ただ酒場で聞くには長き物語を、人々は時を気にすることなく聞き入っていた。
 そして、遺跡より放たれた解放と勝利と平和の光と、冒険者たちの旅立ちが語られた、最後の一音と一声が奏でられ、舞が静かに終演を告げると、拍手が酒場の中を包んでいた。
 かくして、物語は語り継がれ、人々の心に留まる。
 そのことを伝えた仲間の吟遊詩人と踊り子を見て、この地の冒険の記録を書いていた男は吟じられた物語の終わりに帽子を直すと、書き終えたパピルスをまとめて、そのペンを置いた。


〜終幕〜


今回のクロストーク

No.1:(2008-02-02まで)
 第10回は本編と個別で物語の決着と、旅立ちまでを描く予定です。あなたは冒険が終了した後、どこに、どう旅立ちますか? あるいはこの地に残りますか? 希望があればお書きください。

No.2:(2008-02-02まで)
 ほしい官職や称号があればお答えください(プレイングによっては採用されないこともあります)

No.3:(2008-02-11まで)
 最終回に向けてひらめいた、でもやっちゃいけないだろ〜、というプレイングはありますか? よければここに封印してください。

No.4:(2008-02-08まで)
 最後のプレイングに向けて、調査したいことはなんですか?(返答できるNPCがいればクロストーク終了後プレイングまでに返答されます)

No.5:(2008-02-08まで)
 最終回で見たいシーン・やりたいシーンはなんですか?